昨日に引き続きましてエミリーのお話です。
今日は普通のカカシはカワウ追い払い効果があまり期待できないのに、エミリーはどうしてカワウを追い払うことができるのか? について・・・
カワウに限らず鳥は一般的に頭の良い動物で、学習能力に長けています。かかしなどの追い払い装置を設置しても、それは本当は危険ではなく、こけおどしであると見破ってしまいます。
かかしを川の近くに置いただけでは、カワウはすぐに慣れてしまって追い払いの効果はなくなります。
どうすれば、カカシの追い払い効果を高め、効果を持続させることができるのか?
カワウは頭がよい。それを逆手にとれないだろうか?
いくつかの実験を行い、その結果からたどり着いたのが、人によるロケット花火などを使った追い払いとカカシのコラボです。
まず、例えばオレンジ色のチョッキなど同じユニホームを着て、カワウの追い払いを行います。
オレンジ色のチョッキを着た人からロケット花火などの攻撃を受けたカワウは、「オレンジ色のチョッキを着た人」=「自分に危害を与える人」と学習します。
そう学習したカワウは、オレンジ色のチョッキを着た人を避けるようになり、同じ格好のマネキン人形に対しても忌避行動をとるようになるのです。(例としてオレンジ色のチョッキとしましたが、服装の色は直接的には追い払い効果とは関係ありません)
カカシの効果を持続させるためには、人による追い払いを定期的に行う必要がありますが、毎日のように人が広範囲に追い払い作業を行うことと比べれば、労力は大幅に軽減されます。
実は、これと似た現象は昆虫界では比較的よくみられます。
ハチや有毒の蝶に体の模様などを似せ、捕食者から身を守る例で、「ベイツ型擬態」と呼ばれます。
ベイツ型擬態の例
ハチに擬態しているヨツスジハナカミキリ
ツマグロヒョウモン♀は、有毒のカバマダラに擬態している
ベイツ型擬態では、真似される方(有毒生物など)を「モデル」、真似をする方を「ミミック」と呼びます。
今回のカカシでは、追い払いをする漁協の人がモデル、エミリーがミミックということになります。
現在までのところ、エミリーは確実にカワウが川に降りてくるのを阻止しており、漁協の人からも評価されていますが、追い払い効果の持続期間や効力が及ぶ範囲などについて調べるため、しばらく定期的にエミリーのところに通います。
エミリーも一人で寂しそうだし・・・
(5/24 追記)
2010.5.23の朝日新聞・群馬県版にエミリーの記事が掲載されました!
※補足
カバマダラは体内に食草由来の毒を持っているので、カバマダラを捕食した経験のある鳥は二度とカバマダラを捕ることはなく、この蝶は鳥による捕食から身を守ることができます。
ツマグロヒョウモン♀はカバマダラに擬態しているのですが、カバマダラの生息地は奄美・沖縄地方です。(九州~近畿地方でもみられることはある)
それに対して、ツマグロヒョウモンはカバマダラ生息地のずっと北にも分布しています。
カバマダラがいない地域では、鳥がカバマダラが有毒であることを学習する機会がありませんので、ツマグロヒョウモン♀の擬態には効果はないということになります。
(群馬県にはカバマダラがいないので、ツマグロヒョウモンは♀は普通に鳥に食われているはずです)
今日は普通のカカシはカワウ追い払い効果があまり期待できないのに、エミリーはどうしてカワウを追い払うことができるのか? について・・・
カワウに限らず鳥は一般的に頭の良い動物で、学習能力に長けています。かかしなどの追い払い装置を設置しても、それは本当は危険ではなく、こけおどしであると見破ってしまいます。
かかしを川の近くに置いただけでは、カワウはすぐに慣れてしまって追い払いの効果はなくなります。
どうすれば、カカシの追い払い効果を高め、効果を持続させることができるのか?
カワウは頭がよい。それを逆手にとれないだろうか?
いくつかの実験を行い、その結果からたどり着いたのが、人によるロケット花火などを使った追い払いとカカシのコラボです。
まず、例えばオレンジ色のチョッキなど同じユニホームを着て、カワウの追い払いを行います。
オレンジ色のチョッキを着た人からロケット花火などの攻撃を受けたカワウは、「オレンジ色のチョッキを着た人」=「自分に危害を与える人」と学習します。
そう学習したカワウは、オレンジ色のチョッキを着た人を避けるようになり、同じ格好のマネキン人形に対しても忌避行動をとるようになるのです。(例としてオレンジ色のチョッキとしましたが、服装の色は直接的には追い払い効果とは関係ありません)
カカシの効果を持続させるためには、人による追い払いを定期的に行う必要がありますが、毎日のように人が広範囲に追い払い作業を行うことと比べれば、労力は大幅に軽減されます。
実は、これと似た現象は昆虫界では比較的よくみられます。
ハチや有毒の蝶に体の模様などを似せ、捕食者から身を守る例で、「ベイツ型擬態」と呼ばれます。
ベイツ型擬態の例
ハチに擬態しているヨツスジハナカミキリ
ツマグロヒョウモン♀は、有毒のカバマダラに擬態している
ベイツ型擬態では、真似される方(有毒生物など)を「モデル」、真似をする方を「ミミック」と呼びます。
今回のカカシでは、追い払いをする漁協の人がモデル、エミリーがミミックということになります。
現在までのところ、エミリーは確実にカワウが川に降りてくるのを阻止しており、漁協の人からも評価されていますが、追い払い効果の持続期間や効力が及ぶ範囲などについて調べるため、しばらく定期的にエミリーのところに通います。
エミリーも一人で寂しそうだし・・・
(5/24 追記)
2010.5.23の朝日新聞・群馬県版にエミリーの記事が掲載されました!
※補足
カバマダラは体内に食草由来の毒を持っているので、カバマダラを捕食した経験のある鳥は二度とカバマダラを捕ることはなく、この蝶は鳥による捕食から身を守ることができます。
ツマグロヒョウモン♀はカバマダラに擬態しているのですが、カバマダラの生息地は奄美・沖縄地方です。(九州~近畿地方でもみられることはある)
それに対して、ツマグロヒョウモンはカバマダラ生息地のずっと北にも分布しています。
カバマダラがいない地域では、鳥がカバマダラが有毒であることを学習する機会がありませんので、ツマグロヒョウモン♀の擬態には効果はないということになります。
(群馬県にはカバマダラがいないので、ツマグロヒョウモンは♀は普通に鳥に食われているはずです)
常時動いていたり、決まった時間毎に動くのではカワウに見破られてしまうでしょう。
カワウの観察は現地に出向いて行っています。
昨年まで共同研究を行っていた愛知県の水産試験場ではコンデジのインターバル撮影機能を使っていました。
私もエミリーが動くのではないかと思っていた一人です。
土曜日(だったかな?)の朝日新聞群馬版にエミリーが登場し、こにタンさんのコメントも掲載されていました。漁業被害は想像以上ですね。
ところで川の監視はもっぱら人間の目視に頼っているのでしょうか?先日の浅間の噴火を捉えたカメラを持っています。3秒に1フレームを撮影してWeb上げることが出来ます。スペックを確認してみます。
今のところ、エミリーはカワウの着水を
完璧にブロックしてくれているようです(^^)
エミリーの隣に写っているオジサン(私ですが)の顔と比べると、
エミリーの顔の小ささが際だちますねぇ(^^;)
群馬県のような内陸部では、希にしか見られなかったカワウが、
内陸にどうしてこんなにたくさん進出してしまったのか?
その点を明らかにしないと根本的な解決は難しいでしょうね
もうしばらく、カワウとの追いかけっこは続きそうです
鳥が本能的に恐がる「超刺激」というのは、ないようです
オレンジ色のチョキだけで効果があるかも知れません。
かかし+追い払いが効果的であるという結論を出すのに
約1年半かかったのに、虫たちは遥か昔からこの方式を
すでに実践済みだったんです(^^;)
さらにパワーアップしたスーパーエミリーになりますね(^^)
エミリーの方式は、どの鳥でも効果的だと思いますよ
効果覿面!
エミリーが見つめる川面ではライズリングが次々と・・・あ~、釣りたい!。
それにしてもエミリーちゃんは小顔ですね。
本日、渋川市の吾妻川河川敷では、日没まで銃器によるカワウの駆除が行われているようです。
私はそれも致し方なしというスタンスですが、できれば上手く折り合いを付けられればと思っています。
とは言え、ミスエミリー(もしかしてミセスですか?)とその支援隊の働きにもかかわらず限度があるでしょうし、任せっきりというのも無責任のような…
何とか環境全体を整備できるといいのでしょうね。
カワウの撃退法、勉強させてもらいました。
人間とカワウの闘い、まだまだ続きそうですね。
動物が火を怖がるのと同じ?
これって遺伝子にインプリントされてるのかしら?
そしたら、群馬のカワウの遺伝子に
「エミリーと花火=怖い」がインプットされる時代も来る?
猟友会の方が、銃器を使用する際に着用するので、=「自分を攻撃する物」として、カワウが認知するのかと・・・
確かに自然界では既に同じ事で、自分の身を守る昆虫達が居るんですよねぇ・・・
う~ん。眼から鱗が落ちました。
と言う事は、これからも根気良く続ける事が肝心と言う事ですね。
頑張って下さい。
とか
エミリーが時々、鉄砲を撃つようになっている。
とか、想像していました。
なるほどね~
じゃあ、畑のかかしも特徴的なものを着せて
それを着て、時々パンパンするといいのかな。
でも、雀の方が学習能力は低いのかも。
おもしろい実験ですね。