佐伯祐三(さえき・ゆうぞう)
『オニーの牧場』(オニーのぼくじょう)
1925年制作・油彩・キャンバス
1924年、佐伯祐三は初めてパリの地を踏み、ヴラマンクと運命的な出会いを果たす。 そこで「アカデミック!」と怒号をあびせられ、 "目からうろこが落ちた"ように佐伯の作風は大きく方向を変えていく。 『オニーの牧場』はヴラマンクのアトリエのあったオーヴェールへの途中にある牧場を描いたものである。 アカデミズムからの脱却を望みながらも、自己の様式を創り出せない辛い心境が、 暗澹たる空やうねった草原に表れている。 全体にヴラマンクの影響を強く受けているが、黒や白の色彩の使い方に、 後の作品の萌芽がみられる。