池袋演芸場十月下席は、落語協会「真打昇進襲名披露興行」です。(調べてみるとここ数年の「真打披露興行」は皆勤賞ものでした、やはりおめでたい席ですから)
そんな真打披露興行ではだいたい「池袋演芸場」の席を選んでいます。ちょうど池袋くらいの場内のほうが観客との一体感が出て、披露興行もみんなでお祝いするめでたい興行になります。
披露口上の席もそうですし、やはり演者と観客席が近く、場内の雰囲気もいいですよね。
そしてなんといっても池袋の観客って反応が良い落語通の方が多くいるんで、寄席芸を堪能できます。
今日の新真打披露は林家花ごめ師匠が主任でおこなわれます。花緑師匠門下で二ツ目の頃から存じていて、古典・新作問わず演目に対して快活で正攻法の芸を見せてくれます。
いつものように最前列に陣取って、襲名披露をお祝いしつつたっぷりと寄席芸を楽しみます。
開口一番は「真田小僧」から「牛ほめ」「粗忽長屋」「たいこ腹」「呑次郎伝説(新作)」「芝居の喧嘩」「あくび指南」「無精床」色物さんもズラズラと・・・
中入り後には襲名披露口上もあって、場内をいっそう盛り上げて、トリの花ごめ師匠が「かごめかごめ」の出囃子に乗って登壇します。
演目は「佐々木政談」(ひさびさの拝聴です)
佐々木信濃守と「お白州ごっこ」に興じる子供たちとの関わり合い、歯切れよくテンポの良い花ごめ師匠が、とくにくすぐりもなく淡々と噺を進めます。
オチはなく士分に取り立てられる人情ばなしとしての佐々木政談となりました。
こどものしゃべくりは声質もあってぴったりハマるのですが、お奉行さまはどうしても軽く見えちゃいます。なかなか人物を演じ分けるのはむずかしいですよね。
まあこれだけは経験と年齢と貫禄がモノをいいますから仕方ありませんが、それでも快活で聴きやすい話芸は気持ちよいもんで、お祝いする観客も噺の世界に入り浸っておおいに盛り上げました。
今回の真打昇進は4名で、それぞれが違った個性と話芸をもっていて、これから贔屓も増えてますます活躍する場が増えることと思います。
そういった自分の話芸をいかに「個性ある自分の芸」にまでもってこれるか・・・これからも目が離せません。
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