無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

シックスクール・対処法

2010-08-19 13:32:01 | 建築・都市・港
新しい家に行くと、目がチカチカして呼吸困難になる。住宅でも、20年ほど前から、そんな症状が出始めた。それが顕著に現れたのが、じつは学校だった。新しい学校に行くと気分が悪くなる。頭が痛い、だるい、疲れると言った症状で、始めは先生達は取り合わなかった。きっと勉強が嫌だったり、学校へ来たくなかったから仮病でも使っているのだろうと思ったらしい。日本で最初に気づいたのは、眼科のドクターだった。

化学物質過敏症が社会問題化されたのは、米国のカルフォルニア州やドイツが先だった。米国では州によって、対処に差があったが、やはりエコロジーでも先進国のドイツは、取り組みが早かった。日本では遅れて使用禁止にされた化学物質は数種類しかないが、これらの国では危ないと思われる物質を数百と取り上げた。環境ホルモンと呼ばれた化学物質がそれである。正確には、内分泌攪乱物質と呼ぶ。濃度が高ければ死や人体に直接的な被害を及ぼすが、信じられない位にごく微量であっても、人間のホルモンと非常に似た働きをする為に、結果的に人体を変えてしまう。特に女性ホルモンに似ていると言われ、船底塗料が原因で、日本沿岸の貝が雌化していることは問題になった。実は人間の男性にも要注意だと言われてきた。ただし、これらは単体での危険性が問われているだけで、複合汚染については検証されてはいない。

化学物質過敏症になったら、まずはその物質から逃げなければならない。新しい家から古い民家に戻ると治る(症状が軽くなる。正確には完治はしない。)と事例が多い。引っ越しが出来ない状態なら、まずその物質を家の中から取り去る事が必要だ。

建物の内部の仕上げを無垢材や土塗り壁に張り替えないといけない。
軽症なら、換気を充分に行う。何年経っても化学物質がゼロになることはないが、薄くなって行くのは事実だからだ。
急場の方法として、温度が高くなると化学物質が空気中に放出されるので、室内を閉め切り、ガンガンに暖房をつけて室温を上げる。その後一気に換気すると言う方法で、急激にVOCを下げる事が出来る。これをベークアウトと呼ぶ。
おまけとして、室内に観葉植物を置く。植物には気の毒だが、化学物質を吸って貯めてくれるのだそうだ。

意外な盲点として、家具の存在がある。建物自体には日本の法律の網がかかるが、外国で作られた家具(特に中国やアジアなどの)ホームセンター辺りで買うのには、注意が必要だ。木材やチップの圧縮した材料などは、モロに接着剤が問題になり、仕上げの塗料からもVOCが発散する。

もう一つ、住宅で注意しなければならないのは、寝室と押入。普段人の動きの多いリビングやキッチンは、風も動くが、就寝時には空気がたまる。押入の中も空気は動かない。おしゃれと思って、押入や収納にもクロスを貼るのは、健康被害を自分で招き入れているようなものだ。収納時に寝具に染みついたVOCを、就寝時に吸う事になる。
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シックスクール

2010-08-19 09:08:19 | 建築・都市・港
議員会館のシックハウスで、いま時になって迄、こんな問題が出るのかと、半ば呆れていたが、岩手県の奥州市のシックスクールは、もっと深刻のようだ。先日、河北新報の社説にこのシックスクールの問題が出ていた。法整備されて随分と経ち、建築業界では常識になっているのにと、読み流していたのだが、今日の記事では子供達への症状の出方が重症化しているのが見て取れた。この化学物質過敏症には個人差があるが、重症化すると日常の生活にも支障をきたす。車の排気ガス、化粧品、殺虫剤スプレーには勿論のこと、人によっては天然素材にさえ拒否反応が見られることもある。

奥州市の市役所の担当者、設計者に知識がなかったのか、当然補償問題も出てくるだろう。子供達の将来にも不安が残る。酒田の隣の鶴岡市では、積極的に校内へ木材使用を行っている。保育園などの児童福祉施設では内装制限があって、木材が使えないが、学校は文科省の縦割り行政の中、クロスなど使わなくても済むのに、どうした訳だろう。

以下、河北新報のニュースより-------------------------
★シックスクールの奥州・胆沢一小 体育館で分散授業

体育館を仕切って始まった奥州市胆沢一小の2学期の授業=18日
 校舎の改修工事が原因で児童19人がシックスクール症候群と診断された奥州市胆沢一小(児童418人)で18日、2学期が始まった。児童はこれまでの校舎ではなく、体育館や近隣の中学校、公民館など5カ所に分かれての授業を余儀なくされた。
 始業式は同小に隣接する小山公民館で行われ、渡辺唱光校長が「空気をきれいにする作業をしているため校舎は使えません。戸惑うところもあると思いますが、学習と生活に励んでください」と説明した。
 全14クラスは同小から半径約400メートル以内にある市施設に分散して授業を受けた。最も離れているのは渡辺記念館で、歩いて5分かかる。同小の体育館は高さ約2メートルの木製パネルで六つに仕切られ、3、5、6年生の6クラスが使用。大型の扇風機も置かれた。
 市教委によると、分散授業は、改修工事を終えた校舎の総揮発性有機化合物量(TVOC)が国の基準値(1立方メートル当たり400マイクログラム)の半分以下になるまで続けられる。
 市の「シックスクール対策会議」は発症者の治療費や通院の交通費など全額を市が負担する方針を決定。重症化した児童が自宅近くの農薬散布にも反応し、生活できなくなっているという苦情も報告され、市営住宅の提供も検討している。

河北新報の記事
コメント (2)
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