なんとかなるさ

適当に思ったこと、勉強したことを書こうと思います。

タナ障害に悩む

2013-06-18 21:33:16 | プライベート
1,2か月前の試合で相手選手のお尻が膝に入り、膝が伸び切った状態で衝撃を受けて、
それ以来ずっと、膝の痛みを訴える選手がいる。

直後はもちろん炎症の痛みはあったが、その後、日によって痛みの強さが強くなったり、
ましになったりを繰り返し、ここまで何とか休まずに続けてきた。

最近になって、痛みが少し強いということで、チェックしたところ、膝蓋靭帯周囲は
少しプ二プ二した感じで若干腫れっぽい。

本人の一番の訴えとしては、ボールを蹴って膝を伸ばし切ったときが痛いとのこと。

実際、ベッド上でも伸展制限が少し見られる。

伸ばし切ったところで、さらに伸展方向に手でストレスをかけると、痛みと嫌な感じがあるとのこと。

その伸展の制限因子(伸び切らない原因)は、と言うと、???

別段、後ろのハムストリングスが突っ張る感じがあるわけでもないという。

なぜか、それ以上行かないと、本人は言う。

痛みもあるが、耐えられないほどではないとのこと。

実際、ハムストリングスを緩めると多少伸びもよくなるが、完全に伸び切ることはない。

どちらかといえば、他に何らかの原因があって、伸ばし切りたくないから、ハムストリングスが
無意識に収縮して止めているという感じである。

決して、単にハムストリングスが硬いから、伸びないというわけではなさそうだ。

・・・原因は何か?

膝関節の中にある、膝蓋大腿関節部(お皿と太ももの骨の関節)と大腿脛骨関節(太ももの骨と
すねの骨の関節)の遊びは小さい方だが、可動域を制限するほどではない。

他にベッド上のテストで症状があるのは、膝屈曲位での外反ストレステストで内側に痛みが出る。

だけど、内側の靭帯に明確な圧痛はない。

押して嫌な感じはあるが、そこまで痛いというほどではない、と。

はて、何だろう?

内側半月板はどうか。

半月板のテストである、マクマレーテストをやっても、はっきりとした痛みはない。

むしろ、外側の半月板を圧縮する方向で、ストレスをかけると痛みがあるが、痛みの場所は
外側ではなく、むしろ引き伸ばされて圧縮ストレスがかかっていない内側が痛いとのこと。

うーん、半月板・・・?

ちょっと違う。

どちらにしても、膝を曲げた状態で外反方向にストレスをかけると痛みがあるようだ。

内側の軟部組織が引っ張られるのに吊られて半月板が引っ張られて痛いのかなぁ、とその時は
頓珍漢な推測までしていた。

今考えると、恥ずかしい・・・

そして、ようやくMRIを撮って、ドクターに精査してもらうことになった。

画像では、内側の靭帯はもちろん問題なく、半月板も多少傷はありそうだが、症状が強く出るほどではない。

それよりも、一番怪しいのは、お皿の内側にある、『タナ』であった。

確かに、お皿の内側に何かしら、正常では写らないであろう、影があった。

タナ障害とは、胎児のときに膝の中を隔てていた壁の名残りで、たいていは自然となくなるのだが、
約半数ほど、お皿の内側の壁は滑膜ヒダとして残る。

それが、スポーツなどで膝の屈伸の繰り返しで刺激を受けて、だんだん分厚くなって引っかかったり、
挟まったりして、痛みを伴うようになるとのこと。

今回の場合は、試合でぶつかって、伸び切った時にこの滑膜ヒダが挟まって、刺激を受けたのが、始まり
だったのだろう、と推測される。

その状態で完全に炎症が引く前にスポーツを続けてきたので、徐々に分厚くなって、試合等で比較的長い
時間、激しい運動を行うことで、痛みや炎症が悪くなったり、良くなったりと繰り返していたのだろう。

一度、安静にして完全に炎症を引かすことが、ベターかもしれない。

ただ、一度分厚くなったものが本当に元に戻るのかはわからない。

とはいえ、今すぐ手術して取り除くほどでもない。

すなわち、このまま様子を見ながら練習を続けていくしかないのである。

この選手に理学療法士として何が出来るのか。

教科書的なことを言うと、ストレッチして柔軟性を出して、太ももの前の筋肉を強くすることしか、できる
ことはない。

でも、本当にそれだけしかできないのか。

下肢には膝の他に股関節や足関節がある。

特に股関節をうまく使って、膝にかかる負担をどうにか、減らせないか、と思う。

それが、その選手の膝をよくし、さらにはその選手のパフォーマンスもよくすることにつながらないか、と
いろいろ思案しているところである。

なかなか、これが正解ということはないが、人間の体の可能性を信じて、サポートしていきたい。


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