台風一過とは良く言ったもので、荒れ狂っていた風がおさまると、信じられないような天気が戻ってきた。
戻ってきたと言えば、10月の始めに冠雪を見た鳥海山も、雪が消えて紅葉の山になっていたのが、この台風で冬山に戻った。雪のある鳥海山は、少し標高が伸びたような凜とした美しさにドキッとする。
風に飛ばされた落ち葉は、吹き溜まりに集まって掃除が大変だ。猫たちは一番居心地の良い場所を専用している。暴風雨の中を逃げ切れる猫たちとは違って、鳥たちは大変だったろうなと思う。
仏壇の前に随分と長く飾っていたリンゴは、表面がワックスを塗ったようにヌルヌルになったと言って、久しぶりに椿の枝に丸ごと突き刺しておいた。いつもは雪が降って餌が無くなってから準備するので、もしかしたら鳥たちは気がつかないのではと危惧した。なんの事はない。楽しそうな鳴き声が椿の鬱蒼とした茂みの中から聞こえて来た。ヒヨドリの声であった。