グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

いわしぐも

2009年09月25日 | 今日の大島
 連休後半から秋らしい晴天が続いています。空気が澄んできて、遠くの景色がはっきり見えるようになって来ました。今日は、泉津海岸の方へ行きましたが、三浦半島や房総半島が良く見えていました。これから、ますます遠い場所が近く感じられる季節になります。

 空には秋の雲が浮んでいます。上空が冷えて来たのでしょう、「いわしぐも」のように見えてカメラに収めようとしたら、少しずつ形が変わって行きました。とても強い風で流されているようでした。どうも中層の雲の高積雲のようです。

 本物のいわしぐもは「うろこぐも」とも言いいますが、絹積雲(巻積雲)という上層に出来る雲の仲間のひとつです。つい最近知ったのですが、雲の出現する高度の上限は、地球の緯度によって異なるそうです。赤道に近い熱帯では約18km、日本列島など中緯度では約13km、極地方では約8kmと緯度が高くなると、雲の出現する範囲が狭くなります。

 ちなみに、中緯度の「上層」は5~13kmをいうそうなので、すぐそこに見えても、かなりの高さです。ジェット旅客機が飛んでいるのが、高度1万メートルと言いますから、10km。上層の雲には、ほかに絹雲、絹層雲があります。

 上空にもう少し冷えた空気が移動して来ると、本物の小斑点群の雲「いわしぐも」が見られます。漁夫は、この雲を鰯(いわし)大漁の兆しとするそうですが、イワシ漁が盛んになる季節なのでしょうか。雲を見ていて、なぜか金子みすゞさんの有名な童謡(詩?)の「大漁」を思い出しました。

  大漁
 
 朝焼小焼だ
 大漁だ
 大羽鰮(おおばいわし)の
 大漁だ。

 浜は祭りの
 ようだけど
 海の中では
 何万の
 鰮(いわし)のとむらい
 するだろう。

  『新装版・金子みすゞ全集』(JULA出版局・1984年)
  『金子みすゞ童謡集』(ハルキ文庫・1998年・¥580)より

 童謡詩人、金子みすゞ(1903~1929)さんが、静かなブームと言われるのは、人間中心でない、海の底や雲の上からの視点、花や虫の側にたたずんで書いた、たくさんの詩が残されていて、そのエコロジー的感覚が現代に必要とされているからなのかな?

 秋の宵は、虫の音を聞きながら詩を読むような一時にしたいものです。(ひたすら願望)

(なるせ)
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2 コメント

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雲は変幻自在ですね (やぶ椿)
2009-09-28 20:03:20
これからの秋空の下、雲の姿を見ているだけで心穏やかになります。

金子みすゞさんさんの詩はなぜか心に沁み渡ります。
孫にも時々朗読をして聞かせて感想を聞きます。
「うん、心やさしい人ね」が感想でした。
自らの命を絶つ程の純粋さが哀れです。

これからの秋の浮雲を見るたびに、みすゞさんの詩を思いだすかしらん?
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空を見るゆとり (なるせ)
2009-09-29 09:22:06
やぶ椿さん、コメントありがとうございます。

お孫さんに詩の朗読をして上げられるなんて、ステキですね。草花や虫や鳥たち、自然の生き物に触れて学んで、やさしい気持ちを感じられる子どもたちが増えてくれるように、みすゞさんは詩を残してくれたように思えます。

月や星や雲を見上げる心の余裕をいつも持てたら良いのですが・・・。
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