無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

田沢湖駅

2012-08-11 17:28:05 | 建築・都市・港


建築家 坂茂(ばんしげる)の設計による田沢湖駅舎である。秋田新幹線の開通に伴い、新築されたもので、完成当時にJIAの見学会と、板氏の講演会も同時に行われた。
第1印象の構造で驚いた。コンクリートの柱に木造の屋根が載っているように見えたのだが、構造設計の異端児のような板氏は、とんでもない事をここでも使用していた。



柱に見えたのはコンクリートの杭である。それを地面からキャンテ(片持梁)で独立して建て、鉄の梁ウエブのみでつないでいる。木造に見えるのは意匠の集成材で、屋根全体の鉄板がフランジなのである。

板氏は特異な構造設計の持ち主で、家庭用Fax用紙の芯が固い段ボールなのに気がつき、これで建物は造れないかと考え、紙の教会を設計した。同じく紙ではドイツの万博の時の日本館の設計で、この固い紙を用いた。ただ、ドイツでは紙の建物の許可は下りなくて、内部にPCのコンクリートを入れたようである。この紙の芯を用いて、仮設住宅を造る発想も豊かである。サイズの違う芯を重ねて入れることでいっぺんに運べ、運送のコストも低く抑えられるとする考えである。



これが15年も前の建物とは思えない新しさである。



建築を囓っている者には分かるのだが、低コストで見せ場を造るのに、舌を巻いた。



現在運行中の秋田新幹線こまちの車両に変わって、新しいE6系が登場する。色は違うが東北新幹線のはやぶさの車両に似ている。



2階に上る階段には、ハングル文字が描かれていた。「IRIS」アイリスか。そう言えば田沢湖もロケ地の一つだった。最初は海外ロケや爆破のシーンが凄くて、面白そうと見たが途中で飽きてしまったドラマだった。このドラマのお蔭で、田沢湖を含め秋田には大勢の韓国の旅行者がやってきたそうだ。2階のホールはそのパネル展が開かれているようだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

由利本荘市文化交流館カダーレ

2012-08-11 16:48:56 | 建築・都市・港


平成23年12月にオープンした由利本荘市の文化交流館カダーレに行った。設計は都市建築設計の 新居千秋氏、施工は戸田建設である。



外をぐるり回ってみても、平らな所が一つもない、そんな建物である。まだこの東側部分のサッシは矩形であるが、正面付近の連窓は何角形?と思える形の連続だった。鉄筋コンクリート造でせっかくの躯体を、外壁のGL鋼板が細かく張り付くように覆っていた。



逆に内部はコンクリートの打放しである。型枠材に角波鉄板を用いただろうと思われる仕上になっていた。天井は様々なパターンのメッシュで入り組んでいる。



まぁ、平面も四角な部分はない。立体の部分も、これでもかと様々な固まりが、頭上から覆い被さってくる。



階段もスロープも一様ではない。吹抜の上部には球形のプラネタリウムが聳えていた。



階段を使って登ってみる。残念ながらプラネタリウムは内部で研修が行われていたようで、入れなかった。素朴な普通のコンクリートの打放しと平らに仕上げられた壁にホッとする。



劇場ホールは基本色が赤で、側壁の吸音の為のゴテゴテの装飾も、ここでは気にならなかったが、施設全体を見るとやり過ぎ感が否めない。
頭の中で、予算をざっと弾いてみたが、由利本荘市は豊かな財政なのだろうと締め括った。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする