庄内空港が出来て何年経っただろう。
私もすっかりオトナになって、乗るつもりなら何時でも乗れる飛行機だが、子供の頃の方が、より身近に感じたものだった。
街に新しい店が出来ると、ちんどん屋が鳴り物入りでやってきて、大人も子供も群がり大賑わいだった。
ちょっと大きな店の開店では、小型の飛行機で、空中から宣伝ビラをばらまいた。
子供達には、何の価値もないのに、そのビラを誰よりも多く拾わなければと競争した。
飛行機の爆音は戦闘開始に聞こえたし、学校から帰ると暗くなるまで集団で遊ぶ子供達は、ビラ撒きには絶好のターゲットだったろう。
ある日を境に、ビラを撒く飛行機は消え、ちんどん屋もいなくなった。
それはそれで、つまらない。昭和はどんどん遠くなる。