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トルコの建築家ミマル・シナンの想いを断ち切れぬまま数年が過ぎた頃、JIAの鈴木先生からメールが入った。「トルコへ行きませんか?」これを逃したら、一生行けないだろうと、身辺整理をした後返事を出した。行ける、これで行ける。夢にまで見ていたリヒテム・パシャ・ジャーミーが見れる。カッパドキアの地底都市に潜り込める。私は小躍りして喜んだ。ところが、送られてきたスケジュールには、このシナンの建築が入っていなかった。
鈴木先生は面白い。いいや、建築家と言う分類が面白い。若い頃、車が欲しいとお金を貯めたが目標の額に達した時、車を買うのではなく、そのお金を使ってヨーロッパに行く事に変えたと言う。詳しく聞けば、新婚だった奥様と一緒に、ヨーロッパで建築の仕事をしながら生活していたらしい。海外に飛ぶのは億劫ではなく、年に一度は必ず旅行しているのだそうだ。ちなみに子供達も海外にいるとの事、ご夫婦揃って英語はペラペラだ。
先生にシナンの建築の話をした。録画しておいたVTRも送った。先生の企画したスケジュールは、自由に変更が可能だそうで、「それじゃ、みんなで行こうか。」と言う話になった。実は先生の奥様が華道の師範で、その弟子が丁度イスタンブールで日本語学校の教師をしている。その彼女がガイドを務めて下さった。見所、穴場、美味しい店、様々な所に連れて行って貰った。「ベッカムが来てるから、チケットを取ったから、私は試合を見に行くから、後はご自由に!」と野放しの場面もあったが、リヒテム・パシャ・ジャーミーには朝一番で連れて行ってくれた。
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