文庫は5巻までは確実にあるのですね。(図書館で確認してきましたが👌)
ハードカバー製本は上下巻とも700ページを超える上下段で、小さな字で読むのに苦労しました💦 しかも内容が内容なだけに… 見ず知らずの女性を殺害する、しかも…とても書けない💦 ここに描かれた犯罪者・誘拐犯の一部は最近、愉快犯ともいわれるようになったことは耳にしていたものの…。感想を書こうにも、上手く言葉に出来そうもないです。犯人側に立って描く場面は特に、苦しかっただろうな、宮部みゆきさん…と、何度も思ってしまいました。児童虐待などのニュースを耳にするだけでも嫌なので。昨年読んだドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を思い出しましたが、あちらの方がずっと「納得」できます。 本当に犯罪に手を染めた訳ではないのに、「思う」だけで苦しむのとは、訳が違う「模倣犯」
例えば、宮部みゆきさんは、作中の中で、次のように語っています;
「人は誰でも、自分の幻想という小さな王国のなかでは、ちっぽけな👑王冠をかぶり王座に座っている。そういう部分があること自体は、けっして邪悪でもなければ罪深くもない。」 (167ページ上段 17行目~20行目)
カラマーゾフの兄弟こそ、ここがテーマの1つでした。罪深くもない部分にスポットを当て、深堀して描く~そう感じました。
「むしろ、軋轢(あつれき)の多い現実世界を生き抜いてゆくためには、なくてはならないことなのだ。」(21行目)
確かにその通りです👌 子供の頃、悪人は全く出て来ない動物が主人公の童話ばかり書き、中学になるとファンタジーを書き始めたのは、まさに、これが理由だったんだな、と今にして思う自分がいます。
「だがしかし、この王座に腰かける王にも、専制君主への憧れはある。(私には全く無かったが💦) それもまた誰でも持っている自然な心の指向性だ。彼もしくは彼女は、早晩外の世界へと目を向ける。領土を広げ、自分の築いた城塞都市の内側に入る国民の数を増やすのだ。ある程度の「練習」を重ね、自分の力量を確かめたくなった時点で、王は出立を決意する。」(同ページ下段 1行目~7行目)
しかし、その先は千差万別だ。
ここから先は簡単に書くと、ある人は学者になり、ある人は技術者になり、芸術家になり、よき母親になり… まさに人生いろいろ。人はみな、そうやって生きていくわけですが、どこで犯罪者へと…? 何故あのようなむごいことが出来たのか? (詳細は書きたくありません。人殺しの…)
人は話し合い、共存して協力して生きていこうとするものだけれど、
「時に、強引に国民を増やそうとする王が現れる。そういう王は、実際に法に触れて犯罪者になる場合もあるし、ならない場合もある。だが、どちらの場合でも、破壊的な人間であることに違いはない。」(168ページ上段12行~18行まとめ)
「破壊的な人間は、けっして誰かの国民にはならない。ただ王であるばかりだ。(プーチンのことですね。小説の中の犯人もそうですが)だから孤独である。孤独であるが故に、けっして自分を裏切らず絶対の服従をしてくれる永世国民欲しさに、ある者は物理的に、ある者は精神的に、他者を殺してはばからない。その物理的な玲の極北にいるのが連続殺人者であり…略」(上段ラスト~下段4行)
もっと簡単にいえば、支配する側とされる側。 延長線上に… 殺人。
今日もニュースで我が子を守らず変な女の言いなりになり、我が子を餓死させた母親が懲役5年という報道があったばかり。「模倣犯」でも被害者家族が大勢登場し、彼らの怒りや、「殺してやる!」と激情するシーンも描かれている。最もだ、と思う。「カラマーゾフの兄弟」イワンの意見も分かる!と、昨年の今頃、長々と書いた。
連続殺人犯の心理など分からないし、理解したくもない。だが、先に抜粋したように、誰もが心に描く自分の小さな幻想=こうありたい、こうなりたい(多くの場合、職業だったり生き方、人生の目標) → 一部が 国民にはなれず、王であるばかり。すなわち破壊的な人間=模倣犯 ここが共通点だからこそ、タイトルは『模倣犯』なんだな、と。自分の解釈ですが…。
約一週間かけて上下巻を読み通し、思考も忙しく、怖く、心臓にも悪く… 読み終えて 正直 ぐったり。 この長編小説を書いた作家の苦労を想うと… お疲れ様でした、といいたいです。2001年初版ですね。大変な作業だっただろうなぁ。 そういえば、宮部さんは、多くのファンタジー作品を世に送り出していますね。ファンタジーからこの作品に辿り着いたことも宿命だったのかなぁ。
こちらは図書館で予約し、2か月まって順番が回ってきた~ 人気の書です。
28ページには、こう書かれています
「具合が悪いときに具合が悪いといったら、具合がわるいのが治るのかい?
こういうと、痛いときに痛いといって、何が悪いんですか、なんて言う人がいるが、具合が悪いときでも、ああ、俺はなんてついてないんだ、って言ったら運命が良くなるか?言ってよくなるなら、もうどんどん言えばいい。しかし、よくはならない。
言葉には、その言葉が発せられると、観念を通じてその言葉のとおりの影響が出てしまうという応用、作用力がある。 だから悲観的な言葉を発すれば、悲観的な影響が自分自身に返ってきてしまうのだ。【途中、略】
言葉には人生を左右する力がある。この自覚こそが人生を勝利に導く最良の武器なのだ」(28~29ページから引用)
40,50代はもちろん、80歳になっても同じだ、とも書かれてありました。どのページに書かれてあったか、見つけ出せずにいますが… どのページを読んでも、自分自身を見直すよう時間となりました。
この本にも、『気』の大切さ。何かをするには、ながら族ではダメ、気を入れなきゃ~ 積極性の話が登場します。怖しくはこちら→ ほんとうの心の力 著:中村天風 ほんとうの心の力 著:中村天風 本当のことを言うと、英検1級は語彙力が大事なだけに、1万2千とも5千ともいわれる語彙力補強は今更無理だ!と諦めていました。 それこそ『気』が足りない…
やるだけ、やる、のみ。 「暇が無いとは 気が無いことよ。 参る気がありゃ、暇はある」小学生の夏休み、祖父母の家に飾ってあったカレンダーに書かれていた。お地蔵さんのイラストと共に。40年以上経った今も忘れられないんだよなぁ。
The only way to have time is to MAKE IT! 頑張るか!
(今年89、90冊目)