12月9日は、大黒様のお歳夜である。なんでも大黒様が結婚した日だとか。
我が家の床の間には大黒様の掛け軸と、間近に迫った山の神様の為の掛け軸(聖徳太子)が掛けられている。
聖徳太子は、大工の神様だからだ。
大黒様のお歳夜の行事があるのは山形県でも庄内地方だけなのかと思う。
この行事では、大黒様にまっか大根と豆づくしのお膳を供える。
まっか大根は根が分かれた大根の事で、お腹を痛めた大黒様が川で大根を洗っていた女性に大根を所望すると、
旦那様が大根の本数を把握しているので上げられない。
ならば、まっか大根ならと一部を折って渡してくれ、腹痛が治まったとの話から飾られている。
我が家では、大黒様のお歳夜には別の話もある。
父が大工の弟子で祖父(佐藤泰太朗)の家で修業をしていた。信心深い祖父は大黒様のお歳夜を欠かさなかった。
その日、父は教えられたと言う。お歳夜には12種類の豆を供える。足りない時には手と足を見よ。手豆と足豆があるだろう。それを加えなさい。
大黒様の頭巾を知っているか、目の前に覆い被さっているだろう、あれは上見て暮らすな下見て暮らせと言う事だ。
その翌朝、祖父は布団の中で静かに往生をとげていた。
父はお歳夜で聞いたことがずっと心に残っていたそうだ。
ハタハタの田楽、焼き豆腐、大根のなます、豆のごはん、納豆汁。
これをお膳に並べる。
今年は、ハタハタが不漁で、1匹が千円を超えたと聞いた。
何がなくとも、大黒様のお歳夜にはハタハタが付き物だ。代わりの魚とはいかない。
昔はハタハタは大量に獲れた。一般の家庭でも1匹2匹ではなく、箱買いをした。
秋田を中心にして、海が変わった。磯焼けなど様々条件がハタハタを不漁にさせた。
一時はハタハタもブリコ(ハタハタの卵)も、数年間に渡り漁が禁止になった。
まだまだ昔のようには、ハタハタは戻ってこない。