◇APS-C機+フルサイズレンズ
35mmフルサイズ用のレンズを、ほぼ同じ画角を保ったまま、APS-Cカメラに取り付けられるアダプターが販売されることになりました。
APS-Cサイズのセンサーのカメラは、コンパクトでいいのですが、フルサイズに比べて画角が狭いという特徴があります。35mm換算にするとフルサイズより焦点距離が伸び(ソニーなどで1.5倍、キヤノンで1.6倍)、望遠側には有利な半面、広角側には不利です。
このため、フルサイズ用のレンズをその画角のまま使えれば、広角側での不利はなくなります。また、フルサイズと同じ描写、ボケ味が楽しめていいですね。
さらに、このアダプターを取り付けると、レンズの開放F値が1段分明るくなり、画像もよりシャープになるという不思議な話です。
ソニーのNEXにも、キヤノンのフルサイズEFレンズが付けられるというので「じゃあ、噂のフルサイズNEXなんて要らなくなるのでは…」などと話題になっています。
METABONES(メタボーンズ)製のマウントアダプター「SPEED BOOSTER」(写真)がそれ。
国内では「デジタルホビー」から今月下旬に販売されるそうです。
(METABONESは、同社HPによると、香港と日本にベースを置き、アダプターなどのカメラアクセサリーを中国で製造している会社とのこと。)
◇国内、海外でのレビュー
「実際にフルサイズの画像になるの? 画質はどう?」と、気になるところですが、すでに国内ではデジカメWatchに実写レビューが出ていました。
『“APS-C機でフルサイズ撮影”のマウントアダプターを試す~NEX-6+Speed Booster EF-NEXで実写』という記事です。
フルサイズの画角になるしくみとともに、ソニーNEX-6で「Canon EF lens to Sony NEX Speed Booster」を付けて試写した結果が紹介されています。
画角的には、エクステンダーの逆で、焦点距離を短くする(0.71倍)補正レンズを組み込んでいるので、APS-Cカメラに取り付けるとちょうど元の画角に戻るというわけ。
また、1段分明るくなるのは、本来フルサイズのイメージサークルをカバーする光を、狭いAPS-Cサイズのイメージサークルに集約するため。
実写例では、キヤノン純正のEF 50mm F1.4 USMをSpeed Booster経由でNEX-6に付け、EOS 5D Mark IIでの画像と比較、『画角、ボケ量ともにほぼ同様だ。厳密にはフルサイズ機は35mm判換算50mm、スピードブースターは35mm判換算53.25mmとなるが、標準域のレンズだとその差はほとんど感じられない。周辺の流れや極端な色の変化もなく、補正レンズによる画質劣化はほぼ気にならなかった。 』とのことです。
海外ではEOS HDというサイトに、おもに動画の実写レビューが載っていました。
『Metabones Speed Booster adapter – full review』という非常に詳細なレビューです。長いので読み切れていませんが、おおむねSpeed Boosterを高く評価していました。
Vimeoにアップした動画も掲載されています。
ここではNEXの代わりに、APS-Cカメラとセンサーサイズがほぼ同じのソニー製カムコーダー「FS100」(Eマウント)が使われています。(記事にあるセンサーサイズ〝Super 35mm” は映画の規格。35mmフイルムを縦にして、フルサイズの約半分の面積を一コマに使用したもの)
レンズにはキヤノン 135mm F2.0L と Samyang 24mm F1.4を使用、FS100にSpeed Boosterを付けて撮影した画像と、EOS 5D MarkⅢでの画像を比較しています。
面白いことに、FS100+Speed BoosterのほうがEOS 5D MarkⅢより明るく、シャープな気がするのですがどうでしょうか。
EOS HDのサイトでは、これで足りるならフルサイズ一眼レフカメラは意味がない、とまで書いています。
コストパフォーマンス的にも明らかにいいですね(価格は「デジタルホビー」でご確認ください)。
一方、問題点としては、ややコーナーの描写が甘いこと、オートフォーカスが極めて遅いことが指摘されています。(Speed BoosterのHPでもオートフォーカスが遅いため、動きものには不適としています。またオートフォーカスをサポートしていないレンズがかなりあります。)
Speed Boosterはキヤノン+NEXのほかにもアルパ+NEX、ライカR+NEX、アルパ+フジX、ライカR+フジXの組み合わせがOK。
フジXのユーザーにとっても、使い方によっては機材選びの選択肢が大きく広がりそうです。
(ただ、フルサイズ用レンズならどれでも使えるわけではないこと、機能が制限されるレンズがあること、レンズ後部のでっぱりによってはSpeed Boosterの補正レンズを傷つけたり、カメラを壊してしまう可能性もあるようなので、十分に確かめた上での購入をおすすめします。)
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