文章論 東日本大震災で被災 図書館、あの日の記憶記す
日経新聞見出しより
1面
20190309
北朝鮮、サイバー攻撃で仮想通貨5億ドル奪う
17~18年の国連報告入手
国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調査する専門家パネル(総合2面きょうのことば)が月内にも公表する報告書の全容が明らかになった。北朝鮮が経済制裁を逃れて外貨を取得する主要手段としてサイバー攻撃を強化していると分析。2017~18年にかけ仮想通貨交換業者への攻撃で推計5億ドル(555億円)超の被害が出たとも指摘…続き
• ドコモ、7000万人データ開放 協業先に有償で
• 外資の日欧コンテナ航路復活 EPA追い風
• 米雇用、2月2万人増に減速 1年5カ月ぶり低水準
春秋より
>
日本人レスラーを痛めつける外国人を、子供心に絶対許せないと思って見ていた。いや、大人だってそうだったろう。ブラウン管の白黒テレビのなかで、あろうことか敵は凶器まで取り出して襲いかかる。卑怯(ひきょう)だ。茶の間で悲鳴が上がったとき、ついに怒濤(どとう)の反撃――。
往年のプロレスに、こんな図式が定着したのは存在感抜群の悪役がいたからだ。その代表はザ・デストロイヤー。1963年5月の力道山との対決は視聴率64%に達した。敗戦の記憶は遠くない。それでも高度成長によって暮らしは豊かさを増していく。戦後昭和の日本人の心持ちを、このヒールは見事に受け止めていた。
白覆面に隠された好漢ぶりが世に知られ、日米親善に熱心なタレントとしてカラー画面に登場してきたのは後年のことである。東日本大震災の被災者支援にも取り組み、日本の勲章も受けた本名リチャード・ベイヤーさんが88歳で亡くなった。私たちが歩んできた時代を、リングの内外で体現してくれた長い友人であった。
やりたい放題のデストロイヤーに憤り、4の字固めを逃れたジャイアント馬場に、さあいまだ! と声援を送った日本人は消えた。そのかわり、冷めていながらネット空間で炎上ネタを探したり、排外主義的な言葉を弄んだりする昨今の屈折ぶりである。平成も暮れゆく。良きヒールのいた風景をしばし胸にとどめようか。
文章論 東日本大震災で被災 図書館、あの日の記憶記す
文化
20190309
解説記事である。
タイトルは次である。
東日本大震災で被災 図書館、あの日の記憶記す
生前の様子を文集に/地図上に当時の写真
冒頭は次である。
>
東日本大震災で被災した図書館が、体験の記録・伝承に取り組んでいる。犠牲者の生前の様子を文集に残したり、被災状況をマッピングしたアプリを公開したり。記憶を風化させないためのアーカイブを構築しつつ、コミュニティー再生の場となるべく模索を続けている。
段落は次のようである。
>
宮城県図書館の「コンテンツナビゲーター」
昨年以降、被災地では公立図書館の再開が相次ぐ。大槌町文化交流センター「おしゃっち」(岩手県大槌町)は、再建住宅などに囲まれた町の中心地に2018年6月にオープンした。前身の大槌町立図書館は津波で全壊、12~17年まで仮設の図書館で業務を続けた。
>
町民も聞き取り
「厳格な性格でしたが、家族思いの父でした」「毎年スズメの雛(ひな)が孵(かえ)り巣立っていくのを楽しみにしていました」
一人ひとりの人生の断面や被災時の生々しい状況が、遺族や友人知人の言葉でつづられている。壊れた建物や死者の数といった「記録」ではなく、記憶を残す「伝承」の試み。当初は町外の調査機関に委託していたが、15年からは遺族を含む町民13人が加わった調査団が聞き取りに歩いた。
>
皆の居場所に
被災地の図書館は傷ついたコミュニティーを再生する場でもある。書棚をのぞくと、住宅再建や沿岸部で盛んな水産業関連など、暮らしや生業に直結する本が目立つ。個性的なのは18年3月に再建した気仙沼図書館(宮城県気仙沼市)だ。
末尾は次である。
>
避難所の掲示物を館内に貼ったり新聞を置いたりして、避難所まで足を運べない人にも情報が行き渡るようにした。
住民が大量に出て行った町や仮設住宅には、親しんだ町や人との関係を断ち切られ、孤独に悩む人々がいる。そんなとき「図書館はだれでも訪れることができる敷居の低い場所。新しい場のコミュニケーションを生み出せる」と鎌倉氏は期待する。
(村上由樹)
Chunichiwebより
2019年3月9日
• 防災の花、咲かせたい 石巻発、教訓を全国に 3/9
• 障害者雇用、未達成省庁に「罰金」 政府、予算減 3/9
• 10日に名古屋ウィメンズマラソン 招待選手が会見 3/9
2019年3月8日
• 新1年生向けに8歳が冊子 イラスト添え助言 3/8
• 行政評価局「事なかれ主義がまん延」 統計不正、厚労省の体質批判 3/8
• 1月実質賃金、3カ月連続増 速報値、1・1%増 3/8
• <出発進行> 三陸鉄道(4) 3/8
中日春秋
2019/3/9 紙面から
>
覆面をかぶったまま、空港の入国審査を通ったことがあるらしい。銀行に堂々と入って、用事を済ませることも。母国の米国なら許されないどころか、事件になってもおかしくない。それがわが国であれば、そしてこの人ならば許された。周囲に咲いた日本の人々の笑顔を思い浮かべる。米国の覆面レスラー「ザ・デストロイヤー」である
リング上で外国人プロレスラーといえばすなわち悪役だった時代がある。力道山が空手チョップで、外国から来た猛者たちをなで切りにしていたころである。ザ・デストロイヤーも記録的な視聴率となった伝説の熱戦で、空手チョップにより歯を四本折られている
自身と共通する律義さや友情を大切にする気風を日本にみたのだという。「私は日本人に近いのかもしれない」と自著にある。親友となったジャイアント馬場さんと組み、日本に移り住んでリングに上がる道を選ぶ
テレビのバラエティー番組の記憶も残る。日本のタレントとともに笑いを振りまいた。善玉の外国人レスラーや日本の笑いになじんだ外国人は今でこそ珍しくない。当時は違った
外国人との心の垣根を日本のリングとお茶の間で、下げた人だろう。本名リチャード・ベイヤーさん。八十八歳で亡くなったと知らせが届いた
引退後も日米を結ぶスポーツ交流などに取り組んだ。マスク越しにみえた笑顔が懐かしい。
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日経新聞見出しより
1面
20190309
北朝鮮、サイバー攻撃で仮想通貨5億ドル奪う
17~18年の国連報告入手
国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調査する専門家パネル(総合2面きょうのことば)が月内にも公表する報告書の全容が明らかになった。北朝鮮が経済制裁を逃れて外貨を取得する主要手段としてサイバー攻撃を強化していると分析。2017~18年にかけ仮想通貨交換業者への攻撃で推計5億ドル(555億円)超の被害が出たとも指摘…続き
• ドコモ、7000万人データ開放 協業先に有償で
• 外資の日欧コンテナ航路復活 EPA追い風
• 米雇用、2月2万人増に減速 1年5カ月ぶり低水準
春秋より
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日本人レスラーを痛めつける外国人を、子供心に絶対許せないと思って見ていた。いや、大人だってそうだったろう。ブラウン管の白黒テレビのなかで、あろうことか敵は凶器まで取り出して襲いかかる。卑怯(ひきょう)だ。茶の間で悲鳴が上がったとき、ついに怒濤(どとう)の反撃――。
往年のプロレスに、こんな図式が定着したのは存在感抜群の悪役がいたからだ。その代表はザ・デストロイヤー。1963年5月の力道山との対決は視聴率64%に達した。敗戦の記憶は遠くない。それでも高度成長によって暮らしは豊かさを増していく。戦後昭和の日本人の心持ちを、このヒールは見事に受け止めていた。
白覆面に隠された好漢ぶりが世に知られ、日米親善に熱心なタレントとしてカラー画面に登場してきたのは後年のことである。東日本大震災の被災者支援にも取り組み、日本の勲章も受けた本名リチャード・ベイヤーさんが88歳で亡くなった。私たちが歩んできた時代を、リングの内外で体現してくれた長い友人であった。
やりたい放題のデストロイヤーに憤り、4の字固めを逃れたジャイアント馬場に、さあいまだ! と声援を送った日本人は消えた。そのかわり、冷めていながらネット空間で炎上ネタを探したり、排外主義的な言葉を弄んだりする昨今の屈折ぶりである。平成も暮れゆく。良きヒールのいた風景をしばし胸にとどめようか。
文章論 東日本大震災で被災 図書館、あの日の記憶記す
文化
20190309
解説記事である。
タイトルは次である。
東日本大震災で被災 図書館、あの日の記憶記す
生前の様子を文集に/地図上に当時の写真
冒頭は次である。
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東日本大震災で被災した図書館が、体験の記録・伝承に取り組んでいる。犠牲者の生前の様子を文集に残したり、被災状況をマッピングしたアプリを公開したり。記憶を風化させないためのアーカイブを構築しつつ、コミュニティー再生の場となるべく模索を続けている。
段落は次のようである。
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宮城県図書館の「コンテンツナビゲーター」
昨年以降、被災地では公立図書館の再開が相次ぐ。大槌町文化交流センター「おしゃっち」(岩手県大槌町)は、再建住宅などに囲まれた町の中心地に2018年6月にオープンした。前身の大槌町立図書館は津波で全壊、12~17年まで仮設の図書館で業務を続けた。
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町民も聞き取り
「厳格な性格でしたが、家族思いの父でした」「毎年スズメの雛(ひな)が孵(かえ)り巣立っていくのを楽しみにしていました」
一人ひとりの人生の断面や被災時の生々しい状況が、遺族や友人知人の言葉でつづられている。壊れた建物や死者の数といった「記録」ではなく、記憶を残す「伝承」の試み。当初は町外の調査機関に委託していたが、15年からは遺族を含む町民13人が加わった調査団が聞き取りに歩いた。
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皆の居場所に
被災地の図書館は傷ついたコミュニティーを再生する場でもある。書棚をのぞくと、住宅再建や沿岸部で盛んな水産業関連など、暮らしや生業に直結する本が目立つ。個性的なのは18年3月に再建した気仙沼図書館(宮城県気仙沼市)だ。
末尾は次である。
>
避難所の掲示物を館内に貼ったり新聞を置いたりして、避難所まで足を運べない人にも情報が行き渡るようにした。
住民が大量に出て行った町や仮設住宅には、親しんだ町や人との関係を断ち切られ、孤独に悩む人々がいる。そんなとき「図書館はだれでも訪れることができる敷居の低い場所。新しい場のコミュニケーションを生み出せる」と鎌倉氏は期待する。
(村上由樹)
Chunichiwebより
2019年3月9日
• 防災の花、咲かせたい 石巻発、教訓を全国に 3/9
• 障害者雇用、未達成省庁に「罰金」 政府、予算減 3/9
• 10日に名古屋ウィメンズマラソン 招待選手が会見 3/9
2019年3月8日
• 新1年生向けに8歳が冊子 イラスト添え助言 3/8
• 行政評価局「事なかれ主義がまん延」 統計不正、厚労省の体質批判 3/8
• 1月実質賃金、3カ月連続増 速報値、1・1%増 3/8
• <出発進行> 三陸鉄道(4) 3/8
中日春秋
2019/3/9 紙面から
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覆面をかぶったまま、空港の入国審査を通ったことがあるらしい。銀行に堂々と入って、用事を済ませることも。母国の米国なら許されないどころか、事件になってもおかしくない。それがわが国であれば、そしてこの人ならば許された。周囲に咲いた日本の人々の笑顔を思い浮かべる。米国の覆面レスラー「ザ・デストロイヤー」である
リング上で外国人プロレスラーといえばすなわち悪役だった時代がある。力道山が空手チョップで、外国から来た猛者たちをなで切りにしていたころである。ザ・デストロイヤーも記録的な視聴率となった伝説の熱戦で、空手チョップにより歯を四本折られている
自身と共通する律義さや友情を大切にする気風を日本にみたのだという。「私は日本人に近いのかもしれない」と自著にある。親友となったジャイアント馬場さんと組み、日本に移り住んでリングに上がる道を選ぶ
テレビのバラエティー番組の記憶も残る。日本のタレントとともに笑いを振りまいた。善玉の外国人レスラーや日本の笑いになじんだ外国人は今でこそ珍しくない。当時は違った
外国人との心の垣根を日本のリングとお茶の間で、下げた人だろう。本名リチャード・ベイヤーさん。八十八歳で亡くなったと知らせが届いた
引退後も日米を結ぶスポーツ交流などに取り組んだ。マスク越しにみえた笑顔が懐かしい。
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