平成6年11月頃、広報の新年号にむけて、若手の市民と酒田市長の座談会が特集で組まれた。どう言う訳か、私もそのメンバーの1人だった。座談会の内容は、事前に今までの酒田に足りない物、これからの酒田に望む物と言った事が知らされていた。
何せ、10年以上も前の話なので、記憶は定かではないが、他のメンバーは、自分の分野から適切に望む事を話題にしていた。建築の立場で呼ばれたであろう私は、建築や街づくりの観点から、様々な事を考えていた。欲しい物は沢山ある。都会並みに、色々な施設が欲しいのは、どこの町でも同じだ。取り分け酒田に足りない物と考えた時、ある考えが頭をよぎった。
戦後、日本は外部からの攻撃は受けていない。でもその頃、中東や東ヨーロッパでは、各地で民族紛争や宗教戦争が起きていた。その様子を見てきた人が言うには、日本人は平和ボケをしているが、いつ何時、戦争に巻き込まれるか判らないから、心の準備だけはしておく必要があると促した。身近な危険として何があるだろうと考えた時、北朝鮮が浮かんだ。
私は、座談会でこう言った。「酒田が独自路線で考えなければならないのは、防災だ。」私の記憶の中には、酒田大火がある。台風なみの低気圧が到来した日に、繁華街の1軒の映画館からの出火が元で、中心街の大半を失った。暴風の為、消火技術に優れていると言われていた消防署も、なすすべが無かった。風下から放水しても水が風に煽られて届かない。アーケードが煙突の役割をした事、大きな火柱が竜巻のように酒田の町を覆っていた事が思い出される。
また、巷の噂に、旧ソビエトの核物質が、いとも簡単に喫茶店などを舞台に、売買されていたのを聞いていた。第3国に核物質が散らばって、テロ組織に安易に渡る事も考えられ、インターネットで調べると、高校生でも爆弾が製作可能な世の中が来ている事を知っていた。
だから、あえて防災の話をした。「北朝鮮でも核を持っていると言われているし、戦争になっても、核シェルターとまでは行かないが、ある程度の防災の施設が町の中に必要だ。」と言った時、市長を始め、広報の人も報道関係者も、揃って鼻で笑った。
それから2ヶ月も経たない内に、阪神淡路大震災が起こった。市長は態度を変えて、「災害を受けた先輩として、阪神に簡易のトイレを沢山送ろうと思う。」と私に話かけて来た。ろくでもない予想が当たるのは嬉しくはない。だから、北朝鮮が核兵器を開発するだろう事は、実現して欲しくなかった。
核実験が最後の切り札だと、人は言う。私には最後の・・だとは思わない。世界の常識を知らず、自分の倫理だけで国を動かしている独裁者が、こんなに「みんなが怖がるおもちゃ」を手に入れた時、どうなるのか。自国の国民がどんなに飢えようと顧みない独裁者が、自分の体制だけ維持されれば良いと思っている人間が、面白い物を手に入れたらどうなるか。
暴発しないと、誰が保証できると言うのか。
何せ、10年以上も前の話なので、記憶は定かではないが、他のメンバーは、自分の分野から適切に望む事を話題にしていた。建築の立場で呼ばれたであろう私は、建築や街づくりの観点から、様々な事を考えていた。欲しい物は沢山ある。都会並みに、色々な施設が欲しいのは、どこの町でも同じだ。取り分け酒田に足りない物と考えた時、ある考えが頭をよぎった。
戦後、日本は外部からの攻撃は受けていない。でもその頃、中東や東ヨーロッパでは、各地で民族紛争や宗教戦争が起きていた。その様子を見てきた人が言うには、日本人は平和ボケをしているが、いつ何時、戦争に巻き込まれるか判らないから、心の準備だけはしておく必要があると促した。身近な危険として何があるだろうと考えた時、北朝鮮が浮かんだ。
私は、座談会でこう言った。「酒田が独自路線で考えなければならないのは、防災だ。」私の記憶の中には、酒田大火がある。台風なみの低気圧が到来した日に、繁華街の1軒の映画館からの出火が元で、中心街の大半を失った。暴風の為、消火技術に優れていると言われていた消防署も、なすすべが無かった。風下から放水しても水が風に煽られて届かない。アーケードが煙突の役割をした事、大きな火柱が竜巻のように酒田の町を覆っていた事が思い出される。
また、巷の噂に、旧ソビエトの核物質が、いとも簡単に喫茶店などを舞台に、売買されていたのを聞いていた。第3国に核物質が散らばって、テロ組織に安易に渡る事も考えられ、インターネットで調べると、高校生でも爆弾が製作可能な世の中が来ている事を知っていた。
だから、あえて防災の話をした。「北朝鮮でも核を持っていると言われているし、戦争になっても、核シェルターとまでは行かないが、ある程度の防災の施設が町の中に必要だ。」と言った時、市長を始め、広報の人も報道関係者も、揃って鼻で笑った。
それから2ヶ月も経たない内に、阪神淡路大震災が起こった。市長は態度を変えて、「災害を受けた先輩として、阪神に簡易のトイレを沢山送ろうと思う。」と私に話かけて来た。ろくでもない予想が当たるのは嬉しくはない。だから、北朝鮮が核兵器を開発するだろう事は、実現して欲しくなかった。
核実験が最後の切り札だと、人は言う。私には最後の・・だとは思わない。世界の常識を知らず、自分の倫理だけで国を動かしている独裁者が、こんなに「みんなが怖がるおもちゃ」を手に入れた時、どうなるのか。自国の国民がどんなに飢えようと顧みない独裁者が、自分の体制だけ維持されれば良いと思っている人間が、面白い物を手に入れたらどうなるか。
暴発しないと、誰が保証できると言うのか。