以前にここでも触れましたが、コレステロール値が高いことは必ずしも悪くなく、むしろ長寿かもしれないということを日本脂質栄養学会が発表しました(YOMIURI ONLINE)。高コレステロールは心臓病や脳卒中の危険要因であり下げるべきだとする現在の医療は「不適切」とするものであり、衝撃的なものです。現在の基準は、LDL(悪玉コレステロール)が140(ミリ・グラム/デシ・リットル)以上かHDL(善玉コレステロール)が40(同)未満、もしくは中性脂肪が150(同)以上だと脂質異常症(高脂血症)と診断されます。日本動脈硬化学会が作成した。メタボ健診の基準もこれを基にしています。しかし、日本脂質栄養学会は、コレステロールが高いほど死亡率が低かったとの大規模研究や、コレステロールを下げる薬を服用しても心臓病の予防効果は見られないとする海外の近年の研究をまとめて「長寿のためのコレステロールガイドライン」を発表しました。でも、日本医師会、日本医学会と日本動脈硬化学会は、この日本脂質栄養学会のガイドラインは科学的根拠に乏しいと批判したそうです(YOMIURI OLINE)。さて、今後どのような議論が展開されるのでしょうか。多くの人が関心を持っていることです。決着を待ちたいと思います。
この時期、多くの大学教員は科学研究費補助金(通称、科研費)の申請書の作成に必死になっています。文部科学省が行う研究補助金で、助成金額は億単位のものから数百万円まで多様な研究種目が揃っています。研究者である大学教員は、自らの研究計画に応じた補助金制度を選択し応募することになります。この科研費にかかわらず、全ての研究助成金に言えることですが、とにかく申請しないことには助成金を獲得することはできません。まずは応募することが大切です。もちろん、応募するからには、問題提起とその問題を解決する適切な方法や実験計画、そして予算案が必要になります。科研費の場合、全ての研究種目に言えるのですが、目的と方法はかなりしっかりと記載することが要求されています。つまり、実験を実施して、結果を得ることができるか?報告書を提出できるか?そして一番大切なことは、きっと研究成果を世の中(つまり国民)に還元できるかどうか、これが問われているのだと思います。政府与党の方針で、来年度予算は一律10%の削減を基本とするとしています。そのため、科研費の予算が減額されそうになっています。実際、文科省の予算申請では10%の減額となっています。今年のノーベル化学賞を受賞した鈴木先生と根岸先生は基礎研究の大切さを訴え、特に鈴木先生は直接、菅総理大臣と政府に基礎研究の大切さを進言していただきました。さて、どうなりますか。確かに財政が厳しいのは十分理解していますが、科研費予算は数十年後の日本の未来をどの方向へ導くかを決めるといっても過言ではないでしょう。さて、どのような決断が出るでしょうか。注目していきたいと思います。
京都大学が有する人工多能性幹細胞(iPS細胞)の特許を管理している「iPSアカデミアジャパン」は、フランスのバイオ関連会社「セレクティス社」とiPS細胞作成と分化誘導の技術に関する特許の使用を認めるライセンス契約を結んだそうです(YOMIURI ONLINE)。特許料や詳しい内容は公表されていないが、再生医療に使う細胞を作るため、セレクティス社はiPS細胞を体のいくつかの種類の細胞に変化させて製品化する予定だそうです。iPSアカデミアジャパンによると、同社はこれまでに国内外の20社余りと契約を締結したが、その内容はiPS細胞から作った細胞に、新薬の候補となる物質を投与して効果や副作用などを調べる「創薬」の分野に限られていたそうです。今回の契約では、治療にかかわる分野についての特許を許諾したライセンス契約ということで、世界初になるそうです。実際に、iPS細胞から作成された体細胞が治療に使われる日に大きく一歩踏み出したということでしょうか。とうとう来たかという感じですね。この治療法の確立を心待ちにしている患者さんは世界中にたくさんいると思います。今後の展開に注目です。
てんかんは、一般に中枢の神経細胞の過剰活動によるものです。中枢神経組織では、神経細胞同士がお互いに連絡し合い、複雑なネットワーク、いわゆる神経回路を形成しています。神経細胞には、命令を出すものだけでなく、命令を出す細胞へ情報を送るもの、命令を出す細胞の活動を調節するものなど、様々な役割を持つ神経細胞があります。その中で、神経の興奮を抑える介在細胞が、逆に作用して命令を出す神経細胞を過剰に興奮させて、てんかんを起こしている可能性があることがあるということが明らかになったそうです(ASAHI.COM)。しかし、てんかんにはいくつかの種類があり、症状も3種類程度に分けられます。こうした介在細胞の異常な働きによるてんかんは、てんかんの一部であるそうです。また、このタイプのてんかんには、治療薬がなかったようです。したがって、この介在細胞を特異的に調節する薬を開発すれば、これまで治療薬が効かなかったてんかんの治療薬が開発できるということです。これまで分からなかったことが、次々と明らかになっていきますね。ひょっとして将来的には、全ての病気に対する治療法が開発されるのかもしれません。でも、それに合わせた診断技術の開発も必要になりますね。すると、医療費は高騰するのかも。そもそも、なぜ病気が発生するのでしょう。様々な要因による遺伝子の異常あるいは遺伝子からたんぱく質を作る時のエラーでしょうか。こうした根本的な事もいずれ解決するのでしょう・・・・・。
健康ではないけれど「病気」と診断されるほどでもない、ちょっとだけ高い血圧や血糖値でも、油断できないという調査結果が報告さっれました(ASAHI.COM)。この「ちょい悪」が両方重なると、脳卒中や心筋梗塞などを起こす危険度が2倍に高まるそうです。この調査は、1989年に30~79歳の吹田市住民から無作為に選んだ男女5321人を2005年末まで追跡調査したものだそうです。その結果、循環器病と総称される脳卒中と心筋梗塞を起こした人は364人に。血圧は、日本高血圧学会のガイドラインに従って(1)健康な「至適」(収縮期120/拡張期80未満)(2)至適よりやや高い「正常」(130/85未満)(3)正常より病的な状態に近い「正常高値」(140/90未満)(4)治療が必要な「高血圧」(それ以上)に分類。(2)(3)が「ちょい悪」に該当します。血糖値、血圧ともに健康な人がこれらの循環器病にかかる危険度を1としたとき、空腹時の血糖値が少し高い(100~125mg/dl)人は、血圧が「ちょい悪」に相当する「正常」血圧でも危険度が2倍になるというのです。血糖値が正常値100mg/dl未満の人でも、血圧が(3)の「正常高値」なら危険度が1.8倍に。一方、糖尿病の人は血圧にかかわらずリスクが4~5倍。また、循環器病の9.4%は「ちょい悪」血糖・血圧を健康化すれば防ぎ得ることもこの調査結果ら見えてきたそうです。成人の1割が血糖と血圧両方の「ちょい悪」を兼ねていると推計されるそうです。病気未満の血糖・血圧には自覚症状がないので、健康診断などで指摘されたら『まだ大丈夫』と思わず、生活習慣を見直すべきだということです。
仙谷内閣!?仙石議員は総理大臣ではなく内閣官房長官ですね。ですが、特に最近の国会での答弁が特徴的ですが、仙谷官房長官がまるで内閣総理大臣であるかのように見えるというものです。予算委員会で菅総理大臣に答弁を求めても、仙谷官房長官が答弁するなど、菅総理大臣に話をさせずに、自分の意見を話すという状態だそうです。さらに、その答弁が全く的を得ず、質問をはぐらかすようなものだということです。確かに映像で見たこともありますが、質問と仙谷長官の答弁が全くかみ合っておらず、時間稼ぎをしているようなものですね。また、15日の参議院予算委員会で、政府参考人として菅内閣の天下り対策に批判的な答弁をしたキャリア官僚に対し「彼の将来が傷つき残念だ」と発言したそうです。しかも、この件で答弁を求められていない仙谷官房長官が突然前述のようなコメントをしたそうです。当然、審議が一時紛糾したそうです。明らかに自分の意に反する発言をする官僚に対しての人事権の発動でしょうね。これでは、恐怖政治?官僚は政府与党のサポートを積極的に避けるようになるのではないでしょうか。また、こうした人事権をかざした発言を、国会という公の場で、記録に残るような形で発言するというのは問題ですね。政治家としての資質だけでなく、上司としての資質、人としての資質を問われるのではないでしょうか。少なくともパワハラですね。さて、どのように決着するのでしょうか。決着しないとなると、政治家とは何かが問われることになるでしょう。日本の将来が非常に不安ですね。
米国のスペースシャトルの退役に際して、ヒューストンにある日本人宇宙飛行士の活動拠点を閉鎖し、日本国内に移すということです。確かに、米国ではしばらく有人宇宙飛行は行わないようですので、米国に滞在する必要はないのかもしれません。国際宇宙ステーションの運用はまだ継続することが決定済みなので、日本人宇宙飛行士の活動は続くのですが、今後はロシアの宇宙船を利用することになります。宇宙飛行士の健康管理に係る知識や技術などは米国が一番だと思いますが、現在の情報社会では距離はあまり問題にならないということでしょう。また、経費節減が求められており、必ずしも米国内に活動拠点を置く必然性がなくなったということでしょうか。でも、なんかさみしいですね。日本としては今後どのような形で宇宙を利用していくのか、依然として明確なビジョンは提示されていないようです。国会もなんだか何も決まらないような気配ですので、全く先が見えません。科学技術は継続が大切で、いったん途切れてしまうとそれを取り返すのは容易なことではありません。一刻も早い具体的な方策の決定を願うばかりです。
地球の裏側のチリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山の落盤事故が起きたのが8月5日。深さ600メートル以上の地下坑道に閉じ込められてから今日で69日。ようやく、救出されました。地下に閉じ込められた作業員は33人。人間がこれだけ長期間地下に閉じ込められ、生還した例は世界の鉱山事故史上でも例がないということです。どれだけの空間だったのか詳細は分からないのですが、いわゆる閉鎖環境に近い状態で約2ヶ月。情報のやり取りは出来たとはいえ、過酷な環境であることは間違いありません。でも、こうした地下坑道で働く人々は、もともと閉鎖環境に近い状態で働いているわけですので、少しは耐性があったのかもしれません。そういう意味では宇宙飛行士に向いているのかも。いずれにしましても、無事に生還したことは大変喜ばしいことですね。現時点で、28人が生還。予想よりも早く救出作業が進み、残り5人となっています(日本時間2010年10月14日午前8時現在)。もう少しです。頑張って欲しいと思います。
2型糖尿病の治療薬「リラグルチド」の誤使用で死者が出たようです。この薬剤は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)という物質のアナログです。GLP-1は、消化管から分泌されるホルモン、つまり消化管ホルモンです。このGLP-1は膵臓からのインスリン分泌を促す作用があります。これにより血糖値が下がるというものです。さらに都合がよいことに、この作用は血糖値が高い時のみ働き、低血糖時には働かないというのです。インスリン注射を行っている糖尿病患者では、インスリンが効きすぎて著しい低血糖となり、昏睡状態に陥る等の危険性がありましたが、このGLP-1ではそうした危険性はないという画期的なものです。また、胃内容物の排泄を遅らせて、満腹感を高めることで食欲抑制作用もあります。そのため、体重抑制作用もあります。しかし、完全にインスリン注射の代わりなるわけではなく、例えば1型糖尿病ではインスリンが作れないことが原因ですので、この薬剤は全く機能しません。また、2型糖尿病によっては、他の薬剤などで血糖値がコントロールできない場合はインスリン注射が必要となり、この場合もこの薬剤は効果が期待でないことになります。したがって、GLP-1の投与には十分な注意が必要であるということになります。
昨日、10月11日は体育の日。ハッピーマンデーの関係で、以前は10月10日でしたが、現在は毎年異なるようになりました。体育に日と言うと、東京オリンピックの開会式の日でした。昭和39年(1964年)10月10日。この日に開会式が選ばれたのには理由があります。それは晴れの特異日だったからですね。東京オリンピックの開会式も、前日から雨模様だったのに、晴天になりました。今年の体育の日も快晴でしたね。でも、今年は10月11日だったので、本当の意味では前日の日曜日がその特異日ですね。前日はと言うと・・・・。東京地方は午後から晴天となりました。やはり、特異日なのでしょうか。調べてみますとこの特異日、日本だけではなく外国にもあるそうです。日本でも10月10日以外にも7月7日などいくつかあるようです。