我が家の味噌は、長いこと母の実家で作って貰っていた。
沢山の大豆を前の晩から水に浸けておいて、外に大釜を用意し、茹でて潰して、塩と麹を入れて混ぜ合わせ、桶に入れて保存する。
出来上がって3年目の味噌を我が家に持ち帰り、1年かけて消費した。
保存料も入っていないので白カビは生えるのだが、表面に木綿のサラシを敷き詰めた為に、白カビは味噌の中には入って来なかった。
母の実家の叔父と叔母が、歳をとり重労働が辛いと味噌作りは終わりになった。
味噌は家庭の味の中心である。今まで使っていた物がなくなる。
少しでもその味に近いものをと買い求めて、これが一番近いかなと決めたのが同じ町内にある市原さんの味噌だった。
この味噌になってからも数十年。私の両親も、実家の叔父さん夫婦も、すでに鬼籍に入った。
我が家の味は続くのかな。作ってみようかと、頭の隅に少しだけ思わぬ事もないが、昔のあの大釜の多量の大豆がそれを打ち消すのである。
そうそう食べ物ついでに、あのマンゴーは残念ながら食べるところが無いほど茶色に腐っていた。
今度は、青くたって固くったって、早いうちに食べてやる。