語源の探求という、語源学を明らかにしたのはエッセイの著者、吉田金彦氏である。語源探求はその研究会の著作名となっていることは日本語論35に紹介をした。語源学は、こうして、よくもわるくも1981年から2008年までの軌跡である。国語学と語源学は、おかしな喩えでいえば、同族嫌悪もっとすすめて忌避しあうようなところがあったので、同様の文献実証を手法にしながら、地理と歴史と国語の三位一体的な研究というキャッチコピーには、文献学、言語学ともう一方にある民俗学がせめぎ合ったようである。語源が明らかになるというのは、戸籍を証明することのように、言葉の一つ一つに住居地番を振ることであると吉田氏は言っておられた。言語学者から国語の語源は格好の議論となって、岩波古語辞典に語源説を編集記載した大野晋氏の学説は証明されないものとなってしまったようである。日本語の語源であるというのは、語誌における語の発生に焦点をおく解説となる状況に変わる。
http://www.meijishoin.co.jp/news/n3943.html
2011.01.01 [吉田金彦著作選]
吉田金彦著作選 全8巻
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内容紹介
地理と歴史と国語の三位一体的な研究を目指し、考古学のようにフィールドワークを重視する著者の面目躍如たる論文集。
数多い著作の中から「万葉集」をめぐる著作を収めた「万葉編」1~4巻と、日本語の用言に関する著作を収めた「語学研究編」5~8巻から成る。
それぞれ最新の研究成果を加筆し、写真・図版も大幅に増補。
全巻リスト
第1巻 万葉語の研究 上
第2巻 万葉語の研究 下
第3巻 悲しき歌木簡
第4巻 額田王紀行
第5巻 上代語の助動詞 上
第6巻 上代語の助動詞 下
第7巻 現代語の助動詞
第8巻 動詞・形容詞