グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

コウモリの観察

2009年06月26日 | 哺乳類、爬虫類、他
 店でラーメンを食べる時の、1つの楽しみが器の観察です。恵の雨を象徴する稲妻のデザインなどと共に、コウモリの図柄が登場すれば「大吉」としています。街でも楽しめるコウモリの観察、あなたも探してみませんか?

 空飛ぶ哺乳類、コウモリは益獣です。これは、益虫のトンボや益鳥のツバメと同じ意味でのことです。
 昔々、農耕を始めた古代の人たちは、虫--農作物の害虫を捕食してくれる生き物をよーく観察し大切にしました。ですから、現代でも洋の東西を問わず、コウモリは正義の味方として、黄金バットやバットマンになって活躍を続けているのではないでしょうか。



 日本でコウモリを「蝙蝠」と書くのは、大陸からの伝来です。中国語で「ビェンフー」という発音が「編福(幸福を編む)」や「辺福(周辺のしあわせ)」などと同じ、「福」を表すオメデタい動物、幸福の象徴として器などにデザインされているそうです。

 大島のような離島では、在来の野生哺乳類の種は少なく、それだけでも貴重と言えますが、コウモリは「ねぐら」が減るなどして生息環境が悪化しています。東京都では、「保護上重要な野生生物種」のリストに載せていますし、国も「希少種/危機が迫っている種」に選定しています。

 大島では3種のコウモリの確認記録があります。 この内、比較的よく目撃されるのは、キクガシラコウモリで、主に第2次大戦時の防空壕跡や溶岩洞窟をネグラにしています。4月から11月頃、ツバキ並木を飛んでいるのを観察できますが、夜行性なので早朝が観察しやすいでしょう。枝先にぶら下がって、超音波で探査し、獲物をさぐり当てると、真っ直ぐ飛んで行って捕まえ、枝先の止まり場に戻って食べるフライキャッチング法を見ることもできます。

 注意!! 防空壕跡には絶対に入らないで下さい!造った当時の支柱が腐って無くなり、落盤や墜落など事故の危険性が高いです。溶岩洞窟も同様の危険があります。
 コウモリの側から見れば、そうした昼間の居場所は、安全なネグラです。そこで、出産や子育てもする大切なウチです。デリケートな生き物ですから人間が入るだけで、大変な脅威となり、最悪の場合そこを放棄してしまうそうです。
 
 コウモリなどの多様な生物の生存が、生態系の安定化のために重要であるということが科学の進展で実証されてきましたが、大事な動物だということは器にコウモリを描き始めた昔の人にとって、当然のことだったのかも知れませんね。
 
 ガイド仲間で、コウモリの保護も考えてみることにしましょうか。

(なるせ)
 
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