本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

街に出る、人と会う♪

2006-11-18 18:48:20 | 社会
*ここ最近のことだが、路上詩人橘氏の近況が気になってしばしばブログを覗く習慣になっている。動物園の橋に「家」を建てて定住していた頃とは違って、今月からは本当の路上生活者になってしまったからだ。
 私が他人のブログを訪問すること自体稀有なことである。笑。なぜなら自分の縄張り(?)を巡回するのに忙しくて、とても他人様のブログになど行っていられないからである。w
 で、彼が(17日午前1時と言えば深夜だが)初めて襲撃を受けたと17日のブログに書いていた。アーケード内の定位置で寝ていたら、突如ゴミ入りのダンボール箱を二人連れの若者に投げつけられたらしい。
 バットによる襲撃などは最近聞かないけれど、ホームレスを苛めて喜ぶ人間がまだまだいるのである。人間の品性というのは止め処も無く下降し得るものだ。

「同じ人間が・・云々という綺麗事など糞喰らえ!」と思わないこともないが、なにせ私は埴谷教の信者であるからして、こういう場合「敵は制度。味方はすべての人間」という我が教祖様の尊いお教えを称えるしか為す術がないのである。アーメン(はあ?)

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*彼はそれにしてもホームレスのくせに(笑)私などより遥かに文化的な生活を営んでいるのではないかと感じることがある。コンサートや展覧会や詩の朗読会など、彼は金の都合がつけばどんどん出掛けてしまうらしい。そのことだけを取り上げれば羨ましい限りだが、そういう「自由」と引替えに、道路端で寝ていて悪意の第三者に不意に襲撃されるなどという日常は、とてもじゃないけど私には耐えられそうも無い。
 これは体力も精神力も強靭な彼だからこそ可能な「自由」なのである。

 で、彼が18日(土)の「ポエカ」という詩人の朗読会に参加すると言うので私も行きたいと思った。がしかし料金が1800円+ワンドリンクだというので止めた。
 その会場が地下鉄谷町線東梅田の次の駅「中崎町」4番出口から徒歩3分の「天人(あまんと)」というところである。営業は12:00から23:00まで、コーヒーが200円。安い。ところでドトールコーヒーはまだ180円かな?関係ない?あそ♪

 「そうか、今日行けば200円か。じゃあ行ってみよう。w」ということになった。

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*中崎町!
 ここ初めてやったけど、なんちゅう駅や!(と、途端に関西弁。w)
 改札から4号出口まで直線で数百メートルありそうな感じやねん。3号まではもっと遠いで。交通局は何考えとるんや?!
 街自体も、東梅田から一つ目やいうのに、ド田舎もええとこや!笑。
 うちらの天王寺や長居公園の方が遥かに大都会や!w

 それになあ、4号出口から徒歩2分とか3分とか書いてあるけどそれは大嘘や。
 私は改札を出てから20分は歩いたで。w
 まあ初めての人はどんなに急いでも5分はかかるやろ。

*大阪というのは本当に不思議な都会である♪
 それで、3時か4時頃天人に到着した。
 カウンターのおばさんに、オーダーするにはまず(HPを見て知っていたから無用だったが)壁の張り紙を見ろと言われたので見た。このおばさんは来る客全てに機械的かつ無愛想にそう命じていたから、恐らくは客商売は未経験の人だ。
 つまり言ってしまえば、芸術家きどりか何か知らないがちょっと偏屈でとっつき難い、よくあるタイプの「それっぽい人」だったのである。「それっぽい人」というのは本当に気難しくて他人を見下したようなところがあるから、私はそういう人たちとは必要に迫られない限り付き合わないようにしている。この人にしても別に悪い人ではないんだけど人と接する際の拘りが多過ぎるのだと私は勝手に見抜いた。

 ここは日替わりでマスターが交代するという奇妙なシステムらしい。明日来ればまた別の人がカウンターにいるわけだろう。
 私はホットコーヒーを注文した。着席して待つように言われたが私は先に自分の方の用件を告げた。
 「取材と営業に来ました♪」と私は高らかに宣言した。(はあ?)
 営業と言っても無料の葉書絵を置きたいということだけだし、取材はブログネタが欲しいというだけのことで写真かムービーを撮りたいわけである。店の方の事情等も出来れば伺いたかったが、相手が相手なのでこの件は持ち出さなかった。w

 オーダーはセルフサービスで、呼ばれたらカウンターまで行って金と引替えに受け取り、自分で席まで運ぶのである。それにしてもコーヒーを突き出されて「200円です!お金と引替えです!」とはあまりにもつっけんどんで高飛車な殿様商法である。どっちが客かわからない。一部諸外国では見られるらしいが、現金と引替えでないと品物を渡さないなんて、まるで釜ヶ崎の一杯呑み屋だ。
 
 で、意外にも私の要請は2つともあっさり承諾された。
 フライヤーを置くには専用の棚が入り口にあって、ノートに簡単な必要事項を記入するだけでOKということだった。私のは無料の絵葉書であって厳密に言えばフライヤーではないが、ブログへのご招待のためのチラシと考えれば済むことなのである。

 次に撮影に関してはお客さんがいたら駄目だと言ったが、運良く先客はその時点では一人しかいなかったし、彼はカウンターの奥まったところでパソコンをいじっていたからノープロブラムだった。ただ彼のいる奥には洋酒の瓶の並んだ棚があって、そこがちょっと洒落ていたので撮りたかった。それで彼に「顔が映ってはまずいですか?」と訊いたら「常識的な範囲なら」という留保付きでこれもOKで、おばさんにも聞かないと却って失礼かと思って訊いてみたらやっぱり駄目だった。笑。

 で、撮ったのはいいんだけど、やっぱりこういう絵はお客が大勢いてなんたらかんたらやっていないと面白くないのでまだどこにもアップしていない。

 ついでに言っておくと、写真でもムービーでもいいんだけどすぐにやれ肖像権だプライバシーだと騒ぎ立てる不逞の輩がいるが、私はそんなのは全然問題にしていない。そういう奴に限ってメディアには逆にへーコラするものなのである。
 私はその気になればそこが店内だろうと公道だろうと勝手に撮影しまくるだろうし、それが不服なら裁判に訴えたらいいというだけの話だ。それが法治国家というものなのであって、いいも悪いもないのだ。
 その際私のような超ミニコミの撮影によっていったいどんな実害が生じ得るか、それを立証する義務が原告側に発生するのは当然の帰結である。
 そう言えば「不特定多数を撮ってはいけない」などと、如何にも知ったふうな俗論を振り回す、いい歳こいたアホに先日某所で会ったが、お生憎、こちらはそんな議論は30年前に卒業しているんだ。w(勿論当人の前では私はヘラヘラ笑っていただけでつ♪)

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*店を出て駅へ向かう途中、まず路地で小さなチワワと会った。
 写真を撮ろうと思い、その子を連れているおばちゃんに協力して貰って何度もトライしたがうまく行かなかった。「彼?」は明らかに写真を撮られることを嫌がっていた。こんなこともあるのかと、私は諦めて帰りかけたのだが、おばちゃんは最後にはその子を抱きかかえて「もういいの?」と訊いて来たので撮った。でもおばちゃんはシナを作っていたが犬の方は相変わらず不機嫌で、あまりいい絵ではなかったからこれもアップを躊躇っている。

*路地を出たら今度はデジカメを持った女の子の四人連れがいた。
「何撮ってるの?」と訊いたら
「人の顔に見えるもの」と即座に一人が応えて、自分の記録の中から1枚を見せてくれた。「これが目でこれが鼻・・」
 ネオン・看板・信号、木目とか何でもいいのだ。タモリクラブか赤瀬川源平か、昔からそういうのはあって、これは全然彼女らのオリジナルなテーマなどではないのだが、なかなかノリのいい面白い子らだったので、私は写真を撮らせて貰うことにした。w
「なんでうちらが撮られるん?」と一人がぶつくさ言うので「撮る人は撮られるんだ」と私は応じた。写った写真を見せたら「三人しか写ってへん」と一人が不満そうに言った。四人連れとは言っても私と話したのは二人だけで、他の二人は終始無言だった。自分でフレームから外れたため「写っていない」子に「撮る?」と訊いたら弱弱しく拒否したので、その子には絵葉書をあげた。

 その子たちはどこかの美術系(?)大学の付属校の学生さんらしかった。一人の子は普段は光学フィルムの一眼レフを持ち歩いているとのことだった。
「あんなのフィルムは買わなきゃならないし現像も出さなきゃならない」と言ったら、
「安いDPEの店を見つけた」と言っていた。
「いつもデジカメ持っているんですか?」と私のことも訊かれたので、
「マニアというか、フリークだ」と答えた。事実だもんね。w
 彼女達は車で来ていて集合時間が迫っているとのことだったので、一人に「検索はヤースケ伝」とだけ教えて別れた。

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*最後に話したのが今日の写真の人で、現在の私にとっては3人目のホームレスの知り合いということになる。
 大阪に来てから五年になるという彼は、今写真の場所を定宿にしており、ここには夕方三時頃には帰って来るようだ。そして深夜二時か三時頃には唯一の収入源たるアルミ缶を求めて「ボチボチと」出発するのである。
 アルミは今、キロ150円が相場だと言うから、私が聞き知っていた額より50円ほど値上がりしている。日に10キロ=1,500円程度が目標だが、一日歩き回って500円のときもあるそうである。しかし「500円あれば御の字だ」とも彼は言った。その額で最低限必要なものは得られるそうだ。3,000円稼ぐ人もいるがそういう人は自転車を駆って移動し、目的地に着くと死に物狂いでアルミ缶を捜し回るんだそうである。
「自分はそこまでは出来ない」と彼は言った。

 やはり、縄張りがあり、人間関係の悩みも尽きないと言う。いきなり自分のシマ以外の場所で空き缶を漁ったりすると喧嘩になるそうだ。
「自分は酒は呑まないが、90%の野宿者は稼いだ金の大半を呑んでしまうのだ」と言った。酒飲みの相手をしているとじきに口論になるから、付近一帯の世話役をしている一番古株のおじさんの勧めもあって、自分は「おはよう」の挨拶くらいしか周囲の人とは口をきかないのだと言った。

 話しているときは気づかなかったが、こうして写真をみるとかなり厳しく険しい表情をしている。毎日一身の死活を賭けて生きているのだから厳しくならない方が不思議だ。写真は暫く話してから持ちかけてみたら「自分は人は殺してないから」と凄いことを言って快諾してくれた。家族とは連絡を取っているそうである。
「ジュースでも買って来ようか」と言ったが固辞された。
「アルミ缶が少しあるから今度持って来る、百円か二百円分しかないけど」と言ったら「その方が嬉しい」と彼は言った。私たちは握手して別れた。
 
 

 


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