3 日本語はあいまいですか
片づけをしていたら、日本語あれこれ事典があった。20140211 日本語学の臨時増刊号である。出版年は、2002年111月、VOL.21 とある。日本語あれこれ百科をかんがえてみよう。
日本語はあいまいではない。どの言語も、あいまいに使えば、あいまいである。修辞にあいまいを言うものがある。それに注意しなければならないし、そもそも、あいまいという語の意味内容を、あいまいにしてはならないので、曖昧はどのような意味か、確かめてみよう。
留学生に日本語を教えていて、中国の留学生から、日本語は曖昧だ、政治家のことばがそうだというふうによく聞かされた。もう30年も前のことである。検討しておきます、考えておきます、というような答弁の類いに常套句として見える言葉の言い回しだ。要するに、はっきりしないというわけだが、そのあいまいさをなぜそう思うのかと聞いていると、検討しますという答え方は、結局は何もしないことを意味する、考えておきますとは、考えるだけで実行に至るか、そうでないか、はっきりしないからだと言っていた。確かに政治家の答弁がそのようなことであり、庶民の窓口の行政の担当者にも及ぶ答え方として指摘されていた。そのような曖昧さを、外国語学習として思うところがあって、ここぞとばかりに留学生たちは言ってきたのだろう。
曖昧さは、その意味内容を捉えると、態度や物事に使われる言葉となっている。
またもとはと言えば、漢語から、曖昧模糊などという語がある。
そこで注意して検索すると、曖昧の語が二義性を持つ、また多義性を持つと解釈されていることである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/曖昧
>曖昧とは、1つの表現や文字列、項目などが2つ以上の意味にとれること、もしくは、周辺が不明瞭なことである。
>どちらか一方に決めることが出来ない、多義性(英語: ambiguity)をもつ状態を曖昧という。
(例:「あめは大好きです。」のあめは、「雨」もしくは「飴」のどちらかの意味で使われている。はっきりしていないのでこれは曖昧であると言える。)
人間の感覚や、背の高低など、はっきりと対象を指し示せないという意味でもある。
曖昧模糊(あいまいもこ):ぼんやりとしており、はっきりしない様。模糊は曖昧と同義の言葉である。
この説明では、わたしたちが捉える、あいまいな、というのとはかなり違ったイメージがあるようなことになる。漢字における意味内容と、翻訳語における意味内容のとらえ方が、明らかに違うのである。ここに、日本人のイエスはノーの意味であるというような、使用場面の語用における答え方がかかわってくる。はい、はい、と促しをするあいづちのことばは、またイエスの連発と受け取られ、結局は、それは違います、いいえの答えになっていて、ノーです、というようなことがある。
日本語があいまいだと言われるときには、この修辞技巧に見る曖昧性をとらえた理解があることに、日本語の使い手である、日本人自身がわからない、知らないことがあるので、日本語はあいまいですかと、聞かれて、単純に、ぼやけた意味合いを想像する言葉遣いを聞かれたなどと思っていたら、それは、とんでもないことである。曖昧な日本語とは、ときによって、うそをつき続ける言葉の使い方を示していることになるのであるから、はっきりと、ぼかしの優れた技巧をもつ、そのあいまいさを主張すべきであろう。
くわえて、言語にこのような曖昧性があるなら、このようなというのは、日本語としての優れた言い回しであるが、そのあいまいさを知るわたしたちの、その日本語の用法にあるのは、言葉の使い手が、はっきりとしたもの言いをまたすることがあるということであるので、必要ならば、そういう表現をもちいるべきであるのは、使い手による自身のことばにある。
デジタル大辞泉
あい‐まい【曖昧】
[名・形動]
1 態度や物事がはっきりしないこと。また、そのさま。あやふや。「―な答え」
2 怪しくて疑わしいこと。いかがわしいこと。また、そのさま。「―宿(やど)」
[派生]あいまいさ[名]
[用法]あいまい・[用法]あやふや――「あいまいな(あやふやな)態度」「あいまいな(あやふやな)返事」の場合は、相通じて用いられる。◇「あいまい」は「責任をあいまいにする」「あいまいな説明でごまかす」のように、意識的に物事をはっきりさせないでおく場合にも用いる。これを「あやふや」で置き換えると不自然である。◇「あやふや」は「あやふやな気持ち」「あやふやな答弁」のように、本人自身が言葉や態度をはっきりさせられずにいる場合に用いることが多い。
その用法にも辞書には次のような語句を載せていて、さまざまである。
あいまいアクセント【曖昧アクセント】
日本語の諸方言におけるアクセントの一。型の区別があるにはあるが非常に曖昧で、一型(いっけい)アクセントへ移行する寸前のものと考えられている。石川県能登地方など主として一型アクセントの周辺にみられる。→一型アクセント
あいまいけんさく【曖昧検索】
《fuzzy search》サーチエンジンやデータベースの機能またはサービスの一。検索するキーワードと完全に一致していなくても、表記の異なりや同義語も含め、柔軟に解釈して検索すること。ファジー検索。類似検索。
あいまいぢゃや【曖昧茶屋】
「曖昧屋」に同じ。
あいまいもこ【曖昧模糊】
[ト・タル][文][形動タリ]物事の内容・意味がはっきりせず、ぼんやりしているさま。「―とした状態」
あいまいや【曖昧屋】
料理屋・茶屋・旅館などに見せかけて売春をする家。曖昧茶屋。曖昧宿。
提供元 デジタル大辞泉
曖昧(あいまい) - 語源由来辞典
gogen-allguide.com › 「あ」から始まる言葉
曖昧(あいまい)の意味・語源・由来を解説。 ... 【曖昧の語源・由来】. 曖昧は、漢語に由来する言葉である。 「曖」も「昧」も「暗い」を意味する字で、暗くて確かでないというところから、「はっきりしない」や「いかがわしい」といった意味が生じた。
ウイキペディアより。
>修辞における曖昧
修辞において曖昧は2つ以上の意味にとれる表現のことをさす。ウィリアム・エンプソンは『曖昧の七つの型』において書名通り曖昧を以下の7つに分類し、その中に積極的な価値を見いだそうとしニュークリティシズムの先駆となった。なお、彼は同書で曖昧性が生まれる理由をそれによって意味がより直接的に伝えられると思うからではないかと推察している。
語あるいは文の構造が同時に多様に働く場合
2つ以上の意味が融け合い一つの意味になる場合
2つ以上の意味を持つ語の各意味が、ともに適切である場合(すなわち地口)
文章にある2つ以上の意味が、それぞれの意味が他と一致せず複雑な心理を明らかにする場合
その観念が生成過程であるため比喩が正確にあてはまる対象がない場合
文章が類語の反復や矛盾を引き起こし、何も意味していない場合
語の2つの意味が、2つの対立する意味をなし、主体の分裂を示している場合
片づけをしていたら、日本語あれこれ事典があった。20140211 日本語学の臨時増刊号である。出版年は、2002年111月、VOL.21 とある。日本語あれこれ百科をかんがえてみよう。
日本語はあいまいではない。どの言語も、あいまいに使えば、あいまいである。修辞にあいまいを言うものがある。それに注意しなければならないし、そもそも、あいまいという語の意味内容を、あいまいにしてはならないので、曖昧はどのような意味か、確かめてみよう。
留学生に日本語を教えていて、中国の留学生から、日本語は曖昧だ、政治家のことばがそうだというふうによく聞かされた。もう30年も前のことである。検討しておきます、考えておきます、というような答弁の類いに常套句として見える言葉の言い回しだ。要するに、はっきりしないというわけだが、そのあいまいさをなぜそう思うのかと聞いていると、検討しますという答え方は、結局は何もしないことを意味する、考えておきますとは、考えるだけで実行に至るか、そうでないか、はっきりしないからだと言っていた。確かに政治家の答弁がそのようなことであり、庶民の窓口の行政の担当者にも及ぶ答え方として指摘されていた。そのような曖昧さを、外国語学習として思うところがあって、ここぞとばかりに留学生たちは言ってきたのだろう。
曖昧さは、その意味内容を捉えると、態度や物事に使われる言葉となっている。
またもとはと言えば、漢語から、曖昧模糊などという語がある。
そこで注意して検索すると、曖昧の語が二義性を持つ、また多義性を持つと解釈されていることである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/曖昧
>曖昧とは、1つの表現や文字列、項目などが2つ以上の意味にとれること、もしくは、周辺が不明瞭なことである。
>どちらか一方に決めることが出来ない、多義性(英語: ambiguity)をもつ状態を曖昧という。
(例:「あめは大好きです。」のあめは、「雨」もしくは「飴」のどちらかの意味で使われている。はっきりしていないのでこれは曖昧であると言える。)
人間の感覚や、背の高低など、はっきりと対象を指し示せないという意味でもある。
曖昧模糊(あいまいもこ):ぼんやりとしており、はっきりしない様。模糊は曖昧と同義の言葉である。
この説明では、わたしたちが捉える、あいまいな、というのとはかなり違ったイメージがあるようなことになる。漢字における意味内容と、翻訳語における意味内容のとらえ方が、明らかに違うのである。ここに、日本人のイエスはノーの意味であるというような、使用場面の語用における答え方がかかわってくる。はい、はい、と促しをするあいづちのことばは、またイエスの連発と受け取られ、結局は、それは違います、いいえの答えになっていて、ノーです、というようなことがある。
日本語があいまいだと言われるときには、この修辞技巧に見る曖昧性をとらえた理解があることに、日本語の使い手である、日本人自身がわからない、知らないことがあるので、日本語はあいまいですかと、聞かれて、単純に、ぼやけた意味合いを想像する言葉遣いを聞かれたなどと思っていたら、それは、とんでもないことである。曖昧な日本語とは、ときによって、うそをつき続ける言葉の使い方を示していることになるのであるから、はっきりと、ぼかしの優れた技巧をもつ、そのあいまいさを主張すべきであろう。
くわえて、言語にこのような曖昧性があるなら、このようなというのは、日本語としての優れた言い回しであるが、そのあいまいさを知るわたしたちの、その日本語の用法にあるのは、言葉の使い手が、はっきりとしたもの言いをまたすることがあるということであるので、必要ならば、そういう表現をもちいるべきであるのは、使い手による自身のことばにある。
デジタル大辞泉
あい‐まい【曖昧】
[名・形動]
1 態度や物事がはっきりしないこと。また、そのさま。あやふや。「―な答え」
2 怪しくて疑わしいこと。いかがわしいこと。また、そのさま。「―宿(やど)」
[派生]あいまいさ[名]
[用法]あいまい・[用法]あやふや――「あいまいな(あやふやな)態度」「あいまいな(あやふやな)返事」の場合は、相通じて用いられる。◇「あいまい」は「責任をあいまいにする」「あいまいな説明でごまかす」のように、意識的に物事をはっきりさせないでおく場合にも用いる。これを「あやふや」で置き換えると不自然である。◇「あやふや」は「あやふやな気持ち」「あやふやな答弁」のように、本人自身が言葉や態度をはっきりさせられずにいる場合に用いることが多い。
その用法にも辞書には次のような語句を載せていて、さまざまである。
あいまいアクセント【曖昧アクセント】
日本語の諸方言におけるアクセントの一。型の区別があるにはあるが非常に曖昧で、一型(いっけい)アクセントへ移行する寸前のものと考えられている。石川県能登地方など主として一型アクセントの周辺にみられる。→一型アクセント
あいまいけんさく【曖昧検索】
《fuzzy search》サーチエンジンやデータベースの機能またはサービスの一。検索するキーワードと完全に一致していなくても、表記の異なりや同義語も含め、柔軟に解釈して検索すること。ファジー検索。類似検索。
あいまいぢゃや【曖昧茶屋】
「曖昧屋」に同じ。
あいまいもこ【曖昧模糊】
[ト・タル][文][形動タリ]物事の内容・意味がはっきりせず、ぼんやりしているさま。「―とした状態」
あいまいや【曖昧屋】
料理屋・茶屋・旅館などに見せかけて売春をする家。曖昧茶屋。曖昧宿。
提供元 デジタル大辞泉
曖昧(あいまい) - 語源由来辞典
gogen-allguide.com › 「あ」から始まる言葉
曖昧(あいまい)の意味・語源・由来を解説。 ... 【曖昧の語源・由来】. 曖昧は、漢語に由来する言葉である。 「曖」も「昧」も「暗い」を意味する字で、暗くて確かでないというところから、「はっきりしない」や「いかがわしい」といった意味が生じた。
ウイキペディアより。
>修辞における曖昧
修辞において曖昧は2つ以上の意味にとれる表現のことをさす。ウィリアム・エンプソンは『曖昧の七つの型』において書名通り曖昧を以下の7つに分類し、その中に積極的な価値を見いだそうとしニュークリティシズムの先駆となった。なお、彼は同書で曖昧性が生まれる理由をそれによって意味がより直接的に伝えられると思うからではないかと推察している。
語あるいは文の構造が同時に多様に働く場合
2つ以上の意味が融け合い一つの意味になる場合
2つ以上の意味を持つ語の各意味が、ともに適切である場合(すなわち地口)
文章にある2つ以上の意味が、それぞれの意味が他と一致せず複雑な心理を明らかにする場合
その観念が生成過程であるため比喩が正確にあてはまる対象がない場合
文章が類語の反復や矛盾を引き起こし、何も意味していない場合
語の2つの意味が、2つの対立する意味をなし、主体の分裂を示している場合