酒田美術館で、7月21日まで「山下清展」が開催されている。先週の日曜日の午後、4時頃にもなって急に観に行く事にした。
数年来、私は美術館の年間会員になっていたが、なかなか行く機会がなく、忙しいのと観たい作品展がないのが原因だが、本当に会員になっての値があるのかと考え、受付で年間の催しを聞いてみた。特別に触手を動かす物もなかった為、今回は単独で入場券を買う事にした。まぁ、いつでも復活できる。地元で素晴らしい作品群に巡り会えるのは、これに勝る物はない。東京での美術館巡りは、良い物に出会う代わりに、沢山の人混みに付き合わされる事に疲れる歳にもなっている。
さて、山下清展だが、実は数十年前に酒田市の清水屋デパートで観たのが初めてである。下絵の全てが頭の中にあり、画用紙にペタペタと貼って仕上げていくのかと想像していたが、きちんと細かく下絵は鉛筆書きになっていた。それでも緻密に仕上げてある作品は素晴らしかった。その時期でさえ、作品の材料が折り紙なので、色の焼けや抜け具合が心配されていた。完成した当時の色はないと言われていたのである。
今回展示してある数点は、その色の補正を行ったようである。しかし初期の物やあきらかに元の色が想像出来ない物が多かった。全体がセピア色に変わり、それはそれでも良いのだが、本来の作者の意図した物ではなくなってしまったように見えた。色が復元された物が良いのか、変色した物が本物なのか、それは観る個人の姿勢にも寄るのだろうが、早く観た方が良いのだろうと感じずにはいられなかった。それに引き替え油彩画の見事な事!この油彩画の大半は、ヨーロッパを描いた物だった。そのほかには、ペン画も素敵である。