熟語に用法を生じたのは漢字を語構成とみるからである。
熟語の意味は本来、一語になった語として認められるものを指している。
日本語の和語の表現では、たとえば、おはようございます という挨拶は、この語の成立に、おはよう おはやく ござる と、わけてみて、おはやくござる という言い方が、音便によって一語となったものとみることができる。
音便の現象については、日本語では音便形としてその語の独立また自立用法とすることがあるので、おはよう そのものがまた挨拶となった。
おはよう が、おはようさん おはよーっす おざーす おっは など、話し言葉としての派生を生み出しはするが、いずれも、おはやくござる を語にしている。
熟語を慣用表現として、それをまた、俚諺や格言としての熟語、複合語としての熟語、漢字と熟語、四字熟語のように、ウイキペディアでは、この用語は文脈によって定義付けが少しずつ異なると解説している。
漢字の熟語で
>熟語の意味を、2字以上の漢字が強く結びつき、1つの漢語となっているものに限定する立場 『ベネッセ表現・読解国語辞典』ベネッセコーポレーション、2003年5月
>漢字同士の結びつきが弱い場合は熟語とみなさない立場 『小学館日本語新辞典』小学館、2004年11月
とする、それぞれには、鉛筆、経済政策を、例語にしている。
熟語を漢語としてみると、その成立には、次のような説明がある。
>熟語の原義は「こなれた(熟)、ことば(語)」であり、漢字圏において頻用される格言などを意味することもある。 日本国語大辞典』第6巻、小学館、2001年5月、第二版
>特に中国語で熟語(拼音: shúyǔ)といった場合、以下のような表現を総括する用語とされる。
「矛盾」「破天荒」「臥薪嘗胆」など、故事と呼ばれる古典から引用される短い表現。成語(せいご、拼音: chéngyǔ)と称される。中国語だけではなく、日本語にも流入した表現が多い。成語の大部分は漢字4字で構成される。
「騎驢看唱本、走著瞧」(ロバの上で歌の本を読む、成り行きを見守る)など、前の句と後の句からなる一種のしゃれ言葉。歇後語(けつごご、拼音: xiēhòuyǔ)と称される。上述の例の場合、「看」と「瞧」をかけている。「塞翁失馬、因禍得福」(塞翁が馬、災い転じて福と成す)のように故事に由来するものは、上記の成語と重なる。日本語には馴染みないものがほとんどであるが、「井の中の蛙、大海知らず」「兎の逆立ち、耳が痛い」のように歇後語の影響を受けたと考えられる表現も散見される。
その他雑多な諺は「諺語」(拼音: yànyǔ)「俗語」(拼音: súyǔ)などと称される。 『中日大辞典』 愛知大学中日大辞典編纂処、大修館書店、1987年2月、増訂第二版
次は、ウイクショナリーである。
>熟 語(じゅくご)
特定の意味に慣用される語句。特にことわざ・格言の類を指すが多い。
中国語における諺語や成語などの総称。
現在の日本語においても、四字熟語といえば、もっぱら故事やその他の典籍に由来する漢語を指すものとして認識されることも多い。
語の結合・複合のうち、固定的なもの。
固定的な漢字の結合。熟字、駢字とも。
漢文訓読の際に、2字以上で1個の語とみなされる。『戦国策』天帝使我長百獣(天帝 我をして 百獣に 長たらしむ)における「天帝(テンテイ)」「百獣(ヒャクジュウ)」のような語。熟字訓などの例外を除けば通常音読みされる。
熟字訓とは、「明日(ミョウニチ)」、「玩具(ガング)」といった熟語に、それぞれ「あした」、「おもちゃ」といった1語の和語の読みをあてたものである。
漢字は結合力が強いので、漢字の結合のすべてが熟語とみなされるとは限らない。例えば、「経済政策」のような語は、「経済」と「政策」の複合であるという認識が強いので熟語であるとみなされにくい。また「抽象思考能力欠落」などの例は、もはや語ではなく、1つのフレーズになっている。
「つきあかり」(月明かり)、「うみかぜ」(海風)のような和語同士の複合語、あるいは「場所」(ばショ)、「夕刊」(ゆうカン)のような和語と漢語の複合語も熟語とみなすことがある。
(言語学)idiomの訳語。慣用語、慣用句、成句とも。
複数の要素で構成され、全体で1つの意味をなす表現。日本語における「鼻が曲がる」(くさいという意味)など。
日本の英語教育においては英熟語と総称され、“put up with”のような句動詞、“on account of”のような群前置詞を含む。なお、“government”のような複数の形態素からなる語や、“ice cream”のような綴り上で分かち書きが行われる語は、文法的には1単語であるため、通例、熟語とみなさない。
なお、ウイキペディアには、熟語(漢字)の項があり、詳細な議論がある。
目次
1.熟語の形態論
1.1 熟語と複合語
1.2 和語と熟語
1.3 熟語の複合
2 熟語の読み
2.1 日本語
2.2 中国語
3 漢文訓読における熟語
4 熟語の構造と分類
4.1 漢字の表語性と熟語
4.1.1 統語的構造
4.1.2 並列構造
4.1.3 その他の類型
4.2 漢熟語の展開
4.2.1 白話・現代中国語における接辞
4.2.2 3字以上の熟語と省略
4.2.3 連綿語と借用語
4.2.4 ぎなた読み
4.2.5 和製漢語と新漢語
4.2.6 漢字制限政策による新語
4.3 日本語の語彙体系としての熟語
4.3.1 和語の語構成
4.3.2 和語まで拡大した分類と心理言語学
4.3.3 熟語と辞典
5 俚諺や格言としての熟語
6 脚註
6.1 註釈
6.2 用例
6.3 出典
7 参考文献
8 読書案内
9 関連項目
夏目漱石 門 四の六
経(た)った。
世帯を有(も)って
急忙(せわ)しなさ
大都(たいと)
劇(はげ)しく
震盪(しんとう)する
刺戟(しげき)
凝(じっ)
閑(ひま)
手を下(くだ)す
灯(ひ)
着(ちゃく)の時間
待草臥(まちくたび)れた
気色(けしき)
少時(しばらく)
御老(おふ)けなすった
逡巡(ためら)って
挨拶(あいさつ)
凌(しの)ぐ
這入(はい)ろう
住居(ずまい)
細々(こまごま)しい
小人数(こにんず)
物要(ものいり)
家(うち)
早(はや)
余(よ)
家邸(いえやしき)
仰(おっし)ゃって
今度(こんだ)
厭(いや)になった
」といい出した。
好(い)いかい
私(わたくし)は
鹿爪(しかつめ)らしく
機会(おり)
従兄弟(いとこ)
熟語の意味は本来、一語になった語として認められるものを指している。
日本語の和語の表現では、たとえば、おはようございます という挨拶は、この語の成立に、おはよう おはやく ござる と、わけてみて、おはやくござる という言い方が、音便によって一語となったものとみることができる。
音便の現象については、日本語では音便形としてその語の独立また自立用法とすることがあるので、おはよう そのものがまた挨拶となった。
おはよう が、おはようさん おはよーっす おざーす おっは など、話し言葉としての派生を生み出しはするが、いずれも、おはやくござる を語にしている。
熟語を慣用表現として、それをまた、俚諺や格言としての熟語、複合語としての熟語、漢字と熟語、四字熟語のように、ウイキペディアでは、この用語は文脈によって定義付けが少しずつ異なると解説している。
漢字の熟語で
>熟語の意味を、2字以上の漢字が強く結びつき、1つの漢語となっているものに限定する立場 『ベネッセ表現・読解国語辞典』ベネッセコーポレーション、2003年5月
>漢字同士の結びつきが弱い場合は熟語とみなさない立場 『小学館日本語新辞典』小学館、2004年11月
とする、それぞれには、鉛筆、経済政策を、例語にしている。
熟語を漢語としてみると、その成立には、次のような説明がある。
>熟語の原義は「こなれた(熟)、ことば(語)」であり、漢字圏において頻用される格言などを意味することもある。 日本国語大辞典』第6巻、小学館、2001年5月、第二版
>特に中国語で熟語(拼音: shúyǔ)といった場合、以下のような表現を総括する用語とされる。
「矛盾」「破天荒」「臥薪嘗胆」など、故事と呼ばれる古典から引用される短い表現。成語(せいご、拼音: chéngyǔ)と称される。中国語だけではなく、日本語にも流入した表現が多い。成語の大部分は漢字4字で構成される。
「騎驢看唱本、走著瞧」(ロバの上で歌の本を読む、成り行きを見守る)など、前の句と後の句からなる一種のしゃれ言葉。歇後語(けつごご、拼音: xiēhòuyǔ)と称される。上述の例の場合、「看」と「瞧」をかけている。「塞翁失馬、因禍得福」(塞翁が馬、災い転じて福と成す)のように故事に由来するものは、上記の成語と重なる。日本語には馴染みないものがほとんどであるが、「井の中の蛙、大海知らず」「兎の逆立ち、耳が痛い」のように歇後語の影響を受けたと考えられる表現も散見される。
その他雑多な諺は「諺語」(拼音: yànyǔ)「俗語」(拼音: súyǔ)などと称される。 『中日大辞典』 愛知大学中日大辞典編纂処、大修館書店、1987年2月、増訂第二版
次は、ウイクショナリーである。
>熟 語(じゅくご)
特定の意味に慣用される語句。特にことわざ・格言の類を指すが多い。
中国語における諺語や成語などの総称。
現在の日本語においても、四字熟語といえば、もっぱら故事やその他の典籍に由来する漢語を指すものとして認識されることも多い。
語の結合・複合のうち、固定的なもの。
固定的な漢字の結合。熟字、駢字とも。
漢文訓読の際に、2字以上で1個の語とみなされる。『戦国策』天帝使我長百獣(天帝 我をして 百獣に 長たらしむ)における「天帝(テンテイ)」「百獣(ヒャクジュウ)」のような語。熟字訓などの例外を除けば通常音読みされる。
熟字訓とは、「明日(ミョウニチ)」、「玩具(ガング)」といった熟語に、それぞれ「あした」、「おもちゃ」といった1語の和語の読みをあてたものである。
漢字は結合力が強いので、漢字の結合のすべてが熟語とみなされるとは限らない。例えば、「経済政策」のような語は、「経済」と「政策」の複合であるという認識が強いので熟語であるとみなされにくい。また「抽象思考能力欠落」などの例は、もはや語ではなく、1つのフレーズになっている。
「つきあかり」(月明かり)、「うみかぜ」(海風)のような和語同士の複合語、あるいは「場所」(ばショ)、「夕刊」(ゆうカン)のような和語と漢語の複合語も熟語とみなすことがある。
(言語学)idiomの訳語。慣用語、慣用句、成句とも。
複数の要素で構成され、全体で1つの意味をなす表現。日本語における「鼻が曲がる」(くさいという意味)など。
日本の英語教育においては英熟語と総称され、“put up with”のような句動詞、“on account of”のような群前置詞を含む。なお、“government”のような複数の形態素からなる語や、“ice cream”のような綴り上で分かち書きが行われる語は、文法的には1単語であるため、通例、熟語とみなさない。
なお、ウイキペディアには、熟語(漢字)の項があり、詳細な議論がある。
目次
1.熟語の形態論
1.1 熟語と複合語
1.2 和語と熟語
1.3 熟語の複合
2 熟語の読み
2.1 日本語
2.2 中国語
3 漢文訓読における熟語
4 熟語の構造と分類
4.1 漢字の表語性と熟語
4.1.1 統語的構造
4.1.2 並列構造
4.1.3 その他の類型
4.2 漢熟語の展開
4.2.1 白話・現代中国語における接辞
4.2.2 3字以上の熟語と省略
4.2.3 連綿語と借用語
4.2.4 ぎなた読み
4.2.5 和製漢語と新漢語
4.2.6 漢字制限政策による新語
4.3 日本語の語彙体系としての熟語
4.3.1 和語の語構成
4.3.2 和語まで拡大した分類と心理言語学
4.3.3 熟語と辞典
5 俚諺や格言としての熟語
6 脚註
6.1 註釈
6.2 用例
6.3 出典
7 参考文献
8 読書案内
9 関連項目
夏目漱石 門 四の六
経(た)った。
世帯を有(も)って
急忙(せわ)しなさ
大都(たいと)
劇(はげ)しく
震盪(しんとう)する
刺戟(しげき)
凝(じっ)
閑(ひま)
手を下(くだ)す
灯(ひ)
着(ちゃく)の時間
待草臥(まちくたび)れた
気色(けしき)
少時(しばらく)
御老(おふ)けなすった
逡巡(ためら)って
挨拶(あいさつ)
凌(しの)ぐ
這入(はい)ろう
住居(ずまい)
細々(こまごま)しい
小人数(こにんず)
物要(ものいり)
家(うち)
早(はや)
余(よ)
家邸(いえやしき)
仰(おっし)ゃって
今度(こんだ)
厭(いや)になった
」といい出した。
好(い)いかい
私(わたくし)は
鹿爪(しかつめ)らしく
機会(おり)
従兄弟(いとこ)