ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣「笑わない数学者」

2015-01-12 10:27:35 | Weblog
 犀川&萌絵シリーズの第3弾。これ、TVドラマ化されなかったから、つまらない作品なのかなと心配したけど、そんなことない。なかなか面白いです。
 ただ、セットが大掛かりになりすぎるから、ドラマには敬遠されたのだろう。

 
 偉大な数学者・天王寺博士の住む『三ツ星館』で開かれたパーティに招待された、萌絵と犀川先生。三ツ星館内にあるプラネタリウムで星空を楽しんだ後、博士は萌絵に要求され、12年前と同じように、庭にある大きなオリオン像を消して見せる。
 しかし、一夜明けて再びオリオン像が現れた時、その足元には無残に殺された死体が横たわっていた…。


 三ツ星館の平面図が付いているので、ちょっと、綾辻行人の館シリーズを思い出す。そのせいでもないだろうが、この作品って、森ミステリにしては珍しく動機がはっきりしている。
 ほら、森ミステリって、HOW(どうやって)が重要視され、WHY(なぜ)が、あまり書かれないじゃない? え?なぜ、この人があの人を殺す必要があるの?ってよくわからないまま。
 でも、今回は、動機があまりにも生々しくて、お昼のメロドラマみたい。
 もちろん、トリックも秀逸。ただ、平面図が付いているので考えやすい。私でも分かりました。

 三ツ星館は、長方形の真っ平らな大きな敷地に、三つのドームが斜めに連なっていて、渡り廊下で結ばれている。平面図で見る分には楽しいが、実際は暮らしにくいだろうなぁ。家具なんてどうやって置けばいい? 無駄なスペースがすごく多くなりそう。作り付けの家具じゃないとダメだろうね。


 この数学者・天王寺博士は、子どもや孫やお客を集めて、数学的ゲーム問題を出題することが好きなようだが、いけ好かないジジイだ。そんなパーティなんて私は絶対行きたくないね。でも、こういった数学的ゲーム問題が好きな人もいるんだよね。萌絵さんみたいに。
 犀川先生の妹・摂津子さんも、パズルマニアで、世界中の知恵の輪とかパズルを集めているらしい。家系なんだろう。
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