親鸞と、唯円の問答・・・
・・親鸞・・
唯円房は私の言うことを信じるか。
・・唯円・・
はい、信じます。
・・親鸞・・
それでは私の言いつけにそむかないね。
・・唯円・・
はい、謹んで。
・・親鸞・・
では言うが、人を千人殺してみないか、
そうすれば往生(現世を去って仏の浄土に生まれること。)
は決定するだろう。
・・唯円・・
仰せではございますが、この身のはたらきでは、
1人でも殺せません。
・・親鸞・・
さては、どうして、親鸞の言う事にそむくまいと言ったのか。
何事も意のままに行えるならば、
往生のために千人殺せと言ったら、すぐ殺すだろう。
しかし、1人でも殺す前世の因縁がないから殺さないのだ。
自分の心が善くて殺さないのではない。
また、殺すまいと思っても千人殺す事もあるだろう。
・・・歎異抄・第13章より・・・
親鸞らしからぬ過激な荒々しい例え話である・・・
唯円はこの親鸞の過激な言葉に対して解説している。
「 人々は、自分の心が善いのを善いと思って、
往生できると考え、また悪いのを自己判断で
悪いと断定している 」