人間、歳をとるごとに、一方で涙もろく、一方で怒りっぽくなっていくのはしかたのないこと、子供帰りの始まりでもあります。
たしかに私もすでにその歳に足を踏み入れつつあることは認めるものの、今日の新聞なんか読んでいると怒りがこみ上げてくるのは歳のせいだけとも思えません。
暫定(名詞) かりに・(一時的に)決めること。「-処置(ソチ)・-的に」
私は『広辞苑』のような立派な辞書を持っておりませんので、三省堂の国語辞典を引いてみましたが、これは完全に間違っていますね。
暫定税率を今後10年維持しても『暫定』だとお偉い政治家先生がおっしゃるのだから、これはもう全ての辞書・辞典の書き換えをしてもらうしかない、文科省も沖縄戦の自決問題にいらぬちょっかい出す前に、国語の授業で『暫定』の意味が変更になったことを真っ先に教えるべく指導を行うべきかもしれません。(笑)
地方の疲弊が毎日のように紙面を賑わせ、その対策のためにも道路財源は必要だなどという目先の論争で、本当に地方が改善されるとでも思っているのなら、私は政治家先生に何の期待も持てません。
海外に視察研修と称して観光に出かけられる暇があったら、お国入りなどともて囃され花束なんか受け取ってる暇があったら、地方の最低賃金で(もちろん貯蓄も使わず)、市営住宅にでも入って、その地方の冬を半年間過ごす『地方体験研修』でもやられたらいかがでしょうか?
強盗や人殺しや孤独死や未医療の実態を、身を持って体験されてはいかがでしょうか?
高速料金の値下げで理解を求める?
ふざけんじゃありませんよ。値下げになったって高速なんかもったいなくて使えないのが庶民なんですから。
あ~~~~怒りが!!!!
「なに新聞読みながら、一人で怒ってんのよ。怒ったってどうしようもないんだから」
「それを言っちゃぁ、おしめいよ・・・・・しかたない、まぁ今日のところはこんなもんにしといてやらぁ!」
そんなこんなで怒りをとりあえず珈琲で冷まし、朝日新聞の別紙『be』を見れば、『愛の旅人 男の子を男にした狂気』と題された記事が、
映画『卒業』の有名なシーン、そうダスティン・ホフマン扮するベンが、窓をたたきながら「エレーン!」と叫ぶ、あの教会を訊ねたという記事です。
『卒業』といえば、公開から40年といいますから、私は初回上映期に観たのでは無いとは思いますが、それでも私や私より少し上の年代の方は必ずやご覧になった映画ではないでしょうか。
自分が進むべき道を見つけられず、将来に不安を持つ青年ベンジャミン。父親の仕事仲間ロビンソンの奥様がそんな彼を誘惑するんですよね。私の大好きなアン・バンクロフトでした。おもわずサイモン&ガーファンクルの「Mrs.ROBINSON」が頭の中で流れます。
その誘惑に、一度は逃れようとするものの、魅力的な年上の女の誘惑に世間知らずの男の子が勝てるわけもなく、ズルズルと関係を持ってしまう。
そこにロビンソンの娘エレーンが現れるわけで・・・『明日に向かって撃て』のキャサリン・ロスも良かったけど、ここでのキャサリンがやっぱり良いかなぁ
最後の満足そうなベンの顔と、不安を隠しきれないエレーンの顔が、いかにも男と女を表しているようで興味深かったですね。
その後二人はどうなったのか? ・・・・おそらくダメになったんだろうな(笑)
監督マイク・ニコルズがこの映画のテーマに考えていたのは「狂気を通じて自分を救う男の子」だったのだそうで、ベンは花嫁を奪うという狂気で「男」になった、つまり世間の常識に逆らい、人間として自立したということらしく、ある意味それは現在の若者に最も欠ける感覚かもしれません。
いずれにしても、しばらくぶりに『卒業』を観たくなりました。私の豊富な(笑)ライブラリーにたしかあったと思いますので、改めて観てみよう。
2階に上がり、ガラスの前に立った。祭壇まではかなり遠い。ガラスをわるくらいの力でたたかないと、音は祭壇まで伝わらないことがわかった。
記事はこんなふうに締めくくってありますけど、これもまた「それを言っちゃぁ、おしめいよ」でありますね。(笑)
さて、今日の一枚は、ホレス・シルバー、昨日に引き続いてのブルーノート盤です。
バロネス・パノニカ・ド・ケーニッヒスワルテル、別に『寿限無』を語ろうというわけではなく、ご存じジャズ界最大のパトロン、ニカ夫人のことです。
チャーリー・パーカーが死を迎えたのも彼女のアパート、セロニアス・モンクも彼女に頼りっきり、ジジ・グライス、バリー・ハリスets.ets. 彼女のやっかいにならなかったジャズメンの方が少なかったんじゃないかというくらい(これは大げさですが)、モンクのVTR「STRAIGHT NO CHASER」の中でも彼女の姿を見ることができますよね。
これは私の勝手な思い込みなのですが、『卒業』のミセス・ロビンソン、性格・行動は全く違いますけど、アン・バンクロフトのあの雰囲気がニカ夫人とちょっとダブってしまうのです。
それでね、ジャズ・メッセンジャーズを多いにバックアップした彼女への、感謝を込めて作られたシルバーの曲「NICA'S DREAM」の入ったこのアルバムを選んだのであります。
「だったら本家コロンビア盤の「THE JAZZ MESSENGERS」にすりゃいいだろう」とも言われそうですが、そちらは以前にも紹介したアルバムですし、この曲に関してはこちらの方がお気に入りだったりするものですからね。
ドラムがルイス・ヘイズからロイ・ブルックスに替わったシルバー・クインテットにとって、ある意味このアルバムが試し打ちだったのか?
いやいや、試し打ちと称しては失礼、以前にも増してまとまった演奏を見せつけてくれます。
そして、この後『ヴィレッジ・ゲイト』での熱狂ライブ盤「DOIN' THE THING」へと突入するのでありますが、そのお話は・・・あれ?以前にしたかな?
HORACE-SCOPE / HORACE SILVER
1960年7月8,9日録音
HORACE SILVER(p) BLUE MITCHELL(tp) JUNIOR COOK(ts) GENE TAYLOR(b) ROY BROOKS(ds)
1.STROLLIN'
2.WHERE YOU AT ?
3.WITHOUT YOU
4.HORACE-SCOPE
5.YEAH !
6.ME AND MY BABY
7.NICA'S DREAM
おまけ、
ニカ夫人に捧げられた数多くの曲はご存じかと思いますが、ニカ夫人が描いた絵をご存じでしょうか?
バド・パウエルの「A PORTRAIT OF THELONIOUS」のジャケットを飾るあの絵、あれが、バロネス・パノニカ・ド・ケーニッヒスワルテル作の絵画であります。
(う~~~ん、はたして何を描いたものなのだろうか??????)