酒田は、元旦に雪の薄化粧をしたがじきに溶けて、穏やかな正月になった。
3日になって、羽黒山に向かう。田んぼの中を走って行くと、山間には灰色の雲と降雪の筋がかかっていた。
羽黒の大鳥居を潜った辺りから、雨は雪に変わり、羽黒の手向(とうげ・宿坊が並ぶ門前町)のY字路を右に上ると、圧雪とも言える冬景色に変わる。
藤島で前方を走っていたバンが、予想通りに同じ方向を目指している。この雪だと追い越しするのはもっての外と、ゆっくりと進むのだが、私の車はカーブで後のタイヤが滑った。長い秋のお陰で、未だに2WDなのだ。停まって4WDに切り返したくも、後ろにも車がつかえているので、ままならない。有料道路に入る前に左側に寄せて、ギヤを切り替えた。この間、私の車を3台が追い越して行った。
有料道路をなおも進んで行くと、渋滞が始まった。工事をしているとか除雪でとかも感じられず、首を伸ばして停車している車を見てると、2台後ろの車がそれを追い越した。どうやら雪に填まった状態のようだ。順繰りに追い越せば良いのに、判断が出来ない車が多かったのだろう、列の途中から車線を変える者が出たので、私もそれに習った。先ほど私を追い越した3台は、私の後ろにいた。まるで箱根駅伝のようじゃないか。
停車した原因は、雪の轍に低い車高で車体が支えたようだ。雪や山道では、お洒落な車は走りづらい。
頂上の駐車場が満杯だと言われて、スキー場の駐車場からバスでピストン輸送された。それはそれで面白い。
ワンマンバスの運転手さんは、実に親切だった。
雪は、例年以下も以下で、驚く程少なかった。それでも新雪は屋根を滑り落ちる。
鏡池の周りは、新しく整備されていた。
本殿に無事にお参りを済ませ、新しい御札を頂いて、千佛堂に向かう。
同じ境内にある羽黒山歴史博物館に安置されていた頃には、有料でしか仏像を観ることが出来なかったが、ここでは無料で拝観出来る。
仏像は平安時代からの物や、あきらかに渡来物の容貌の仏様が観られる。
ついでにと言ってはなんだが、ここに来たら是非に天井の龍の絵も観て欲しい。この天井画も泰太朗の千佛閣の天井に設置してあった物だ。
よく壊さずに運ぶ事が出来たなと感心するが、この絵は明治になって千佛閣が出来てから、曾祖父が画師に描かせた物だ。
なので、羽黒山由来ではない。ただ持ち主の佐藤完司氏の好意に因る物と思う。
ただし、仏像は撮影禁止である。千佛堂建立の経過が書かれているのだが、あらら祖父の名前が間違っているわ。
小川安之助だって!ぷぷぷ。知っている筈の誰もが注意しなかったとみえる。
広場では、大晦日から元旦に行われた松例祭の片付けの真っ最中だった。