大昔の、西武デパートの広告ですね、これでは(笑/正確には、「ほしいものが、ほしいわ」でしたが)。
子供心に、凄くインパクトがありました。
ほしい、と思っているものがほしい。それは当然。当然なのに、何だか…。
心がざわつくんです。
似たような衝撃を受けたあおり文句としては、「何もかも、あなたの自由だ。」(by『ルナティックドーン』)もあります。
何だか分からないけど、凄く羨ましかった。いや、羨ましいを通り越して、妬ましいくらい。
…パーソナリティ障害というのは、どうもうまく自己を確立できない、阻害されている、らしいです。本からの受け売りですが。己を肯定されていないから、自信をもってことにあたれない。親から与えられた「作られた自分」と「本来の自分」の間で葛藤している、という状態。
本来なら、思春期の頃に、反抗期という形で何とかするものらしいですが、反抗期をもてない場合、パーソナリティ障害を起こす、らしい。…びりびり当たってます(苦笑)。
最近、やっと、ものを自分で選択する、ということを楽しめるようになってきました。
今までは、自分が気に入っても「周りからどう見られるか」(親兄弟含む)が気になって、買えなかったのですが…。
昭和の頃、バレリーナオルゴール、というものがありました。宝石箱のかたちをしていて、ふたを開けると、バレリーナ人形が入っていて、それを赤い動く模様のついた台に載せると、曲が鳴っている間、くるくるまわって踊る、というもので、箱の模様や大きさなど、いろいろあったのですが、私の欲しかったのは、赤くてプラスチックの模造宝石のついたもの。あれが欲しかった。
でも、買って貰えませんでした。「プラスチックのなんて子供っぽいorつまらない、どうせならもっといいものにしなさい」と言われて。
もっといいもの、というのは大人になっても使える、木製のもの、という意味ですが、そちらなら私が欲しがらない、というのを見越して言ってるんですよね。当然、どちらも買って貰えませんでした。
お小遣いを貯めて買う、という選択肢も、今ならあったと思うんですが…うちでは、お小遣いは、使わずに貯めておくことがいいこと、だったのですよ。使って許されるのは、本くらい。人形の服を買って、「そんなの買ったの」と言われたことがあります(だから、お金の使い方を教える、なんてことはありませんでした)。貯まったら、親が銀行か郵便局に貯金して、で、適宜親が学費として使ってました。後で返す、って言っていたけど、返してもらったことはないです。「お前のため(学費)なんだから、いいだろう」って。不満だけど、そんなこと言ったら怒られるので、うなずくしかありませんでした。なので、お小遣いで買う、という選択肢は思い付かなかったです。…書くと、自分って馬鹿だなぁ、と思いますが、あのころ、お小遣いを貯めると、親に褒められたんです。だから、それが嬉しくて、使う、という発想がなかったんですよ。…ほんと、何だかなぁ、と、我ながら思いますが。
今はもうないよね、と思って諦めていたら、今やネットオークションや古道具屋さんで結構手に入るらしい!と知ってびっくり。
何で気付かなかったんだろう。
それなら、欲しい!と思って検索したら、偶然、出会いました。
あのころ、欲しい、と思っていた小ぶりのサイズ(親には、こんな小さいのつまらない、といわれていました)。模造宝石のついた、赤いオルゴール。バレリーナもちゃんとついていて、おまけに、曲はあのころ欲しかった、「エリーゼのために」!
即買いです。すぐ注文。
届いたオルゴールは、年数の割に綺麗で、ちゃんと鳴って、バレリーナもちゃんと踊ってくれました。
嬉しいです。
そしてもうひとつ。今までは、気に入ったものを買っても「そんなつまらないもの」「何でこんなの買ったの」「あっちの方がもっとよかったのに」という、母や姉の声が自然と自分の中で再生されていたのですが、いつのまにか、それがなかったことです。
なので、二倍嬉しい。