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勘違いしない 奇特な人

2016-02-25 | 勘違いしやすい日本語

きとくなひと、変わった行いを持つ人のことであるが、その行いは、いわば、奇妙であり特異である。
人から感心されることをする。

したがって、ほめ言葉になる。
それを類語辞書では、珍しい好みを持つ人、世間にそう多くはいまいというほど心がけのよいさま、普通の人間と大きく異なる性質を持っている人のこと、というふうに、意義素からとらえて、奇特な人  今時めずらしい  という、心がけのよいさまでとらえている。

なお、この語の、社会に用いる動きを、次のサイトが解説する。

http://style.nikkei.com/article/DGXNASDB03003_T00C12A7000000?channel=DF130120166053&style=1
ことばオンライン
少年ジャンプで浸透? 「奇特な人=変なやつ」という間違い
2012/7/10

この奇特は、あやしい めづらしい、そして、すぐれている という語感があったようであるが、その用い方に、かわっている、できないようなことをする、あれっとおもってしまう、というような内容をくっつけてしまったのは、神変奇特といったことが、変人奇特と言ったことになってしまったからであろう。



き‐とく【奇特】 例文一覧 12件
・・・綱利は奇特の事とあって、甚太夫の願は許したが、左近の云い分は取り上げなかった。 求馬は甚太夫喜三郎の二人と共に、父平太郎の初七日をすますと、もう暖国の桜は散り過ぎた熊本の城下を後にした。        一 津崎左近は助太・・・<芥川竜之介「或敵打の話」 青空文庫>

・・・おお、姫神――明神は女体にまします――夕餉の料に、思召しがあるのであろう、とまことに、平和な、安易な、しかも極めて奇特な言が一致して、裸体の白い娘でない、御供を残して皈ったのである。 蒼ざめた小男は、第二の石段の上へ出た。沼の干たような・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」 青空文庫>

・・・(変じゃあないか、女房(それが御祈祷をした仁右衛門爺さんの奇特でございます。沢井様でも誰も地震などと思った方はないのでして、ただ草を刈っておりました私の目にばかりお居間の揺れるのが見えたのでございます。大方神様がお寄んなすった験なん・・・<泉鏡花「政談十二社」 青空文庫>

・・・が、そんな、実は、しおらしいとか、心入れ、とかいう奇特なんじゃなかったよ。懺悔をするがね、実は我ながら、とぼけていて、ひとりでおかしいくらいなんだよ。月夜に提灯が贅沢なら、真昼間ぶらで提げたのは、何だろう、余程半間さ。 というのがね、先・・・<泉鏡花「縷紅新草」 青空文庫>

・・・参詣人が来ると殊勝な顔をしてムニャムニャムニャと出放題なお経を誦しつつお蝋を上げ、帰ると直ぐ吹消してしまう本然坊主のケロリとした顔は随分人を喰ったもんだが、今度のお堂守さんは御奇特な感心なお方だという評判が信徒の間に聞えた。 椿岳が浅草・・・<内田魯庵「淡島椿岳」 青空文庫>

・・・この貴重な秘庫を民間奇特者に解放した一事だけでも鴎外のような学術的芸術的理解の深い官界の権勢者を失ったのは芸苑の恨事であった。 鴎外は早くから筆蹟が見事だった。晩年には益々老熟して蒼勁精厳を極めた。それにもかかわらず容易に揮毫の求め・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」 青空文庫>

・・・勢い霊玉の奇特や伏姫神の神助がやたらと出るので、親兵衛武勇談はややもすれば伏姫霊験記になる。他の犬士の物語と比べて人間味が著しく稀薄であるが、殊に京都の物語は巽風・於菟子の一節を除いては極めて空虚な少年武勇伝である。 本来『八犬伝』は百・・・<内田魯庵「八犬伝談余」 青空文庫>

・・・小角は孔雀明王咒を持してそういうようになったというが、なるほど孔雀明王などのような豪気なものを祈って修法成就したら神変奇特も出来る訳か知らぬけれど、小角の時はまだ孔雀明王についての何もが唐で出ていなかったように思われる。ちょっと調べてもらい・・・<幸田露伴「魔法修行者」 青空文庫>

・・・ まことに奇特な人もあるものだ、その人は、いったい、どんな環境の人だろう、などと考えているうちに、名前が私の名だ。「はあい。」のどに痰がからまっていたので、奇怪に嗄れた返辞であった。五百人はおろか、十人に聞えたかどうか、とにかく意気のあ・・・<太宰治「鉄面皮」 青空文庫>

・・・この暑さに襟のグタグタになるほど汗を垂らしてまで諸君のために有益な話をしなければ今晩眠られないというほど奇特な心掛は実のところありません。と云ったところでこう見えても、満更好意も人情も無いわがまま一方の男でもない。打ち明けたところを申せば今・・・<夏目漱石「文芸と道徳」 青空文庫>

・・・「この盾何の奇特かあると巨人に問えば曰く。盾に願え、願うて聴かれざるなし只その身を亡ぼす事あり。人に語るな語るとき盾の霊去る。……汝盾を執って戦に臨めば四囲の鬼神汝を呪うことあり。呪われて後蓋天蓋地の大歓喜に逢うべし。只盾を伝え受くるものに・・・<夏目漱石「幻影の盾」 青空文庫>

・・・用番老中水野越前守忠邦の沙汰で、九郎右衛門、りよは「奇特之儀に付構なし」文吉は「仔細無之構なし」と申し渡された。それから筒井の褒詞を受けて酉の下刻に引き取った。 続いて酒井家の大目附から、町奉行の糺明が済んだから、「平常通心得べし」と、・・・<森鴎外「護持院原の敵討」 青空文庫>


デジタル大辞泉の解説
き‐とく【奇特】

[形動][文][ナリ]《「きどく」とも》
1 言行や心がけなどがすぐれていて、褒めるに値するさま。「世の中には奇特な人もいるものだ」
2 非常に珍しく、不思議なさま。
「比の香の―なるを漸く寄りて見れば」〈今昔・六・六〉
き‐どく【奇特】

[形動][文][ナリ]⇒きとく(奇特)
[名]神仏の持っている、超人間的な力。霊験。
「宝物ぢゃと申しても―がなければ、我らごときの者の持っていらぬ物ぢゃが」〈虎清狂・鏡男〉

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