ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣「恋恋蓮歩の演習」

2015-06-10 10:14:30 | Weblog
 森博嗣にしては珍しく、華やかで爽やかな作品。ロマンチックコメディ?海洋冒険小説? 保呂草へのムカつき度も若干、低下。


 豪華客船の中で起こった不可解な死体消失事件。殺人?それとも事故死?通報を受けて警備員たちが駆けつけると、死体はきれいさっぱり消えていた。
 それと同時刻に、世界的名画が盗まれる。この2つの事件の関連は?
 豪華客船に乗り合わせていた紅子、れんちゃん、しこさん、保呂草が、事件の謎に迫る。


 ミステリ仕立てになっているが、Vシリーズを読んでいる人なら、最初からカラクリはわかる。でも、面白い。謎がどうの、というより、豪華客船に乗船したという華やかな雰囲気、ワクワク感が、こちらにも伝わってくる。
 そういえば『名探偵コナン』や『謎解きはディナーのあとで』にも、こういったシチュエーションってあったなぁ。
 それにスウィートルーム! なにせ、フランスの大富豪がずーっと乗り込んでいて世界中を回るっていう豪華客船のスウィートなんだから、内装はどんなに素晴らしいんでしょう!
 そこよりも、ワンランク下のスウィートに、うら若い女子大学院生が宿泊しているのを、なぜ誰も不思議に思わない? 1泊100万円くらいするんじゃない? 警備員が、乗客の身元に興味を抱かないのも不可解!


 話は大幅に変わるが、れんちゃんの友人で、阿漕荘の住人に森川素直君という男の子がいる。この子がよく登場するのに、驚くほど事件の本筋に絡まないんだ。この『恋恋蓮歩の演習』でも、紅子やれんちゃん、しこさんを港まで車で送っていくだけで、終了。
 しかし…しかしですね。彼には「聞き間違えギャグ」という必殺技があるのだ。
 「お年頃」→「落としどころ」 「覇気ない」→「厭きない」etc
 これ、すごく面白い! いつもぼーっとして眠たい様な顔をしている森川君がボソッというと格別。
 もっと、森川君をあちこちに登場させてほしいね。


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