話し込んでいて、ヴァリエーションという用語が出てきた。バリエーション variationとは、 物事の変化、また、物の変型、変種などのことである。それで、言語における変種のことを研究するとすればと思って検索する。2007年、2011年がヒットした。それをさかのぼると、ソシュールの通時、共時の論までをみることになる。
>ソスュールの言語学に淵源するこのような言語の構造様態の研究は、個別言語の空間的な広がりにおけるヴァリエーション
言語変種のことかと思い至りながら、この語が出てきた話の文脈は、これにあうことだったか、はてな。
ウイキペディア、個別言語より
>個別言語の研究の学としての個別言語学は、言語学一般がそうであるように、個別言語の共時的様態と通時的様態の構造研究をその主題として持つ。ソスュールの言語学に淵源するこのような言語の構造様態の研究は、個別言語の空間的な広がりにおけるヴァリエーションと、時間的な広がりにおけるヴァリエーションを研究対象とする。
言語は、空間的・時間的に、構造を維持しつつ絶え間なく変容しつつあり、個別言語のヴァリエーションは、語群 (Language group) の言語学研究にも通じて行く。
>ある時間点を指定するとき、個別言語は、空間的な広がりでヴァリエーションを持つ構造の集合となる。通常、地理的な広がりにおいて、個別言語は方言のヴァリエーションに分かれる。方言は構造と語彙における個別言語の部分集合とも考えられ、逆に、方言の集合が、個別言語を定義する。他方、方言を含む広義の変種は、定義された個別言語からの、主として語彙における逸脱を意味し、語彙における逸脱に、文法構造における逸脱が加わって、別の個別言語へと派生乃至混成されて行くのだと言える。
>通時的に変容する言語は、そのときどきの共時的なありよう、地理的方言と変種のヴァリエーションと互いに絡み合っているのが通常である。
>個別言語と考えられる言語システムとその方言と見なされる言語のシステム、あるいは、個別言語とその連続的ヴァリエーションとも言える、変種システムのあいだの比較においては、「言語的事実」として、区別が存在する場合と、存在しない場合がありえる。
生きた言語使用をどう考察するか:言葉の変化(バリエーション)
言語と文化 - 言語学から読み解くことばのバリエーション
著者名 南雅彦 著 著書検索
発売日 2009年11月16日
ジャンル 社会言語学・方言
教員紹介|大阪大学日本語学研究室
www.let.osaka-u.ac.jp/nihongogaku/teacher/index.html
研究紹介世界には5000~6000の諸言語があると言われていますが、その中で日本語はどのような特徴をもった言語であるのか、文法 ... さらに、海外の日系・沖縄系移民社会では、言語の接触と混交によって、様々な日本語のバリエーションが生まれています。
>一口に日本語といっても、標準語のみならず諸方言もあり、文法構造は実に多様です。さらに、海外の日系・沖縄系移民社会では、言語の接触と混交によって、様々な日本語のバリエーションが生まれています。このような日本語のダイナミズムを複眼的、総合的に考えていきたいと思っています。
日本語教育
134号(2007.7)
〔特集〕日本語のバリエーションと日本語教育
〔寄稿〕なぜいま日本語バリエーションか 渋谷勝己
バリエーション(言語変種:variation) | Suinasia
suin.asia/2008/08/25/variation.html
2008/08/25 - バリエーションとは、(1)地域的、(2)階層的、(3)場面的な要因によって基準となる言語と共通点を共有しながら、若干異なった体系を持つ言語である。
>バリエーション(言語変種:variation)
バリエーションの種類
地理的なバリエーション
階層的なバリエーション
場面的なバリエーション
地理的なバリエーション
静的なバリエーション
方言
文法体系に多くの共通点が見られ、音韻・語彙については大きな差があるバリエーション
階層的なバリエーション
静的なバリエーション
職業・地位・性別・年齢・人種・宗教など社会的差異に基づくバリエーション
場面的なバリエーション
動的なバリエーション ... 一個人でも場面によって異なったレジスターを使用。
機能上のバリエーション → レジスター
目的・話題によるレジスター
集団語
職業語・専門語・述語など、仕事上効率的なコミュニケーションを目指して作られたバリエーション。
隠語・スラングなど、集団の秘密を守ったり、結束性を強めるために作られたバリエーション。
伝達方法によるレジスター
電話・手紙・ファックス・Eメールなど媒体の違いによって生じたバリエーション
役割関係によるレジスター
特定の話者に話しかけるとき、普段と異なった言葉遣いをするバリエーション
ベビートーク...大人→幼児
フォーリナートーク...母語話者→非母語話者
北星学園大学 教員情報
タカノ ショウジ
高野 照司 文学部 英文学科 教授
標題
ことばのバリエーションの「社会的意味」を伝達する能力 ~地域社会の急速なグローバル化がもたらす土着イデオロギーに着目して~
概要
言語能力は可変的特性を持ち、その可変性と深く関わる「社会的次元」を言語能力の重要な構成要素として捉えなおすべきである。変異理論の近年の展開のなかで、この「社会的次元」を巡る議論が活発化している。言語運用上の揺れは、それを用いる話者の「社会的実践」と深く結びついており、特定の地域社会・社会集団・一個人にとっても重要な「社会的意味」を持つ。ことばのバリエーション研究における「伝達能力」とは、常に“揺れる”言語運用を通して、話者が他者へ何らかの社会的意味を投影する能力だと言える。
単著 コミュニケーション能力の諸相―変移・共創・身体化― ひつじ書房 2013/03
標題
バリエーション研究の新たな展開
概要
ことばのバリエーション研究の学問的展開を「三つの波」として紹介。特に近年の新しい展開については、計量的調査手法に質的観点を統合する第二の波、バリエーションの社会的意味を重要視する第三の波について、筆者が行ってきたこれまでの研究成果を事例として解説した。
バリエーション研究 » NO LANGUAGE, NO LIFE.
odanizemi.ws.hosei.ac.jp/wp/?p=939
『日本語学』より高野照司(2011)「バリエーション研究の新たな展開」です。 卒論では方言研究を ...
>今回私が要約した論文は、『日本語学』より高野照司(2011)「バリエーション研究の新たな展開」です。
卒論では方言研究を調べていこうと思うのでその足掛かりになればということでこの論文を選びました。以下要約です。
この論文ではウィリアム・ラハブがもたらした研究成果を土台とした「バリエーション理論」について、その進化のプロセスを三期(三つの波)にわけることでその歴史を説明し、言葉のバリエーション研究がもたらしえる言語研究の新たな可能性について考察している。
第一の波:言語運用に潜む秩序の発見
ここではニューヨーク市英語における母音直後の(r)の発音における社会階層とスタイルの規則的相関から、そこに「社会的次元」から発生する「規則性」を示し、言葉の変化はその性質上「上からの変化」と「下からの変化」に分類できることを提唱した。
「上からの変化」とは話者自身が言葉の変化が進んでいくことを察知している場合のへんかであり、この変化は先進国において強く推し進められる傾向にある。
一方で、「下からの変化」とは社会的評価がいまだ与えられていない新しい変化であり社会の中間的社会階層が牽引役になりやすい。
第二の波:集団から個へ~質的視点の融合~
ここでは言語人類学や社会心理学といった隣接分野からの知見を利用しながら言語知識固有の要素としての「社会的次元」の定義や解釈をめぐる問題について述べている。
これまでのバリエーション研究では「話者属性」を画一的に定め、個々の話者を特定の社会集団に振り分ける方法が主流だったため、特定社会集団が示す揺れのパターンから逸脱する話者や不変的法則に適合しない話者といった「個人差」をないがしろにし、バリエーションの実態を単純化してしまっていた。
こうした事態を避けるため、質的視点を計量的分析に融合しようとするアプローチが唱えられ、これに関連して、話者属性「性別」を巡る議論も活発化し、社会的に構築される動的な概念として「性」の再解釈が唱えられた。
第三の波:バリエーションが投影する社会的意味の探究
近年のバリエーション研究では言葉の主体である話者の社会生活や心理面など社会的次元への質的洞察を加えることで計量的分析から特定されるバリエーションの持つ「社会的意味」へと進展を見せており、さまざまな実生活要因が複合的に絡み合う動的な社会構築概念として再解釈が行われている。
急速なグローバル化が進む今日の日本社会において地方方言の共通語化は極めて自然な成り行きではあるが、しかしその一方で地域の固有性や土着性を誇示・主張するイデオロギーの芽生えやそれと密接にかかわる地域方言の保持といった地域復興についてはいままでのバリエーション研究では行われてこなかったものである。
筆者は今後の研究課題として方言使用意識や実際の言語運用におけるローカリズムの現れ、それと相乗的にある地方方言保持の可能性について追及するとしている。
>ソスュールの言語学に淵源するこのような言語の構造様態の研究は、個別言語の空間的な広がりにおけるヴァリエーション
言語変種のことかと思い至りながら、この語が出てきた話の文脈は、これにあうことだったか、はてな。
ウイキペディア、個別言語より
>個別言語の研究の学としての個別言語学は、言語学一般がそうであるように、個別言語の共時的様態と通時的様態の構造研究をその主題として持つ。ソスュールの言語学に淵源するこのような言語の構造様態の研究は、個別言語の空間的な広がりにおけるヴァリエーションと、時間的な広がりにおけるヴァリエーションを研究対象とする。
言語は、空間的・時間的に、構造を維持しつつ絶え間なく変容しつつあり、個別言語のヴァリエーションは、語群 (Language group) の言語学研究にも通じて行く。
>ある時間点を指定するとき、個別言語は、空間的な広がりでヴァリエーションを持つ構造の集合となる。通常、地理的な広がりにおいて、個別言語は方言のヴァリエーションに分かれる。方言は構造と語彙における個別言語の部分集合とも考えられ、逆に、方言の集合が、個別言語を定義する。他方、方言を含む広義の変種は、定義された個別言語からの、主として語彙における逸脱を意味し、語彙における逸脱に、文法構造における逸脱が加わって、別の個別言語へと派生乃至混成されて行くのだと言える。
>通時的に変容する言語は、そのときどきの共時的なありよう、地理的方言と変種のヴァリエーションと互いに絡み合っているのが通常である。
>個別言語と考えられる言語システムとその方言と見なされる言語のシステム、あるいは、個別言語とその連続的ヴァリエーションとも言える、変種システムのあいだの比較においては、「言語的事実」として、区別が存在する場合と、存在しない場合がありえる。
生きた言語使用をどう考察するか:言葉の変化(バリエーション)
言語と文化 - 言語学から読み解くことばのバリエーション
著者名 南雅彦 著 著書検索
発売日 2009年11月16日
ジャンル 社会言語学・方言
教員紹介|大阪大学日本語学研究室
www.let.osaka-u.ac.jp/nihongogaku/teacher/index.html
研究紹介世界には5000~6000の諸言語があると言われていますが、その中で日本語はどのような特徴をもった言語であるのか、文法 ... さらに、海外の日系・沖縄系移民社会では、言語の接触と混交によって、様々な日本語のバリエーションが生まれています。
>一口に日本語といっても、標準語のみならず諸方言もあり、文法構造は実に多様です。さらに、海外の日系・沖縄系移民社会では、言語の接触と混交によって、様々な日本語のバリエーションが生まれています。このような日本語のダイナミズムを複眼的、総合的に考えていきたいと思っています。
日本語教育
134号(2007.7)
〔特集〕日本語のバリエーションと日本語教育
〔寄稿〕なぜいま日本語バリエーションか 渋谷勝己
バリエーション(言語変種:variation) | Suinasia
suin.asia/2008/08/25/variation.html
2008/08/25 - バリエーションとは、(1)地域的、(2)階層的、(3)場面的な要因によって基準となる言語と共通点を共有しながら、若干異なった体系を持つ言語である。
>バリエーション(言語変種:variation)
バリエーションの種類
地理的なバリエーション
階層的なバリエーション
場面的なバリエーション
地理的なバリエーション
静的なバリエーション
方言
文法体系に多くの共通点が見られ、音韻・語彙については大きな差があるバリエーション
階層的なバリエーション
静的なバリエーション
職業・地位・性別・年齢・人種・宗教など社会的差異に基づくバリエーション
場面的なバリエーション
動的なバリエーション ... 一個人でも場面によって異なったレジスターを使用。
機能上のバリエーション → レジスター
目的・話題によるレジスター
集団語
職業語・専門語・述語など、仕事上効率的なコミュニケーションを目指して作られたバリエーション。
隠語・スラングなど、集団の秘密を守ったり、結束性を強めるために作られたバリエーション。
伝達方法によるレジスター
電話・手紙・ファックス・Eメールなど媒体の違いによって生じたバリエーション
役割関係によるレジスター
特定の話者に話しかけるとき、普段と異なった言葉遣いをするバリエーション
ベビートーク...大人→幼児
フォーリナートーク...母語話者→非母語話者
ティーチャートーク...教師→外国語学習者
北星学園大学 教員情報
タカノ ショウジ
高野 照司 文学部 英文学科 教授
標題
ことばのバリエーションの「社会的意味」を伝達する能力 ~地域社会の急速なグローバル化がもたらす土着イデオロギーに着目して~
概要
言語能力は可変的特性を持ち、その可変性と深く関わる「社会的次元」を言語能力の重要な構成要素として捉えなおすべきである。変異理論の近年の展開のなかで、この「社会的次元」を巡る議論が活発化している。言語運用上の揺れは、それを用いる話者の「社会的実践」と深く結びついており、特定の地域社会・社会集団・一個人にとっても重要な「社会的意味」を持つ。ことばのバリエーション研究における「伝達能力」とは、常に“揺れる”言語運用を通して、話者が他者へ何らかの社会的意味を投影する能力だと言える。
単著 コミュニケーション能力の諸相―変移・共創・身体化― ひつじ書房 2013/03
標題
バリエーション研究の新たな展開
概要
ことばのバリエーション研究の学問的展開を「三つの波」として紹介。特に近年の新しい展開については、計量的調査手法に質的観点を統合する第二の波、バリエーションの社会的意味を重要視する第三の波について、筆者が行ってきたこれまでの研究成果を事例として解説した。
バリエーション研究 » NO LANGUAGE, NO LIFE.
odanizemi.ws.hosei.ac.jp/wp/?p=939
『日本語学』より高野照司(2011)「バリエーション研究の新たな展開」です。 卒論では方言研究を ...
>今回私が要約した論文は、『日本語学』より高野照司(2011)「バリエーション研究の新たな展開」です。
卒論では方言研究を調べていこうと思うのでその足掛かりになればということでこの論文を選びました。以下要約です。
この論文ではウィリアム・ラハブがもたらした研究成果を土台とした「バリエーション理論」について、その進化のプロセスを三期(三つの波)にわけることでその歴史を説明し、言葉のバリエーション研究がもたらしえる言語研究の新たな可能性について考察している。
第一の波:言語運用に潜む秩序の発見
ここではニューヨーク市英語における母音直後の(r)の発音における社会階層とスタイルの規則的相関から、そこに「社会的次元」から発生する「規則性」を示し、言葉の変化はその性質上「上からの変化」と「下からの変化」に分類できることを提唱した。
「上からの変化」とは話者自身が言葉の変化が進んでいくことを察知している場合のへんかであり、この変化は先進国において強く推し進められる傾向にある。
一方で、「下からの変化」とは社会的評価がいまだ与えられていない新しい変化であり社会の中間的社会階層が牽引役になりやすい。
第二の波:集団から個へ~質的視点の融合~
ここでは言語人類学や社会心理学といった隣接分野からの知見を利用しながら言語知識固有の要素としての「社会的次元」の定義や解釈をめぐる問題について述べている。
これまでのバリエーション研究では「話者属性」を画一的に定め、個々の話者を特定の社会集団に振り分ける方法が主流だったため、特定社会集団が示す揺れのパターンから逸脱する話者や不変的法則に適合しない話者といった「個人差」をないがしろにし、バリエーションの実態を単純化してしまっていた。
こうした事態を避けるため、質的視点を計量的分析に融合しようとするアプローチが唱えられ、これに関連して、話者属性「性別」を巡る議論も活発化し、社会的に構築される動的な概念として「性」の再解釈が唱えられた。
第三の波:バリエーションが投影する社会的意味の探究
近年のバリエーション研究では言葉の主体である話者の社会生活や心理面など社会的次元への質的洞察を加えることで計量的分析から特定されるバリエーションの持つ「社会的意味」へと進展を見せており、さまざまな実生活要因が複合的に絡み合う動的な社会構築概念として再解釈が行われている。
急速なグローバル化が進む今日の日本社会において地方方言の共通語化は極めて自然な成り行きではあるが、しかしその一方で地域の固有性や土着性を誇示・主張するイデオロギーの芽生えやそれと密接にかかわる地域方言の保持といった地域復興についてはいままでのバリエーション研究では行われてこなかったものである。
筆者は今後の研究課題として方言使用意識や実際の言語運用におけるローカリズムの現れ、それと相乗的にある地方方言保持の可能性について追及するとしている。