夏目漱石、夢十夜、1908年の7月から8月にかけて朝日新聞紙上で10回連載されたそうだ。それを、現代によみがえらせる、小説本文は現代仮名遣いの岩波文庫版に準拠ということである。 . . . 本文を読む
まんじり この語感は、まなじりに近い。まんじりとする とあれば、まなじりを閉じるようにも聞こえる。まなじりを開く、まなじりを決する、などの慣用句を意味内容から見れば、まなじりを上げる形に見える。隈取をした役者の目の演技を連想させる。そうすれば、まなじりをまんじりとするのは、軽く目を閉じたようなことか。したがって、まなじりをそのままにして、まんじりともせずいるのは、目を見開くさまに見える。まなじりとせず まんじりとせず まなじりは目の後目であるから半眼でもあろうか、そのようにしないこととなる。 . . . 本文を読む
日本文化論がさかんとなったのは、菊と刀を再論するようになってからだろう。それは経済大国といわれるようになる、日米の貿易摩擦が原因する。その摩擦と言い得るのは、1950年代に繊維製品摩擦、1960年代に鉄鋼摩擦、そして1970年代になって、カラーテレビ摩擦、自動車摩擦と、その製品でとらえられた、いわば日本による保護貿易である。次いで1980年に半導体摩擦となって、輸出の自主規制として日本はこれまで繊維、鉄鋼、カラーテレビ、自動車などで規制を行ってきたが、ついに1985年のプラザ合意でドル高を是正する、円高の誘導を実施するに及んだ。日本からの輸出は、1ドルが240円だった、為替レートが1ドル120円になってしまう。そうして1989年日米構造協議が開始され、1990年代の日米の協議、包括経済を協議するようになる。 . . . 本文を読む
夏目漱石「夢十夜」
第九夜
戦争(いくさ)
裸馬(はだかうま)
周囲(まわり)
暴(あ)れ廻(まわ)る
足軽(あしがる)
犇(ひしめ)き
追掛(おっか)けて
家(いえ)
森(しん)として
何処(どこ)か
床(とこ)
草鞋(わらじ)
穿(は)いて
頭巾(ずきん)
被(かぶ)って
雪洞(ぼんぼり)
灯(ひ)
闇(やみ)
射(さ)して、
生垣(いけがき)
檜(ひのき)
照(てら)した
御父様( . . . 本文を読む
口から、食べかけたご飯を噴きだすのは、どんなときか。フンパン と、フンマンと、これは、噴飯ものというのと、憤懣やるかたないというのと、そのいずれかを知れば笑いと怒りの相違であることがわかる。食べかけるご飯を、こらえきれなくなって、それは多くは笑いが原因であるから、口を開けることになってしまっては、たまらないだろう。くしゃみがこらえきれない連想もよいかもしれない。もし怒りで大声をあげるようなことになれば、口を開けてご飯が見えるかもしれないが、噴きだすところまでは至らない。と、こういうふうに解説をしても、この慣用句は、笑いをこらえきれないようすを表現したもので、笑いそうなことだ、笑ってしまったということである。 . . . 本文を読む
シリーズが終わった。ナレータの抑制したアナウンスがよかった。と、思ったら、俳優の山田さんだった。第6集は、あなたのワンカットが世界を変える、というタイトルである。大衆が写すわんショットが、プロの記録を上回るということなんだろうが、その偶然を社会の現象に意図したようにも見えて、さまざまの記録のインパクトは強いものだった。発信する手段がどうであれ、そこに映し出されたものはわたしたちの世界の解釈を超える。そこに当事者だけが持ちうる情報があったのだから、それをたやすく得るようなことは、あり得ないことだった。このワンカットを集めて凝縮しているその瞬間を理解するには、到底理解などできないのだけれど、衝撃の強さだけは受け止めることになる。9.11 津波映像、テロ攻撃、同性愛、チュニジアの政変、アラブの春、IS、You TUBE、画面の向こうの人々の感動と、そこに学ぶことががあるのだろうか。 . . . 本文を読む
みみざわり、てざわり、はだざわり、いずれも好感触の語である。この言い方を、みみざわりだ、てざわりだ、はだざわりだ、などと、その状態を断定する表現にもちいると、その良しあしを言う、ことを問うようになる。そして、その状態がまさに良い場合とだけいえなくなるのが、みみざわり、の語である。それぞれの、耳の場合、手の場合、肌の場合と、さわる状態が異なっていることがわかる。漢字表記を当てて、耳障りが良い、手触りがよい、肌触りが良い、というふうに、漢字変換をする。耳障りか、耳触りか、このいずれかを使い分けるかは、さわり方になる。耳障りな音、耳ざわりの音、とならべてみると、その音そのものに、障る音がある。 . . . 本文を読む
桜の開花は気象庁が宣言する。とは、なんとも、興味あることがらだ。ソメイヨシノの品種であって、そのつぼみが開く、その定義する処では、桜の開花とは、花が5~6輪咲いた状態のことで、その桜の開花をみる標準木がある。2016開花予想は21日であったが、すでに開花のニュースが伝えられるなか、桜の花芽には一定期間、寒さに触れることで開花が促される休眠打破が見られたようである。平年より1週間早く、咲き始めて、満開になるには月末のようである。 . . . 本文を読む
異類婚姻譚、ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた―結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる夫婦という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く。第154回芥川賞受賞作である。 異類は、一般に、人間以外の存在と人間とが結婚する説話として類型がある。こう断らなければならなくなったのは、本谷有希子の小説のテーマが、異類の亭主との話なのかどうか、似たもの夫婦といわれる類の話だからだ。 . . . 本文を読む
これを運送用語とすることは、荷物運搬の包装に見えるからである。それが、そもそも、>対象物が損壊する恐れがあるため倒立状態(上下逆さま)ないし傾けた状態で輸送してはいけないこと とあるように、運送業者の扱いのためであった。それを言葉の解釈で、その約束事が通じなくなった、つまり、この用語をもとに運搬する人が取り違えては大変なことであるが、一般にはこの語の用法を知らずして荷物をさかさま積みにすることがあって、波紋を広げたようである。まずは天地のとらえ方がわからなくなってきている。天と地はひっくり返るものではないということがあって、それは驚天動地の類となる。無用は心配ご無用などの使い方がある。天地には、天地するという意味があって、>─する)上下をひっくりかえすこと。
*滑稽本・早変胸機関〔1810〕「裾廻しは天地(テンチ)するだよ」 . . . 本文を読む