ことばについて 日本語の語について考えてみよう。
語とは何か。
言葉のことを指している。
ことばとは言の端という語源説があって、それを、ことのは と言ったようである。
その言の葉に漢字をあてたようだが、いつごろのことか。
ことのは は、また口の端からもれ出る声を意味したともいう。これは近代になって意識されたことで、古代にはすでに、ことばを ことのは として用いている。
この、ことがなにを表していたものか、その出典によって歌とするものがある。大和言の葉について、モロコシの歌と対比する例もあり、多くは歌を示していたようだ。
それを一方で、言葉、言羽、辞とし、さらに詞について読みをあてた。
漢字にあてた詞辞は言葉であったが、それでは言は何であったのだろう。
言語というのはいつどのようにして用いられたのか。日本語としての語である。
こうして考えてみると、言葉と言語の隔たりは大きい距離に感じられる。
いま中国語では言語と語言とを違った意味でとらえる。わたしたちの言語は言葉のことであり、普通に使うわたしたちの言語学は語言学である。
漢字の読みで言語四種論をゲンギョとし、言語同断のように、ゴンゴとするよみ習わしがある。いずれも漢字音としての組み合わせで、これが正しいとなる。
言語はゲンゴと読むとき、これはそう読むのであったように思うのは、博言学の語に入れ替わった、1899年東大の博言学科は言語学科と改称、この時からである。
ことのは について辞書に引用する用例は次のようである。竹取物語、古今和歌集序文、源氏物語に見える。
言の葉
デジタル大辞泉
1 ことば。言語。「まことかと聞きて見つれば―を飾れる玉の枝にぞありける」〈竹取〉
2 歌。和歌。「やまとうたは、人の心をたねとして、よろづの―とぞなれりける」〈古今・仮名序〉
大辞林第3版
①ことば。 「例のいづこよりとうで給ふ-にかあらむ/源氏 帚木」
②和歌。 「やまとうたは人の心を種としてよろづの-とぞなれりける/古今 仮名序」
やまとことのは については、源氏物語で大和言の葉すなわち和歌と、唐の詩と比べている。
大和言葉 ウイキペディアより
語種 > 大和言葉
大和言葉(やまとことば)とは、古くは和歌や雅語、女房言葉のことを意味したが、現在ではもっぱら日本語の語種(単語の出自)の一つであり漢語や外来語に対する日本の固有語を指す。
>『源氏物語』の「桐壺」の巻には、「やまとことのは」(大和言の葉)について次のような例が見られる。「やまとことば」とする用例も「東屋」の巻にあるが意味は同じである。
このごろ明暮れ御覧ずる長恨歌の御絵、亭子院のかゝせ給て、伊勢、貫之に詠ませたまへる、大和言の葉をも唐土(もろこし)の歌をも、たゞその筋をぞ枕言(まくらごと)にせさせ給ふ
次は簡潔な解説であるが、言葉についての具体例がない。
学研全訳古語辞典
語の歴史 解説
言葉
「こと」が事のみを意味するようになり、ことばを意味する「こと」がしだいに使われなくなるにつれて一般化した語。平安時代には、「ことのは」が上品で好ましいことばを意味するのに対して、「ことば」は単に口頭語を意味した。また、「ことのは」は和歌の中で使われたが、「ことば」は和歌には使われなかった。
次は漢字の説明である。語はやはり語る言葉であったようだ。
http://ja.wiktionary.org/wiki/言 詞 辞
言
字源
会意。「辛」(刃物、針)+「口」。刃物で切り開いてはっきりという(藤堂)。「口」は神器を表わし、誓いを破れば針で罰を受けると神に誓うこと(白川)。
詞
字源
形声。「言」+音符「司」。司は「嗣」と同系で、ある単位をつなぐなどの意(藤堂)。又は、祝詞などを入れる入物を取り扱うことを意味し、神への
意義
ことば。単語。
韻文の一形式。
辞
字源
会意。「辭」は絡まった糸を手(=爪、又)でほぐす様(関連字「亂(=「乱」)」)に「辛(大型の針)」をそえたもの。「辛」を道具として、解きほぐす行為を意味する(白川)。または、「辛」は刑罰の道具であり法廷を意味し、法廷において嫌疑を「弁論」で解く行為(藤堂)を表すとも。いずれにせよ、法廷における弁論行為を意味したもの(なお、「弁(=辯)」にも「辛」が含まれている)。
意義
ことば。
言葉を出し、理由を告げことわる。
辞任、辞職、辞去
語
字源
会意形声。「言」+音符「吾」。音符の吾は五・互(交差する)と口(ことば)からなり、互いに言葉を交わす、「かたる」の意味になる。吾が「われ」に転用されたため、語がその原義を表す。
意義
語り合う。話してきかせる
論じる
言葉
考えを伝える
〔説文解字〕直言を言と曰ひ、論難を語と曰ふ。口に從ひ䇂聲
言語と語言とを見てみる。
デジタル大辞泉の解説
ごん‐ご 言語
1 言葉。はなし。げんご。
2 「言語道断」の略。「甘露の味はひ満ち満ちて、―えこらへぬ酒なり」〈伽・蛤の草紙〉
げん‐ぎょ 言▽語
「げんご(言語)」に同じ。「旦暮の説法読誦の声は市人(しじん)の―よりも多からしむ」〈浄・出世景清〉
げん‐ご 言語
音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現・伝達する、または受け入れ、理解するための約束・規則。また、その記号の体系。音声を媒介とするものを音声言語(話し言葉)、文字を媒介とするものを文字言語(書き言葉)、コンピューターなど機械を媒介とするものを機械言語・アセンブリ言語などという。ことば。ごんご。げんぎょ。
“語言”(langue)和“言語”(parole)。
語言 维基百科,自由的百科全书
>>語言的目的是交流观念、意见、思想等。
語の付く項目
语义学
语体
语文学
语料库
语法
语法学
语法研究的三个平面
语用学
语言信息处理学
语言哲学
语源学
语言岛
语言工程
语言年代学
语言改革
语言的类型分类
语言类型学
语言联盟
语音合成
语音学
语音算法
言語学はphilologyの訳語とした。いまはこれを文献学とする。
百科事典マイペディアの解説
博言学 はくげんがく
言語学の旧称。明治初期にもっぱら用いられたが,明治30年ころから言語学の名が普及し,1899年東大の博言学科は言語学科と改称。
デジタル大辞泉の解説
はくげん‐がく 【博言学】
《 philology 》言語学の旧称。加藤弘之による訳語。
加藤弘之
生年: 天保7.6.23 (1836.8.5)
没年: 大正5.2.9 (1916)
明治期の指導的思想家。初代東京大学綜理
明治10(1877)年初代東京大学綜理,さらに23年に帝国大学総長に就任,貴族院議員に勅選される。26年に総長を辞し
世界大百科事典内の博言学の言及
【上田万年】より
…90年さらに言語学を深く研究するため渡欧し,当時言語学の本場であったドイツで,ブルークマンやオストホフらの一流学者のもとに学んだ。94年帰国して,帝国大学教授となり,博言学(当時,言語学をこう呼んだ)の講座をうけもった。98年文科大学内に初めて国語研究室を設けた。…
【言語学】より
…人間の言語を研究する学問分野。最初日本では〈博言学〉と呼ばれた。言語学は,人間の言語であるならばどの言語でも研究対象とし,したがって,研究者自身の母語が対象となることもある。…
【文献学】より
…一般的に文献をあつかう学問をいい,書誌学とテキスト・クリティックを主とするもの,あるいは,中国でいう〈目録学〉の同意語として使用されることもあるが,厳密には,ドイツの古典学者A.ベックの《文献学の総覧と方法論》(1877)にいう〈人間精神によって生産されたもの,すなわち認識されたものを認識すること〉とすべきである。ドイツ語のPhilologieは,ギリシア語philologia(学問好き)から出るが,それがしだいにことばの学問(博言学)に限定され,英語のphilologyはその意味で使用される。ルネサンスの時期に,ギリシア・ローマの古典古代の文献が再発見されると,当時の人文主義者たちにとって,学問とはそれらの文献の研究にほかならず,文献学は古典古代学と等しくなった。…
※「博言学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
世界大百科事典内のphilologyの言及
【文献学】より
…一般的に文献をあつかう学問をいい,書誌学とテキスト・クリティックを主とするもの,あるいは,中国でいう〈目録学〉の同意語として使用されることもあるが,厳密には,ドイツの古典学者A.ベックの《文献学の総覧と方法論》(1877)にいう〈人間精神によって生産されたもの,すなわち認識されたものを認識すること〉とすべきである。ドイツ語のPhilologieは,ギリシア語philologia(学問好き)から出るが,それがしだいにことばの学問(博言学)に限定され,英語のphilologyはその意味で使用される。ルネサンスの時期に,ギリシア・ローマの古典古代の文献が再発見されると,当時の人文主義者たちにとって,学問とはそれらの文献の研究にほかならず,文献学は古典古代学と等しくなった。…
※「philology」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
語とは何か。
言葉のことを指している。
ことばとは言の端という語源説があって、それを、ことのは と言ったようである。
その言の葉に漢字をあてたようだが、いつごろのことか。
ことのは は、また口の端からもれ出る声を意味したともいう。これは近代になって意識されたことで、古代にはすでに、ことばを ことのは として用いている。
この、ことがなにを表していたものか、その出典によって歌とするものがある。大和言の葉について、モロコシの歌と対比する例もあり、多くは歌を示していたようだ。
それを一方で、言葉、言羽、辞とし、さらに詞について読みをあてた。
漢字にあてた詞辞は言葉であったが、それでは言は何であったのだろう。
言語というのはいつどのようにして用いられたのか。日本語としての語である。
こうして考えてみると、言葉と言語の隔たりは大きい距離に感じられる。
いま中国語では言語と語言とを違った意味でとらえる。わたしたちの言語は言葉のことであり、普通に使うわたしたちの言語学は語言学である。
漢字の読みで言語四種論をゲンギョとし、言語同断のように、ゴンゴとするよみ習わしがある。いずれも漢字音としての組み合わせで、これが正しいとなる。
言語はゲンゴと読むとき、これはそう読むのであったように思うのは、博言学の語に入れ替わった、1899年東大の博言学科は言語学科と改称、この時からである。
ことのは について辞書に引用する用例は次のようである。竹取物語、古今和歌集序文、源氏物語に見える。
言の葉
デジタル大辞泉
1 ことば。言語。「まことかと聞きて見つれば―を飾れる玉の枝にぞありける」〈竹取〉
2 歌。和歌。「やまとうたは、人の心をたねとして、よろづの―とぞなれりける」〈古今・仮名序〉
大辞林第3版
①ことば。 「例のいづこよりとうで給ふ-にかあらむ/源氏 帚木」
②和歌。 「やまとうたは人の心を種としてよろづの-とぞなれりける/古今 仮名序」
やまとことのは については、源氏物語で大和言の葉すなわち和歌と、唐の詩と比べている。
大和言葉 ウイキペディアより
語種 > 大和言葉
大和言葉(やまとことば)とは、古くは和歌や雅語、女房言葉のことを意味したが、現在ではもっぱら日本語の語種(単語の出自)の一つであり漢語や外来語に対する日本の固有語を指す。
>『源氏物語』の「桐壺」の巻には、「やまとことのは」(大和言の葉)について次のような例が見られる。「やまとことば」とする用例も「東屋」の巻にあるが意味は同じである。
このごろ明暮れ御覧ずる長恨歌の御絵、亭子院のかゝせ給て、伊勢、貫之に詠ませたまへる、大和言の葉をも唐土(もろこし)の歌をも、たゞその筋をぞ枕言(まくらごと)にせさせ給ふ
次は簡潔な解説であるが、言葉についての具体例がない。
学研全訳古語辞典
語の歴史 解説
言葉
「こと」が事のみを意味するようになり、ことばを意味する「こと」がしだいに使われなくなるにつれて一般化した語。平安時代には、「ことのは」が上品で好ましいことばを意味するのに対して、「ことば」は単に口頭語を意味した。また、「ことのは」は和歌の中で使われたが、「ことば」は和歌には使われなかった。
次は漢字の説明である。語はやはり語る言葉であったようだ。
http://ja.wiktionary.org/wiki/言 詞 辞
言
字源
会意。「辛」(刃物、針)+「口」。刃物で切り開いてはっきりという(藤堂)。「口」は神器を表わし、誓いを破れば針で罰を受けると神に誓うこと(白川)。
詞
字源
形声。「言」+音符「司」。司は「嗣」と同系で、ある単位をつなぐなどの意(藤堂)。又は、祝詞などを入れる入物を取り扱うことを意味し、神への
意義
ことば。単語。
韻文の一形式。
辞
字源
会意。「辭」は絡まった糸を手(=爪、又)でほぐす様(関連字「亂(=「乱」)」)に「辛(大型の針)」をそえたもの。「辛」を道具として、解きほぐす行為を意味する(白川)。または、「辛」は刑罰の道具であり法廷を意味し、法廷において嫌疑を「弁論」で解く行為(藤堂)を表すとも。いずれにせよ、法廷における弁論行為を意味したもの(なお、「弁(=辯)」にも「辛」が含まれている)。
意義
ことば。
言葉を出し、理由を告げことわる。
辞任、辞職、辞去
語
字源
会意形声。「言」+音符「吾」。音符の吾は五・互(交差する)と口(ことば)からなり、互いに言葉を交わす、「かたる」の意味になる。吾が「われ」に転用されたため、語がその原義を表す。
意義
語り合う。話してきかせる
論じる
言葉
考えを伝える
〔説文解字〕直言を言と曰ひ、論難を語と曰ふ。口に從ひ䇂聲
言語と語言とを見てみる。
デジタル大辞泉の解説
ごん‐ご 言語
1 言葉。はなし。げんご。
2 「言語道断」の略。「甘露の味はひ満ち満ちて、―えこらへぬ酒なり」〈伽・蛤の草紙〉
げん‐ぎょ 言▽語
「げんご(言語)」に同じ。「旦暮の説法読誦の声は市人(しじん)の―よりも多からしむ」〈浄・出世景清〉
げん‐ご 言語
音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現・伝達する、または受け入れ、理解するための約束・規則。また、その記号の体系。音声を媒介とするものを音声言語(話し言葉)、文字を媒介とするものを文字言語(書き言葉)、コンピューターなど機械を媒介とするものを機械言語・アセンブリ言語などという。ことば。ごんご。げんぎょ。
“語言”(langue)和“言語”(parole)。
語言 维基百科,自由的百科全书
>>語言的目的是交流观念、意见、思想等。
語の付く項目
语义学
语体
语文学
语料库
语法
语法学
语法研究的三个平面
语用学
语言信息处理学
语言哲学
语源学
语言岛
语言工程
语言年代学
语言改革
语言的类型分类
语言类型学
语言联盟
语音合成
语音学
语音算法
言語学はphilologyの訳語とした。いまはこれを文献学とする。
百科事典マイペディアの解説
博言学 はくげんがく
言語学の旧称。明治初期にもっぱら用いられたが,明治30年ころから言語学の名が普及し,1899年東大の博言学科は言語学科と改称。
デジタル大辞泉の解説
はくげん‐がく 【博言学】
《 philology 》言語学の旧称。加藤弘之による訳語。
加藤弘之
生年: 天保7.6.23 (1836.8.5)
没年: 大正5.2.9 (1916)
明治期の指導的思想家。初代東京大学綜理
明治10(1877)年初代東京大学綜理,さらに23年に帝国大学総長に就任,貴族院議員に勅選される。26年に総長を辞し
世界大百科事典内の博言学の言及
【上田万年】より
…90年さらに言語学を深く研究するため渡欧し,当時言語学の本場であったドイツで,ブルークマンやオストホフらの一流学者のもとに学んだ。94年帰国して,帝国大学教授となり,博言学(当時,言語学をこう呼んだ)の講座をうけもった。98年文科大学内に初めて国語研究室を設けた。…
【言語学】より
…人間の言語を研究する学問分野。最初日本では〈博言学〉と呼ばれた。言語学は,人間の言語であるならばどの言語でも研究対象とし,したがって,研究者自身の母語が対象となることもある。…
【文献学】より
…一般的に文献をあつかう学問をいい,書誌学とテキスト・クリティックを主とするもの,あるいは,中国でいう〈目録学〉の同意語として使用されることもあるが,厳密には,ドイツの古典学者A.ベックの《文献学の総覧と方法論》(1877)にいう〈人間精神によって生産されたもの,すなわち認識されたものを認識すること〉とすべきである。ドイツ語のPhilologieは,ギリシア語philologia(学問好き)から出るが,それがしだいにことばの学問(博言学)に限定され,英語のphilologyはその意味で使用される。ルネサンスの時期に,ギリシア・ローマの古典古代の文献が再発見されると,当時の人文主義者たちにとって,学問とはそれらの文献の研究にほかならず,文献学は古典古代学と等しくなった。…
※「博言学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
世界大百科事典内のphilologyの言及
【文献学】より
…一般的に文献をあつかう学問をいい,書誌学とテキスト・クリティックを主とするもの,あるいは,中国でいう〈目録学〉の同意語として使用されることもあるが,厳密には,ドイツの古典学者A.ベックの《文献学の総覧と方法論》(1877)にいう〈人間精神によって生産されたもの,すなわち認識されたものを認識すること〉とすべきである。ドイツ語のPhilologieは,ギリシア語philologia(学問好き)から出るが,それがしだいにことばの学問(博言学)に限定され,英語のphilologyはその意味で使用される。ルネサンスの時期に,ギリシア・ローマの古典古代の文献が再発見されると,当時の人文主義者たちにとって,学問とはそれらの文献の研究にほかならず,文献学は古典古代学と等しくなった。…
※「philology」について言及している用語解説の一部を掲載しています。