戦後すぐの1949年(昭和24年)に最初の規格が定められて以来、排気量とボディサイズを徐々に拡大してきたドメスティックな軽自動車枠は、日本独自のクルマ文化、技術を磨き上げてきた。軽自動車枠について考察したい
本人の体型と道路、駐車場事情にマッチした軽自動車枠
取扱注意!? 中古で買えるじゃじゃ馬な軽自動車6台
軽自動車も東南アジアに輸出されているが、日本のような軽自動車規格はないため、ボディサイズと排気量を少し大きくしたコンパクト、スモールカーとしてという前提付きになる。
日本でも軽自動車枠の撤廃議論が時々起こるが、ガラパゴス化といわれても独自のクルマ文化、軽量化やパッケージ技術など、技術向上に貢献してきたという面もある。
平均身長の伸びや衝突安全性能向上などでサイズを拡大
現在の軽規格は、全長3,400mm×全幅1,480mm×全高2,000mm以下、排気量は660cc以下。貨物積載量は350kg以下。なお、最高出力64psは業界(日本自動車工業会)の自主規制値で、法令で定められているわけではない。
軽自動車のスタートは戦後すぐだった。1949年(昭和24年)7月に初めて軽規格が制定されている。なお、当時の軽規格は、ボディサイズが全長2,800×全幅1,000mm×全高2,000mm以下。エンジンの排気量は4サイクルが300cc以下、2サイクルが200cc以下と、現在よりもかなり小さく、四輪、三輪(軽三輪トラックなど)、二輪の区分もなかった。
戦後すぐは、クルマ(四輪車)は珍しく、二輪やオート三輪などが主流だったため、こうした小さなサイズになったという理由もあるかもしれない。
なお、スバル360などの車名でもお馴染みの360ccの排気量は、1955年(昭和30)年に変更され、4サイクルと2サイクルエンジンの区分けも廃止されている。
その後、居住性や積載性、動力性能、衝突安全性能の向上を改善すべく、登録車が大型化するよりはゆっくりとした歩みではあるものの、軽自動車枠も拡大されてきた。
1976年(昭和51年)には、全長3,200×全幅1,400mm以下、排気量も550cc以下に拡大。筆者もこの規格から中古車で軽自動車を運転しているが、幹線道路では路面のうねり(路面が轍のような状態になっている)にステアリングが取られて怖かった記憶がある。
現在の規格は1998年に改正
さらに、1990年(平成2年)には、全長3,300mm以下、排気量が660cc以下に。そして現在の規格になったのは1998年(平成10年)で、ボディサイズが全長3,300mm×1,480mm以下と拡大されている。主な理由は、快適性向上だけではなく、衝突安全性の向上を主眼とした登録車と同じ新安全基準を満たすためだった。
さて、軽自動車枠は、最初の軽規格から時代の要請(平均身長の伸びによる車内の広さや衝突安全性能向上、動力性能向上など)に応じて、2m以下という全高を除き、15年サイクル程度で大きくなってきている。また、2000年(平成12年)には高速道路での最高速度制限が80km/hから100km/hに引き上げられている。
なお、今回の編集部からのお題には、「なぜこの数字なのか?」というテーマが含まれているが、最初の軽規格が定められた1949年(昭和24年)まで遡る必要がある。
この点は、1949年(昭和24年)7月の「運輸省令第36号 車両規則の一部改正」で軽自動車枠をボディサイズが全長2,800×全幅1,000mm×全高2,000mm以下、排気量を4サイクルが300cc以下、2サイクルが200cc以下と定めた時の理由まで遡る必要があり、現時点で当時なぜこの数値になったのかは国会図書館などの資料でも確かな理由は分からず、もし分かればご報告したい。
少なくても、戦後すぐに始まった軽自動車枠は、安全や道路、駐車場インフラなどに加えて、日本人の平均身長などの体型、道路や駐車場事情、交通の速度などに合わせて最低限のサイズ、排気量を与えるという理由もあったはずだ。