十数年ぶりに、全国女性建築士連絡協議会・奈良大会に参加する。日本海側のJRが不便になって以来、奈良に行くには山形空港から伊丹空港経由で奈良に向かうのが速い。寝坊してはならずと早めに山形空港へ着く。誰もいなかった。少し不安になる。
山形空港は、神町空港と呼ばれていた50年以上も昔に訪れた事がある。建物の記憶はない。「おいしい山形空港」を撮そうとカメラを取り出したら、シャッターが降りなかった。カードが入っていない。パソコンに着けたままだった。これがアクシデントの1回目。買おうと思ったが、空港の売店にもなく、伊丹でようやく手に入れる。
飛行機は4列の小さな機体だった。せっかく窓際の席をゲットするものの、雲の上を飛行するだけで何も見えない。密かに富士山が見えないかなと期待したが、ルートが新潟経由だった。綿飴のような雲を突き抜けると大阪の町が見えた。あれは大阪城ではあるまいか。
伊丹にはすんなりと降りた。羽田並みの大きさを想像していたが、さほど大きくはない。この伊丹空港と大阪国際空港の関わりを聞いていたので、複雑な気持ちになる。ただし、やはり街中の便利な足だと思う。
外は暑かった。リムジンバスで奈良へと向かう。時間にゆとりはなく、昼食はコンビニで買いバスの中で食べた。
奈良に近づくにつれ、家々の間にこんな建物が出現する。これは平城京跡だと思う。
近鉄奈良駅前でバスを降りる。会場の奈良女子大までは、徒歩で進む。素敵な小道を歩いたのだが、帰りも同じ道だと思い、撮して来なかった。帰りはタクシー移動だったのに。
奈良女子大は、108年前に創立された女性の教育者を育てる日本でも古い学校だそうだ。
その講堂が会場だった。
受付を済ませる。
前日に委員長代理で前乗りしていたHさんが、前の方の席を確保してくれていた。(この椅子は座っているのが辛かった。皆さんお尻が痛いと嘆いていた。)
連合会会長
開会式が始まった。
来賓の挨拶が始まる。
基調講演の岐阜大学名誉教授の渡辺先生のお話は面白かった。最初に舞台に現れた時、手塚治虫氏かと思った。講演は「日本の暮らし・豊かな生活文化の再発見」で、日本の住宅の段階的成長の中で、窓を開けない日本人が増えてきていること。畳の文化は消えてしまうのか、逆に海外で家の中は靴を脱ぎ、床に座る生活が広がっている。和室に学ぶべき知恵が詰まっていることが順を追って紹介された。
これからの住宅には、季節感を取り戻す必要があること、住宅に限らず食生活にも日本の複雑な季節感が必要であること。また水道、電気、ガスで激変した住宅の次は、必ず新たな進化の時代を迎えるであろうと3つの課題を挙げられた。
パネルディスカッションは同じく「日本の暮らし 豊かな生活文化の再発見」と題し、進められた。ここでもキーワードは「床」だった。洋式の部屋は家具があることで成り立つ。和室は多目的で使い方が固定されていない。曖昧さが魅力の一つでもある。
介護の面で、畳を無くしバリアフリーを進めてきたが、あえて畳の上での布団の生活は、個人の体力の向上に繋がる。椅子やベッドの生活は楽ではあるけれど、体力は落ちていくと湯川氏はリハビリの施設運営の上からの助言だった。
久しぶりの全建女だが、内容もレベルアップしている。コーディネータの女性委員長の無理矢理の采配に、受けて立つパネラーもさすがである。
次に、被災地からの現状報告として、岩手県(内陸地震)、宮城県(東日本大震災の津波)、福島県(放射能)、茨城県(水害)と熊本県(地震)の発表があった。熊本県を除いては準備の時間があったので、冊子になった報告書を見ながらの発表に耳を傾けたが、熊本県はそのゆとりが無く、それでも画像を示しながらの報告となった。
4名の発表者が自分の地区と応急判定、建築士が地震の被害者と向き合う様子が語られたが、建築士自身が被災していることと、今まで地震を体験した事がなかった為に、最初に何をしたら良いのか、まったく要領が掴めなかったことが話された。
ただ、東日本大震災を経験した福島県に、被害の様子などを視察し建築士会通しで意見交換を行っていた為に、救いの手を福島に求めた。すぐに福島は動き、ネットワークの重要性に気がついた。
連携が取れて、なんとか動くことが出来た。ただ、度重なる余震で、未だに車の中の生活をしている人もいる。応急判定の赤黄青のシールに、住民への説明がうまく伝わらない様子も見えた。
いつでも、どこでも災害はやってくることを、覚悟し準備することが必要だ。
さて、時間は押し気味だったが無事に終了し、タクシーに便乗して懇親会の会場、JR奈良駅近くのホテル日航奈良に向かう。今回の私達の宿泊先のホテルも近かったので、一度チェックインし、身軽になって出かけた。懇親会はすでに始まっていた。
男性達の懇親会とは違い、女性達はまず最初に食べるものがなくなる。手分けして料理をかき集め、テーブルをゲットする。
まずは腹ごしらえである。
せんとくんが現れる。
くまモン募金箱を抱えた委員長も現れる。
今回の準備をしてくれた近畿ブロックの会員達。拍手!!
お開きの後、お腹はいっぱいだが、時間が早い。よし2次会に行こうと歩き出した。
駅前の贔屓屋と言う居酒屋に入る。
杉の香りがした。
上も下も表面張力している「もっきり」にどっきり。こうして1日目は更けていった。