成立論は作品の成立時期を議論する。万葉集は奈良時代、759年以降、成立であるとして、この以降はいつなのかを明らかにすることになる。その手掛かりとなるものは書の成立を述べる、記すものの存在である。出版文化において現代の書籍なら奥付があってそこに記載されているようなことが、古代からなかったわけではない。その作品に序文、跋文、作者による説明のことがあれば、それが成立の事情を明かす。それも時代とともに生まれた、つくられた状況の結果がある。古典文学の作品にはそのようなことを明示する、明記するものがないということがあって、作品の成立時期、作者による作品の成立状況、編者かいて編集があるとその様子など、作者の意識にかかわらず作品としてまとまると、まとめられたものとして伝わってくることによって、後世の学者、研究者によって、そこにある成立の問題が論議される。 . . . 本文を読む