介護士の仕事は多岐に渡り、人手不足も相まってなかなか利用者に時間をかけてケアをしてあげられないと悩む介護士も多いです。
移動介助、排せつ介助、入浴介助などは利用者の介護度によっても、その内容は大きく変わります。
自力で歩行ができない人には移乗介助、歩行介助が必要です。
利用者の体格によっても、介護士への負担は大きく変わります。
介護士は女性が多いこともあり、体格差のある男性を介護しなければならないことも多いです。
力では支えきれないことも多いですが、ボディメカニクスを利用し、介護を行うことで比較的スムーズに安全に介護を行うことが可能です。
人の動きには筋肉の動きや重心の移動、関節の動きなど様々な要素が合わさっています。
介護者は、自分が日々無意識に行っている動作を意識してみることで実際の介護現場で役立つこともあるでしょう。
立ち上がる時、歩き出す時、座る時などどのように重心が移動しているのか、筋肉はどのように動いているのかを考えてみるのです。
その動きに沿って、利用者の移乗、歩行介助時の重心移動のサポートを行えば力任せの介護を行わずに済みます。
力任せの介護は介護職の職業病と言われる腰痛を引き起こします。
腰痛が悪化すればぎっくり腰やヘルニアなどを起こす場合もあり、最悪の場合は介護職を続けられなくなってしまうことも考えられます。
そのため、人間の身体の仕組みを知ることは介護職に就く人にとって自身の身体を守るためにも大切なことなのです。
利用者の歩行介助を行う際に最も大切なことは安全確保です。
高齢化社会の進んでいる日本では、バリアフリーという言葉が定着し新しい住居や施設では完全バリアフリーの場合もありますが、まだまだ少ないのが現実です。
車椅子を使用するほどでもないが、歩行に不安や困難のある人には歩行介助が必要になります。
車椅子に乗っている人でも、車椅子が入れないような狭い場所に入らなければならない際は介助が必要になります。
比較的簡単に思われがちな歩行介助ですが、サポート方法を間違えると危険が伴います。
そのため、正確な知識と歩行の際の身体の仕組みをしっかりと把握しておく必要があるのです。
手引き歩行や寄り添い歩行で歩行が可能な人は、介護者が利用者の体に触れて介助を行います。
手引き歩行は介護者が後ろ向きになるので短い距離の移動を行う際に有効です。
寄り添い歩行は、介護者が利用者の脇から手を回して支えます。お互いが前向きに進めるのでストレスなく行うことができます。
しかし、歩行介助を毎日行うことは介護者への身体の負担も大きいです。
その際は補助器具の利用を考えることも有効です。
支えがあれば自力で歩行が可能な人には歩行器がお勧めです。
自身で持ち上げて前に進む歩行器もあれば力の弱い人にはキャスター付きの歩行器もあります。
歩行器を使用する際は、介護者は後ろ側への転倒を防ぐ必要があります。
他にもシルバーカーなどを利用することで介護者は負担が減り、利用者は自分で歩ける喜びを感じることができるでしょう。
これら歩行介助に関する基本については、こちらの情報サイトにも載っているのでぜひご覧ください。