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2024年度第2次口述試験<プレゼン対策>

2024年10月17日 16時55分38秒 | ●2024年度<第2次口述試験対策>
2024年度第2次口述試験<プレゼン対策

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【1】プレゼンテーションなのか、スピーチなのか?
(1)プレゼンテーションとスピーチの違い
プレゼンテーションと似た言葉にスピーチがありますが、日本では、一般的に、プレゼンテーションとスピーチは、次のように理解されています。
プレゼンテーションもスピーチも、「相手に自分の思っていることを伝える行為」という意味ではどちらも同じですが、この2つには決定的な違いがあります。
それは、スピーチは、「自分の思っていることを、相手にわかりやすく伝えて理解してもらうことが目的」であるのに対し、プレゼンテーションは、自分の思っていることを相手にわかりやすく伝えて理解してもらったうえで、「それに応える相手の行動を引き出すことが目的」だという点です。

伝説的なスピーチとして知られているスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチですが、これは、スピーチなのでしょうか?
死に直面した実体験などを元にした三つのストーリーをベースにして、卒業生に対して、“Stay hungry, stay foolish.” の言葉で締めくくられたこのスピーチは、多くの聴衆に対して、「あなたの人生はそれでいいのか?」と強烈な問を与え、人生に対して真摯に向き合う提言をしました。
実際、スタンフォード大学の卒業生だけではなく、YouTube などでこのスピーチを繰り返し聞いた多くの人々は、人生の岐路に立ったときに、今でも大いに参考にしているとのことです。
彼のスピーチは、「聴衆の行動を引き出す」という意味で、スピーチではなく、優れて、プレゼンテーションであった、と言うことができると思います。
まだ、聞いたことのない人は、是非、一度、お聞きください。
https://www.youtube.com/watch?v=UF8uR6Z6KLc&t=108s

・hungry, foolishの意味:
・hungry:渇望せよ
・「現状に満足して歩みを止めるな。より先の未来を渇望し、追い求めよ!」
foolish:常識に牙を抜かれるな「インテリどもの言う常識に踊らされるな。それはあなたの牙を抜くための罠だ!」

(2)「プレゼンテーションのテーマ」ではなく、「スピーチのトピック(話題)」が適切である。

2023年度の10:00からのプレゼンテーションのテーマとして、下記の三題が出題されました。
人形浄瑠璃
兼六園
合気道
受験者は「人形浄瑠璃について」自分の思っていることを試験官に話すわけですが、別に、試験官に何か行動を引き出すことを目的に話すのではありません。「兼六園について」もしかり。「合気道について」もしかりです。
それでは、受験者が「人形浄瑠璃、兼六園、合気道」について話す目的は何でしょうか?

(3)「外国人観光客の訪日旅行」がテーマです!
受験者は、通訳案内士(通訳ガイド)の立場(視点)から、外国人観光客の訪日旅行をテーマとして、「人形浄瑠璃、兼六園、合気道」について話すことが目的であって、試験官の行動を引き出すことではありません。
その意味で、本当は、「プレゼンテーションのテーマ」ではなく、「スピーチのトピック(話題)」が適切な表現だと思います。

つまり、受験者は、
①通訳案内士(通訳ガイド)の立場(視点)から
②外国人観光客の訪日旅行をテーマとして
③与えられた「スピーチのトピック(話題)」について話すことが求められているのです。

視点とテーマ(外国人観光客の訪日旅行)が定まれば、どのような問題テーマ(トピック)が与えられても、自ら、「望ましいスピーチ」を想定することができます。

【2】スピーチの構成
(1)一般的な三段構成
日本では、「起承転結」などと言われますが、英語のスピーチの一般的な構成は、次の三段構成です。

Introduction (導入)
Main Contents (内容)(Main Contents = Sub Content + Sub Content + Sub Content)
Conclusion (まとめ)

しかし、通訳案内士試験におけるスピーチの構成はこれでいいのでしょうか?

(2)私は、次の二つの構成をお勧めします。
最初から、問題テーマ(トピック)が与えられているので、Introduction (導入)の部分は不要となります。余計なことに頭を使わずに、Introduction (導入)は、バッサリと割愛します。

<その1>一段構成
Facts(事実)(Facts = Fact + Fact + Fact)のみ
Facts(事実)のみを、通訳案内士の立場(視点)から、外国人観光客の訪日旅行をテーマとして2分間話すことができれば、それはそれで結構だと思います。これが、一番シンプルな構成です。

<その2>二段構成
Facts(事実)のみで、2分間話せない時に、Conclusion (まとめ)を付け加えます。
①Facts(事実)(Facts = Fact + Fact + Fact)
②Conclusion (まとめ)

【3】Conclusion (まとめ)作成のポイント
(1)前提事項
受験者が求められていること:
・通訳案内士(通訳ガイド)の立場(視点)から
・外国人観光客の訪日旅行をテーマとして
・与えられた「スピーチのトピック(話題)」について話すこと

(2)想定されるConclusion (まとめ)
個人的な観点からのConclusion (まとめ)
・私は、自分の外国語力(専門知識)を活用して、外国人観光客のためにお役に立ちたいと思います。
・私は、自分の茶道(華道、柔道、相撲、伝統芸能)の知識を活用して、外国人観光客のためにお役に立ちたいと思います。
・私は、海外で現地の方から親切にしてもらったので、今度は、私が外国人観光客を親切におもてなししたいと思います。

通訳案内士の観点からのConclusion (まとめ)
・外国人観光客が、日本旅行を心ゆくまで楽しんでもらえるように努めたいと思います。
・より良いガイディングができるように、通訳案内士同士で勉強会などしたいと思います。

旅行業界の観点からのConclusion (まとめ)
・「佐渡の金山」が、世界遺産に決まったこともあり、もっと、多くの外国人観光客が日本に来るといいと思います。
・もっと、外国人観光客が分かりやすい案内標識、地図、メニューがあればいいと思います。
・JNTO が運営する有楽町の ”Tourist Information Center” が、銀座の反対側の外国人観光客がほとんど訪れないオフィスビル街にあることはおかしいと思います。(←本番では言わないこと)

日本経済の観点からのConclusion (まとめ)
・少子高齢化する日本にあって、縮小する国内経済の活路の一つを「観光立国」に求めることは正しいと思います。外国人観光客を誘致するために、もっと海外に向けて日本を宣伝する必要があると思います。

【4】滝川クリステルさんのスピーチから学ぼう


2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決定したIOC総会、その最終投票直前に行われた東京のプレゼンテーションで、スピーチをした、滝川クリステルさん。
滝クリの笑顔、流暢なフランス語、全てがパーフェクトなスピーチだったと専門家が評価する世界最高レベルのプレゼンテーションから学びましょう。

(1)スピーチの動画(フランス語+日本語)(スピーチ自体の時間は、2分20秒です)
https://www.youtube.com/watch?v=6hggygKWwhg


(2)滝川クリステルさんのスピーチの日本語訳
(起)<イントロダクション1>
東京は皆様をユニークにお迎えします。日本語ではそれを「お・も・て・な・し」という一語で表現できます。

(承)<イントロダクション2>
それは見返りを求めないホスピタリティーの精神、それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています。「おもてなし」という言葉は、なぜ日本人が互いに助け合い、お迎えするお客さまのことを大切にするかを示しています。

(転1)<おもてなしの具体例>
ひとつ簡単な例をご紹介しましょう。もし皆様が東京で何かをなくしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。例え現金でも。実際に昨年、現金3000万ドル以上が、落し物として、東京の警察署に届けられました。世界を旅する7万5000人の旅行者を対象としておこなった最近の調査によると、東京は世界で最も安全な都市です。

(転2)<東京の他の特徴>
この調査ではまた、東京は次の項目においても第1位の評価を受けました。公共交通機関。街中の清潔さ。そして、タクシーの運転手の親切さにおいてもです。あらゆる界隈(かいわい)で、これらの資産を目にするでしょう。東洋の伝統的な文化。そして最高級の西洋的なショッピングやレストランが、世界で最もミシュランの星が多い街にあり、全てが、未来的な都市の景観に組み込まれています。

(転3)<競技会場の中心地のひとつとなるお台場の説明>
私が働いているお台場は、史上初の“ダウンタウン”ゲームズを目指すわれわれのビジョンの中心地でもあります。それは都心に完全に融合し、文化、生活、スポーツがユニークに一体化します。ファントレイル、ライブサイト、チケットを必要としないイベントが、共有スペースにおいて多くの競技会場を結び、素晴らしい雰囲気を創り出します。

<結>
来訪者全てに生涯忘れ得ぬ思い出をお約束します。

以上


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