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あぁ黒い弾丸が去って…
対広島15回戦の4回裏、三村選手が放った大飛球を背走して見事にキャッチしたデービス選手は勢い余ってフェンスに激突して倒れてしまった。捕球したグラブを高々と挙げたが遂に起き上がることは出来なかった。ファインプレーの代償は大きく、左手首を骨折し全治4週間の大怪我を負ってしまった。「怪我が治ればまだ公式戦には間に合う。またバリバリやるよ。ドジャース時代に顔をひどく怪我した時も復帰後に13試合連続安打したこともあるし大丈夫さ」と言い残して治療の為に夫人が待つハワイへ旅立った。
その前日に7月のセ・リーグ月間MVPに選ばれたばかり。7月のデービス選手は打率 .357・10本塁打・21打点と大暴れでチーム内で確固たる地位を築いた。後半戦スタート3戦目のヤクルト戦では梶間投手から右中間へサヨナラ本塁打を放った。ひところはデービス選手に対して懐疑的な中日ナインが多かったが、この頃になると「やはり大リーガーは凄い」と脱帽するようになっていた。来日当時とは別人のような活躍をするデービス選手に与那嶺監督も「これからもチームを牽引してもらいたい」と全幅の信頼を寄せていた。
それだけに今回の怪我はショックで「本当にウチはツイていない。開幕当初から主力の故障が続いて悩まされ、やっと全員の足並みが揃ったと思った矢先にデービスが離脱。彼の穴は全員で埋めるしかないね」と落胆する与那嶺監督。だが今更ああだ、こうだと悔やんでも仕方ないこと。今後はベテラン・若手が一丸となって戦うしかない。藤波選手や田尾選手らは口にこそ出さないが、やっと自分にも出番が回ってくると目の色を変えている筈である。
タナからボタモチ
梅田選手が長期の休養となり、頼みの正岡選手までが右ヒジを痛めて遊撃のポジションにポッカリと大穴があいた。宇野選手(銚子商卒)を急遽一軍へ上げたがやはり新人には荷が重い。そんなところに入団9年目の三好選手が「こんなチャンスは二度とない」と名乗りを上げた。後半戦からレギュラーとして攻守にハッスルプレーを見せている。昨年のオフに首脳陣から外野手へ転向するよう言われ「もう後がない」と心機一転、外野手にチャレンジしたが思いがけず棚からぼた餅で内野手に逆戻り。私生活では野球選手としては珍しくシーズン中の7月末に結婚式を挙げた。その矢先に野球人生を左右する試練に挑むことになる。
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