ことだま

53　言霊というが、どんな霊か

言霊を表記して、霊と書くから、このような問いがうまれる。
ことだま、言の玉、言魂、このように、あらわせば、ことだま、ことたま、となって、清濁の違いがあり、その意味するところも異なることを示すようである。

そこで、霊という文字から、なにがしか、いまふうのことばで、スピリチュアルを感じるのだろう、そう考えても、現代人の心のよりどころのようなものを探れば、すこしちがうんだけれどと思いつ、致し方ない。

万葉集の名歌に見える、ことだまのさきわうくに、言霊の幸ふ国というフレーズは、と、語りつぎ言ひ継いできている、とするもので、八九四番、山上憶良、この国の誉れである。
そこに見る、言霊能 佐吉播布國等 加多利継 伊比都賀比計理　とある、言霊と、柿本人麻呂が、事霊之 所佐國叙、3254番、と歌った、事霊という表記が同一視されるので、このコトに魂があるのである。

そうすると、そのたましい、たま、となるものは何か。これには、地上の霊魂を宛てるがよいだろう。
中国からは魂魄として、道教や伝統中国医学における霊についての概念である、とする。

またそこに、ことだまとなると、魂と魄は易の思想と結びつき、魂は陽に属して天に帰し、魄は陰に属して地に帰すと考えられたりもしていて、コトダマには、天に属するものがあると推測できるか。仮説のことであるが、コトダマの霊をそれらしく思う由縁である。

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