不況下のドイツで株価が急騰する「奇々怪々」2025年もマイナス成長?「株式バブル」の様相も
ドイツの名目GDP(国内総生産)はドル換算で2023年に日本を抜き、アメリカと中国に続いて世界第3位となった。この状況をして日本よりもドイツの経済が好調であるかのような報道も相次いだが、ドイツ経済の実情は極めて厳しい。実際、ドイツの2024年の実質GDPは前年比0.2%減と、2年連続でマイナス成長となった。
GDP成長率に対する各需要項目の寄与度を確認すると、3年連続で減少した総資本形成と輸出が、全体の成長を下押しした。一方で、個人消費や政府支出が反発したものの、全体の成長率をプラスにするほどの力強さはなかった。当然ながら雇用情勢も悪化しており、2022年12月に5.4%だった登録失業率は、2024年12月に6.4%まで上昇した。
ドイツ商工会議所は3年連続のマイナス成長を予想
では2025年のドイツ経済はどうなるのか。政府の経済諮問委員会は2024年11月時点で、2025年の成長率が前年比0.4%増になると予測していた。しかしその後も経済指標は厳しい内容が相次いでおり、ドイツ連邦銀行は景気への悲観を強めている。ドイツ商工会議所に至っては、2025年の成長率は同0.5%減と3年連続のマイナスになるとの見解を示した。
事実、ドイツは景気回復への展望が描きにくい状況にある。頼みの輸出は、人件費高やエネルギー高の影響を受けて競争力を失っており、不調が続く。内需についても、個人消費は雇用・所得情勢が悪化しているため、勢いを欠く。設備投資は欧州中央銀行(ECB)による利下げが追い風となるが、輸出が不調なため回復は限定的だ。
ユーロ圏内や対中国で価格競争力が低下
オランダへの輸出は同国が最終消費地でない可能性が高いため評価が難しいが、ドイツ製品がユーロ圏の大国に対して価格競争力を失ったことは確かだろう。これは主に、ドイツのエネルギー政策の失敗に起因する。要するにロシア産ガスへの依存度が高かったドイツは、ガス価格の急騰が直撃し、価格競争力の低下につながった。
他方で非ユーロ圏はどうか。とりわけ物価が安定している中国に対しては、ドイツの価格競争力がおおよそ10%も低下している。その中国では、民族系メーカーの躍進も著しいため、ドイツ製品は価格のみならず品質の面でも、従来のような優位性は失われている。ドイツ企業にとって、中国はかつてのようなキャッシュカウ(金のなる木)ではなくなった。
対してポーランドや英国、アメリカでは、ドイツ以上の高インフレが生じたため、ドイツ製品の価格競争力が高まっている。特にアメリカに対する競争力は顕著に改善したが、そのアメリカは今、貿易赤字の削減に邁進するとともに、対アメリカ投資の増額を要求している。ゆえに価格競争力が改善したところで、ドイツ製品の対アメリカ輸出の増加は望みにくい。
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