つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

蝉俳句

2024-07-24 04:58:32 | 俳句
梅雨明けと同時に、蝉が一斉に
鳴き始めた。

梅雨時のひっそりとした鳴きは
何処へやら、今日も目が覚めた
朝5時にはワシワシとクマゼミ
の大合唱が始まっていた。

かなりうるさいのだが、蝉の声は
大好きなので、大いに鳴いてくれ
と、エールを送っている。

俳句を始めてから、結構蝉を
詠んだ句を作っているかと
思うので、思い出しつつ…。

「月光の 届きて蒼き 羽化の蝉」
              issei
東京にいた頃、夜の散歩をしている時に
近所の家の垣根で、羽化中の蝉を見た。

背中が割れて、青白い蝉の姿が出てくるのを
2時間ほども見ていた事がある。

翌朝、同じ場所に行ってみると、あの
青白かった蝉がすっかり油蝉の焦茶に
なっていたので、驚きつつまじまじと
見入ってしまった。

これは、四国への社員旅行の鳴門海峡で
遭遇した、スケールの大きい蝉しぐれ。

「海峡を 渦潮みんみん 鳴き合える」
                 issei
「恋蝉の 真夜の一山 眠らせず」
              issei
何年前だったか、忘れてしまったけれど、
深夜0時頃の熱帯夜に、クマゼミが
長々と鳴いていて、驚いた覚えがある。

「あおむける うつむせる地の 蝉しぐれ」
                  issei
盛期を誇った蝉たちも、ポトリ、ポトリと
地に落ちて、落ちゼミとなっていく晩夏、
これをみた時、ああ蝉しぐれが落ちて
いくんだなあ…と、しみじみ…。

同じく落ちゼミの句で、池のほとりを
眺めていたら、蝉が池に落ちてきた。

まだ落ちたばかりで、命の灯火が
消えきっていず、しきりに羽ばたこうと
翅を動かしていた。

「羽搏きて 水輪水輪の 蝉の声」

大好きな蝉たちにエールを送る
今日の一句

蝉の四肢 空掻きて聴く レクイエム
                 issei




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ニイニイゼミ

2023-08-04 04:06:22 | 俳句
蝉の声真っ盛りの今日この頃…。

この地方では、クマゼミを中心に
アブラゼミ、ニイニイゼミなどが
蝉しぐれを形成している。


秋口になってくると、ツクツクボウシ
が鳴き始め、やがてツクツクボウシ
一色になってしまう。

この地方では、ミンミンゼミや
ヒグラシの声はほとんど聴かない。

東京で暮らしていた時は、クマゼミ
の声はほとんど聴かなくて、ミンミンゼミ
を中心に、アブラゼミ等で蝉しぐれを
形成していた。

先日の昼過ぎに、出掛ける用事があって
外に出たら、久々にニイニイゼミの
声を聴いた。

クマゼミは午前中だけ鳴いて、午後は
ほぼ鳴かないので、聴こえたのだ。

ニイニイゼミは小さなセミで、色合いも
地味なので、鳴いていても、滅多に
姿を見ることは無い。

鳴き声も、「ジー………」と低く一本調子
なので、耳鳴りに例えられたりするのだ。

しかし久しぶりに聴いたので、懐かしさと
そこはかとない音量に、しばし足を止めて
聴き入ってしまった。

今日の一句

木を鳴かす ニイニイゼミの 何処にいる
                   issei
 

以前、四国の旅でこんな光景にも…。

海峡を 渦潮みんみん 鳴きあえる
                issei
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白き闇

2023-06-29 06:41:27 | 俳句
今朝、カミナリの音を賜って目が覚めた。

続いて、ピカピカッとものすごい稲光りが
寝室を貫いた。

隣に寝ていた身内も、飛び起きて声を
出して怖がっている。

とっさに思い出した我が拙句がある。

まさに今日の一句

雷光の 閨に差し入る 白き闇
              issei
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入院俳句・めまい

2023-04-09 05:29:23 | 俳句
2015年に、起きがけのめまいで、
9日間も入院していたことがある。

病室で、その時の様子などを
俳句手帳にしたためていた。

そのときの様子を、このブログに
書いたのだが、事の顛末は書かれて
あっても、その後入院しているときに
作った俳句が、いくら探しても
見つからなかったのだ。

一応、記録みたいなものなので、
もう一度確認したかったのである。

そんな時、その時の手帳が出てきた。

・朝寝覚め天井回る我回る

目が覚めて、何だかめまいを感じ
たので、もう一度寝直したのだが、
起きたらこのような感じだったのだ。

・立てずして座して眠りてかげろえる
・体軸の失せて掴みし春の塵
・ほふくして便座抱えし春の闇

大めまいと吐き気で、とても立ち歩き
出来る状態ではなく、這ってトイレに
行くのがやっとだった。

ひとしきり嘔吐して、もはや固形物は
無くなり、気づいた身内に水を持って
きてもらって飲んだ。

・春水を飲んでも嘔吐とめどなく
・タンポポを便器に咲かす空嘔吐
・おろおろと人知の果ての春の闇

やがて、身内が救急車を呼んだ。

・サイレンの響き近付く夜半の春
・救急車乗るに過ぎりし朧月

めまいの渦の中で、死への恐怖が高まり、
まだやることが…との思いが脳裏を巡った。

・春星に幾度祈る今はまだ

やがて救急車で大学病院へ運ばれた。

大学病院だったので、直ぐに脳の
CTスキャンも撮ってくれ、異常が
無いと分かると、耳鼻科への搬入が
決まった。

・即刻の入院告知春疾風

6人部屋の雑居棟に運ばれた。

・カーテンの仕切り一枚春灯
・点滴と後は祈りと春の夢
・朝寝覚め六人部屋の人いきれ
・どうしてと呟く窓を春の風
・たんぽぽの絮ほどの幸おもゆ吸う
・おもゆよりお粥に変わり赤まんま

最初は吐き気でおもゆでさえ戻し
そうになったが、吐き気止めの
処方を受けたら、嘘のように
吐き気が収まり、食欲も出てきた。

・不快失せ夕食に出し蜆汁
・春夕焼噛みしめて食う普通食

この時ほど普通という事の
幸せを感じたことは無かった。

・医師の指追う目の揺れて春揺れて

医師に眼振してますねと言われた
のだが、眼振とは瞳が勝手に上下に
揺れている状態の事で、自分でも
鏡で確認できたのだ。

・眼振を瞑りて見るや春の夢
・朝寝覚めリストバンドのフルネーム

病院という塀の中に入ったんだな、と
しみじみ…。

・初蝶となって新人ナース舞来たる
・挨拶のナースの笑みの春めける

この大学病院では看護学校も
併設しており、多くの見習い
看護士が挨拶にやってきた。

・蜂となり新人ナース針を刺す

ただ、注射はさすがに苦労するようで、
大いに針跡を増やして頂いたw

・針跡を春オリオンとかざし見る

・医師よりの病名告知春時雨

耳の前庭神経炎という病名で、
何らかの原因で炎症を起こして
いるとの事。

・点滴のしずく遅日の時刻む
・春水となって点滴四肢に満つ
・春眠の一寝ニ寝と治癒の旅

やがて、院内を歩いてトイレなどに
行けるようになった。

・連れ歩く点滴・己が春日影
・ゆらゆらと歩く病廊春霞
・春塵を踏んで体軸戻りくる

徐々に揺れ具合も小さくなり
つつあったが、まだまだ結構な
ふらつきが残っていた。

・春めきて、何はともあれ筆と紙
・絵を描くも我のリハビリ春の色

院内の売店で買った手帳に、絵と
俳句を書き始めた。



絵は主に、看護士さん達の似顔絵を
気づかれないように描いていた。

・絵も揺れて一句も揺れる目借時

しかし後で、掃除のおばさんに気づかれ、
看護士さんにも知れ渡り、何枚か本人に
所望され、進呈とあいなったw

・看護士の指差し咲かす初桜
・眼振の揺れ消えて会う初桜
・病棟の三食昼寝朝寝付き
・点滴のずれてシーツの落椿
・身を持って一寸先の春の闇

ついに点滴の管が外され、大手を振って
院内の廊下を歩いたのだった。

・大手振る針跡に滲む春の風
・面会のだーれも来ないつくしんぼ
・春夕焼け最後の最後に残るもの

やがて、めまいもほろ酔いほどになり、
9日の入院が終わり、退院の日が
やって来た。

雨男だからどうせ雨だろうな、と
思っていたが、

・退院の祝い春雷賜れり

春雷の祝砲一発だけで、雨は降ら
なかったw

・春の土踏んで地軸を確かめり
・予後に踏む一歩一歩に春の土

やったー娑婆だあー!

と心で叫んだのだった。


コメント (4)
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富士のぬりかべ

2023-01-13 03:19:14 | 俳句
冠雪の 嶺垣間見ゆ 赤信号
             issei
買い物に、ちょっと足を伸ばして、
車で20分程行ったところに、安くて
美味い魚が売っているスーパーが
ある。

刺身が食べたくなると、必ず買いに行く
ようにしている。

この間久々にそのスーパーに
向かったが、途中ちょっと下り坂になった
ところの信号が赤になって止まった。

すると、はるか遠くにクッキリと
冠雪した山の嶺が見えるではないか、
それは数年前に噴火して多数の
犠牲者を出した御嶽山(おんたけさん)
である。

御嶽山は、この坂の所からしか見えず、
ちょっと曇ってもたちまち見えなく
なるし、昨年見た時は冠雪して
いなかったのだ。

最初に見た時は、富士山と間違えた
ほどの高さと美しさを感じたもの
だが、あの噴火の時は、ここからでも
モクモクと噴煙が上がるのが見えて
いた。

それが、しばらく続いていたが、この
ところ全く噴煙らしきものは見えなく
なっていたのである。

冠雪の御嶽山は、何事もなかったかのように、
クッキリと、白い稜線を青空に引いていた。

車には携帯を持ち込まないように
しているので、あいにく写真が
撮れないのが残念なのだが、

束の間の、信号待ちタイムの遠眼差しを
味わっていると、信号が青になって、
坂が登りになって又見えなくなった。

オマケに箱形のトラックの割り込みを
食って、目の前を完全に塞がれてしまった
ではないか。

それは、まるで妖怪ぬりかべのようで
ある。

クソ!御嶽山はどこ行った?雪の頂きは
どこ行った?

首を左右に伸ばしても、見えるのは
大きな四角のトラックぬりかべw

オマケに、後ろ扉に富士山の絵の
デザインがされてあって、又
この絵が描き殴ったような陳腐な
シロモノだったのだ。

しばしこの陳腐富士山と睨めっこしつつの
ドライブとあいなってしまったのである。

富士ぬりかべ!そこどいてくれい‼︎
胸の内の声なき声が叫んだのだったw
今日の一句

寒々と トラックの背の 視野塞ぐ
              issei い
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