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痴呆症状と認知症

2014-09-15 | 病名のことば
痴呆症状、認知症状とすれば、同じような意味合いを表すと理解するが、痴呆と認知では大きく相違している。痴呆は文字を見て、それと様子を知るようなことである。それにたいして、認知には、辞書義として、あることがらを認める、自分の子であると認めて法律上の親子関係を発生させること、という用法もある。翻訳概念として、cognition 心理学で、知識を得る働き、すなわち知覚、記憶、推論、問題解決などの知的活動を総称する、とある。そのような語が広い意味内容をもって使われる。認知、認知する、認知学、認知症と、このそれぞれに異なる意味範囲が現れる。


あらためて、認知症を用いるときには、専門用語としての定義にもとづことが求められる。 
>認知症(にんちしょう、英: Dementia、独: Demenz)は、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下した状態をいう[1]。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は知的障害、先天的に認知の障害がある場合は認知障害という。犬や猫などヒト以外でも発症する。ウイキぺディアより。


日本大百科全書(ニッポニカ)
痴呆
ちほう
dementia
いったん発育した脳が損傷されて、その結果として、それまでに獲得された知的能力が低下してしまった状態をいう呼称として、長らく使われてきた用語。現在では「認知症」という用語を用いる。2004年(平成16)に厚生労働省が、一般的な用語や行政用語としては「認知症」が適当であるとの見解を示し、「認知症」を用いることとなった。同省は、この変更の理由として、「痴呆」という用語は侮蔑(ぶべつ)的な表現であるうえに、症状の実態を正確に表しておらず、早期発見・早期診療等の取り組みの支障となっていると報告している。なお、法律上の用語については法改正のなかで検討され、医学上の用語としては「痴呆」が使用される場合もある。[編集部]

認知症
にんちしょう
dementia
 認知症の初期には精神活動の知的コントロールが弱くなり、性格特徴が先鋭化することがある。短気だった人がいっそう怒りやすくなり、あるいは倹約家が極端に吝嗇(りんしょく)となる。認知症が進むと早晩記憶障害が現れる。新しいことを学習するのが困難となり、最近のことをよく忘れる。社会的関心が乏しくなり、複雑な行為ができなくなる。かつては知っていた諺(ことわざ)の理解や高度な関係性の把握が困難になる。思考はまとまり悪く、断片的となる。しばしば同じことを繰り返す。いまいる所はどこか、いまは何時ごろかなど、自分の現在の位置づけができなくなる(失見当識)。感情は不安定となり、あるいは適度な不安や緊張を失う。認知症が高度になると、思考や判断力はいっそう低下し、関心や自発性もなくなる。記憶障害も強度となり、自分の年齢や、結婚したことがあるかないかもわからなくなる。介助がなければ食事、排泄(はいせつ)など身の回りのこともできなくなる。状態は一般に慢性的で可逆性に乏しい。原因としては脳炎、脳外傷、循環障害、変性疾患、中毒(アルコール、一酸化炭素、水銀など)、そのほか脳を破壊する多くの脳疾患があげられる。今日の高齢化社会でもっとも問題になっている医学上の「痴呆」は、高齢者にみられる血管性痴呆(動脈硬化性痴呆)とアルツハイマー型老年痴呆である。
 治療としては、それぞれの基礎疾患に対する治療が最優先である。同時に患者に対する生活上の介助、看護、合併症の予防などが進行を防ぐのにたいせつである。
 なお、精神医学では、統合失調症のために人格が持続的に障害された場合も「痴呆」とよぶことがある。また、心因性に痴呆に似た状態が問題になり、仮性痴呆(ガンゼル症候群)とよばれる。

[原田憲一]


デジタル大辞泉
ち‐ほう 〔‐ハウ〕 【痴×呆】
1 愚かなこと。愚かな人。
2 「認知症」のこと。

[補説]平成16年(2004)厚生労働省の用語に関する検討会が、一般的な用語や行政用語としては「痴呆」ではなく「認知症」が適当であるとの見解を示した。

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