無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

光丘文庫(詳しい説明は後ほど)

2016-07-21 00:16:55 | 酒田

光丘文庫が7月31日で閉館になる。見学はその日まで。蔵書は中町情報プラザに移動するが、建物の使用は中止となる。原因は建物と地盤の耐震に問題があるのが白日になった。それもそうだろう。この日和山は、人工の山なのだから。

本間光丘が、農民の冬の失業対策の為に、米俵に砂を入れて運ばせ日和山を築く。一俵毎に賃金を払ったようである。酒田の町を防砂と防風で守る為なのだが、通常は殿様(酒井藩)が年貢でそのような対策を行うが、本間家は身銭を切って酒田の為に行った。「本間様にはおよびもせぬがせめてなりたや殿様に」と呼ばれる由縁でもある。

館長は、私達の為に、船石に水を流してくれた。この丸い石も取り囲む岩も、共に鳥海山から持ってきた石である。

実はこの流す水のせいで水道料が爆発的に跳ね上がり大問題になったとか。今日は私達の為に流してくれるのだそうだ。

この光丘文庫の近くで育った者にとって、ここは勉強するのに打って付けの場所だった。

貴賓室らしき部屋に誘導される。これは本間光丘氏の画ではないか。

昭和天皇が東宮の頃に座られた椅子。勿論、文化財である。ちなみに、この建物の中にある殆どの家具が、文化財指定されている。そこに、我々が普通に座る。いいのか!!

光丘文庫の青写真。

光丘文庫、建築中の写真。上棟式と出ているが、玄関の唐破風は出来ている。

図書室の中を通って、一般の人では行けない所へ進む。

一見、蔵のような造りになっており、現在では空調もはいり書籍の管理は万全である。

私は一度、総合文化センター内の図書館の立ち入り禁止区域の蔵書室に入った事があるが、ちょっとカビ臭かった。

ここは、防虫剤の匂いは少しするものの、空気は綺麗だ。本に大敵なのは虫と湿気らしい。

1階から3階まで、本の山である。しかも、とんでもない価値のある本がうなっているのだ。

ちなみに、この簡単に出来ている本棚も、実は文化財である。

これは背表紙のない和本。和紙に墨で書かれている。これを分類するには、本のタイトルを記した和紙を、本と本の間に差し込む。

印刷された物は、何とか読むことが出来そうだが、手描きの楷書でない物は、日本人でありながら読めないと言う不甲斐なさ。

この棚は、中国語で書かれた書物である。同じ物が中国に残っているのかは分からない。もしかすると無い可能性もある。

これも、中国の書物だ。

この箱は、200を超える掛け軸。

大きな掛け軸はこちら。

今回は私達の為に、昭和天皇陛下の御歌を侍従長が書き写された軸を飾っていただいた。素晴らしい!山形県の県民歌になっているアレである。見せない。←意地悪

第一の蔵庫を通り抜け、3階に出る。ここは一度訪れたことのある場所だ。

このダンボールには、私が耳で聞いただけ、幻の「伊藤家文書」が、ズラーッと並んでいた。こんなに多いのか。私は数冊だと思っていた。同じ伊藤家文書でも、保存されていた地域によって違いがあるとか。その他にも具体的に世の中を表した文書が数多く残っていると言う。それはプライバシーも何も無く、全て起きた出来事が綴られていると言う。

古文書が収納されている場所とは違い、室温も高い。それほど大事でも無い蔵書なのかと言うと、ヘレンケラー関連の点字の本がある。

日本で点字の本の制作の風潮が出来た10年も前に、この光丘文庫は建築された。その際、点字図書館の構想はあり、点字専用の図書室も設置された珍しい図書館だそうだ。

歴史もさることながら、光丘文庫で一番古い蔵書は何かととの問に、夢殿の「大般若経」があり、我々の為に飾ってくれたと言われて見ないわけにはいかない。

あまりに無造作に飾ってあり、ガラスケースの中ではあったが、盗まれたらどうするのの心配が先に立った。

その物の写真は撮ってきたが、載せない。←意地悪。

読めない。

現在朝の連続ドラマの「とと姉ちゃん」の暮らしの手帖の初版本

これは、大川周明がフランスで手に入れたナポレオンの人生だそうだ。

明治の酒田大地震を描いた物。この絵は建物の崩壊だが、他の絵はエグかった。

建物を見に行った筈が、怒濤の書籍に魂を奪われてしまった。光丘文庫の蔵書は半端な数ではない。しかも実に貴重な本がきちんと残されている。

「所蔵してある物ならば、いつでも市民に無料で見せますよ。」のスタンスで図書館側は市民に接している。しかし、なかなか想いは伝わらない。

私だって本は好きだが、人生100年を6回位かけて読んでも、読み切れない程の本の数だった。驚くほどだ。これは新しい図書館に引っ越ししても伝わらないだろうな。この蔵書の数々を、ガラス戸越しにでも、市民に伝えて欲しいと思った。全部の書籍の価値は、何でも鑑定団でも計算できない天文学的数値になると思う。何故、酒田にあるのだろうと不思議にも思った。酒田の人間は読書好きか、勉強好きなのだろう。好奇心が強いのは隠しようもない。

コメント
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