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午後からは、三川町のアトク先生の家に向かった。農家が多い細い道を何台もの車が列を作ってゆるゆると走る。いつもは静かな農村なのだろうに、おくりびとが有名になって以来、このアトク先生の家に多くの観光客が訪れ、迷惑もしているのだろうと思った。
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アトク先生の家は、三川町の三本木にある。アトク先生とは、学校の先生を務められた名物先生で、阿部徳三郎氏、ニックネームがアトク先生なのだそうだ。現在は公民館として使用されている。その為、無料で開放されている。
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実際に映画で使われた部屋は2カ所あり、この障子が印象的な部屋と、ルーズソックスをお婆ちゃんに履かせた部屋では、地区の方達が10名ほど集まって囲碁か将棋の真っ最中だった。
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広間にはおくりびとのパネルや写真が展示してあった。床の間には、ここを訪れたライシャワー元駐日大使の写真が飾られてあった。
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三川町がここを譲り受ける迄、名家と言われたこの家は、庭も素晴らしかった。ゆがみを残す古い窓硝子を通して、睡蓮に覆われた池も見えた。今度もう一度ゆっくり来てみたいと思った。
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高い天井の広間には、素晴らしい書院がついていた。あまりに綺麗だったので、撮してみる。柱や長押は漆塗りだった。
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庄内平野をビュンビュン走って、最後の目的地の鶴岡市の松ヶ岡の庄内映画村に着く。この松ヶ岡は、明治に酒井藩に仕えていた武士達の職業を変える目的で、この地に開墾場を作った。武士が刀を鍬に持ち替えたのである。この建物も当時の物で、築130年は経っている木造3階建てだ。3階部分を養蚕に用いた。現在5棟が残っている。屋根の瓦は、お城の物を解体して運んだそうだ。軒瓦には酒井家の家紋が入っていた。
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映画おくりびとに限らず、山田監督の「たそがれ清兵衛」を初めとする一連の藤沢周平作品や、8月に公開される竹中直人監督の「山形スクリーム」香取慎吾主演の「ichi」など、この庄内映画村が受け皿になった作品は多い。
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おくりびとの題字の習作
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「私がここのナンチャッテ館長です。」と言って、案内をして下さったのは、映画「おくりびと」の題字を書いた平野さん本人だった。後でポストカードにサインをして貰った。彼は絵が得意で、撮影の最中に俳優さん達のクロッキーを描いていたらしい。他の映画では、絵コンテも描いているのだそうだ。
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映画制作の仕組みを説明して貰いながら、彼の作品展示を見て歩いた。絵を描くために俳優さんにポーズを取って貰うのではなく、見た瞬間を頭の中にインプットし、筆を走らせる。
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これは、アメリカのアカデミー賞受賞の時に、一緒に渡米し、ニュースの場面には流れなかった授賞式後の「さぁ~、みんなで一緒に飲むぞ~!」と滝田監督がトロフィーを上に持ち上げた時の会場の様子だそうだ。
こうして、内容が盛り沢山のツアーは終わった。予定より1時間もオーバーしているのに気が付いた。残念ながら今回は、七五三掛はツアーには入っていない。