無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

リヒテム・パシャ・ジャーミー

2008-01-07 22:56:56 | 建築・都市・港


トルコの建築家ミマル・シナンの想いを断ち切れぬまま数年が過ぎた頃、JIAの鈴木先生からメールが入った。「トルコへ行きませんか?」これを逃したら、一生行けないだろうと、身辺整理をした後返事を出した。行ける、これで行ける。夢にまで見ていたリヒテム・パシャ・ジャーミーが見れる。カッパドキアの地底都市に潜り込める。私は小躍りして喜んだ。ところが、送られてきたスケジュールには、このシナンの建築が入っていなかった。

鈴木先生は面白い。いいや、建築家と言う分類が面白い。若い頃、車が欲しいとお金を貯めたが目標の額に達した時、車を買うのではなく、そのお金を使ってヨーロッパに行く事に変えたと言う。詳しく聞けば、新婚だった奥様と一緒に、ヨーロッパで建築の仕事をしながら生活していたらしい。海外に飛ぶのは億劫ではなく、年に一度は必ず旅行しているのだそうだ。ちなみに子供達も海外にいるとの事、ご夫婦揃って英語はペラペラだ。

先生にシナンの建築の話をした。録画しておいたVTRも送った。先生の企画したスケジュールは、自由に変更が可能だそうで、「それじゃ、みんなで行こうか。」と言う話になった。実は先生の奥様が華道の師範で、その弟子が丁度イスタンブールで日本語学校の教師をしている。その彼女がガイドを務めて下さった。見所、穴場、美味しい店、様々な所に連れて行って貰った。「ベッカムが来てるから、チケットを取ったから、私は試合を見に行くから、後はご自由に!」と野放しの場面もあったが、リヒテム・パシャ・ジャーミーには朝一番で連れて行ってくれた。

コメント (6)
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続き

2008-01-07 12:21:14 | 建築・都市・港

はぁ、何て美しい空間なんだろう。
私の見たかったタイルは、あまりに種類が多すぎて、撮す途中「こりゃ、無理だ。」と解った。勿論、撮す事は可能なのだが、デジカメではフラッシュが邪魔をして、タイルが光って綺麗に撮せない。本当にめげてしまう。美しいのに、美しいのに。ならばと、入り口の所で売っていた絵はがきと写真集を買う事にした。



でも現実の壁は、素晴らしいタイル職人技と、どーでもいい素人風のが混じって貼ってあって、「え~~、うっそ!」と、日本の建築技術者の目を覚まさせてくれる。(これは、まじです。日本のような技術の制度は通用しません。)美しい手描きの隣に、下絵の途中のままで焼いたようなタイルが並んでいるのだ。




ミマル・シナンは建築や都市計画にも詳しい。このリヒテム・パシャ・ジャーミーを計画する時に、1階を問屋や商店街にした。その家賃収入でこのモスクの運営費に充てられると考えたようだ。店子達も自分達のモスクだと、日本で言えば村の鎮守様のように、大事にしている。



トルコへ行った翌年、同じくJIAの針生先生からも、トルコ旅行を誘われた。建築家の世界大会がイスタンブールで開催されるのだと言う。丁寧にお断りをした後に、ぜひリヒテム・パシャ・ジャーミーを見て欲しいと、VTRも送った。私は他人に自分の趣味を押しつける嫌な人間でもある。せっかくイスタンブールへ行くのだもの、見て損は無いと思ったからである。



トルコの旅行者が集まる「ぷるぷるトルコ」と言うサイトがある。そこでこのリヒテム・パシャ・ジャーミーの話が出ていた。大型の観光バスで、日本人の団体がここを見学していたのだそうだ。大手の観光会社がツアーに組み込んだらしい。自分達が大事にしていたモスクが、観光化されるのは、どうなんだろう。外部の私でさえ、ちょっと複雑な気分になった。



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