なんとかなるさ

適当に思ったこと、勉強したことを書こうと思います。

気付く力

2008-02-22 01:44:47 | プライベート
86歳のおじいさんがいた。
いつものように、「こんにちは、今日は天気もよくて温かいですね~」
とありきたりの、会話から始まったが、そのおじいさんは、最初の一言から、喉がすっきりしないような、ちょっとガラガラ声だった。

あれ、なんかいつもと違う…

そのおじいさんは、ちょっと痰がからむだけだといい、いつもどおり体温、脈、血圧を測る。
体温も平熱だし、脈も普通。血圧もまずまず。
けど、おじいさんは珍しく正常はどれくらいか、と聞いてきた。

ん、今日はまた、なんでそんなことを聞く…?

体温を測ってる間、おじいさんは横になっていたが、時折右足がピクピクッと痙攣みたいなものが起きている。

むむむ。
今日は何か違う…
何かあったのだろうか?

おそらく、本人から正常値を聞いてくるということは、本人もいつもと違うことを自覚しているはずだ。

さて、どうしたのだろう。
脳梗塞?いや違う。
麻痺とかはなく、バイタルもいつもどおりだ。

誤嚥?いやいや、熱は出ていない。

さらに途中、手の親指が固まりやすいとふいに訴えた。
触ってみれば、筋痙攣様の固さで、ゆっくり伸ばすと伸びて固さは消失。

ちょっと、探ってみよう。
「食事は最近変わりました?」
『いや、いつも通りや。』
「しょっぱいのは好きですか?」
『いや、普通の味付けが好きだな』
「水分はしっかりとってますか?」
『いや、薬を飲むとき以外はほとんど飲まん。おしっこが一時間に一回は必ず出るから、飲まんようにしとる。』

ははーん。
そういうことか。

頻尿で飲水不足。
つまり脱水だね。
体内の水分不足で、痰の粘稠性が高くなって、ガラガラ声に。
また、体内のイオンバランスも崩れて痙攣を起こしやすくなっていた。
ということなのだろう。

でも、実際これに似たケースは多く、高齢者の脱水は頻発してると言える。
頻尿→飲水抑制→脱水
このパターンには要注意。

結局このおじいさんには脱水を起こしていることを説明。頻尿があることから、ドクターに相談することと、今の状態が脱水から生じてきている可能性が高いということで、飲水をしっかり行うように指導した。

自宅では飲水量の把握は難しいけど、ちょっとした症状や変化が手がかりとなる。
いつもと違うというところに気付く力、大事です。
この力、もっと伸ばさないと…