2015年に、起きがけのめまいで、
9日間も入院していたことがある。
病室で、その時の様子などを
俳句手帳にしたためていた。
そのときの様子を、このブログに
書いたのだが、事の顛末は書かれて
あっても、その後入院しているときに
作った俳句が、いくら探しても
見つからなかったのだ。
一応、記録みたいなものなので、
もう一度確認したかったのである。
そんな時、その時の手帳が出てきた。
・朝寝覚め天井回る我回る
目が覚めて、何だかめまいを感じ
たので、もう一度寝直したのだが、
起きたらこのような感じだったのだ。
・立てずして座して眠りてかげろえる
・体軸の失せて掴みし春の塵
・ほふくして便座抱えし春の闇
大めまいと吐き気で、とても立ち歩き
出来る状態ではなく、這ってトイレに
行くのがやっとだった。
ひとしきり嘔吐して、もはや固形物は
無くなり、気づいた身内に水を持って
きてもらって飲んだ。
・春水を飲んでも嘔吐とめどなく
・タンポポを便器に咲かす空嘔吐
・おろおろと人知の果ての春の闇
やがて、身内が救急車を呼んだ。
・サイレンの響き近付く夜半の春
・救急車乗るに過ぎりし朧月
めまいの渦の中で、死への恐怖が高まり、
まだやることが…との思いが脳裏を巡った。
・春星に幾度祈る今はまだ
やがて救急車で大学病院へ運ばれた。
大学病院だったので、直ぐに脳の
CTスキャンも撮ってくれ、異常が
無いと分かると、耳鼻科への搬入が
決まった。
・即刻の入院告知春疾風
6人部屋の雑居棟に運ばれた。
・カーテンの仕切り一枚春灯
・点滴と後は祈りと春の夢
・朝寝覚め六人部屋の人いきれ
・どうしてと呟く窓を春の風
・たんぽぽの絮ほどの幸おもゆ吸う
・おもゆよりお粥に変わり赤まんま
最初は吐き気でおもゆでさえ戻し
そうになったが、吐き気止めの
処方を受けたら、嘘のように
吐き気が収まり、食欲も出てきた。
・不快失せ夕食に出し蜆汁
・春夕焼噛みしめて食う普通食
この時ほど普通という事の
幸せを感じたことは無かった。
・医師の指追う目の揺れて春揺れて
医師に眼振してますねと言われた
のだが、眼振とは瞳が勝手に上下に
揺れている状態の事で、自分でも
鏡で確認できたのだ。
・眼振を瞑りて見るや春の夢
・朝寝覚めリストバンドのフルネーム
病院という塀の中に入ったんだな、と
しみじみ…。
・初蝶となって新人ナース舞来たる
・挨拶のナースの笑みの春めける
この大学病院では看護学校も
併設しており、多くの見習い
看護士が挨拶にやってきた。
・蜂となり新人ナース針を刺す
ただ、注射はさすがに苦労するようで、
大いに針跡を増やして頂いたw
・針跡を春オリオンとかざし見る
・医師よりの病名告知春時雨
耳の前庭神経炎という病名で、
何らかの原因で炎症を起こして
いるとの事。
・点滴のしずく遅日の時刻む
・春水となって点滴四肢に満つ
・春眠の一寝ニ寝と治癒の旅
やがて、院内を歩いてトイレなどに
行けるようになった。
・連れ歩く点滴・己が春日影
・ゆらゆらと歩く病廊春霞
・春塵を踏んで体軸戻りくる
徐々に揺れ具合も小さくなり
つつあったが、まだまだ結構な
ふらつきが残っていた。
・春めきて、何はともあれ筆と紙
・絵を描くも我のリハビリ春の色
院内の売店で買った手帳に、絵と
俳句を書き始めた。
絵は主に、看護士さん達の似顔絵を
気づかれないように描いていた。
・絵も揺れて一句も揺れる目借時
しかし後で、掃除のおばさんに気づかれ、
看護士さんにも知れ渡り、何枚か本人に
所望され、進呈とあいなったw
・看護士の指差し咲かす初桜
・眼振の揺れ消えて会う初桜
・病棟の三食昼寝朝寝付き
・点滴のずれてシーツの落椿
・身を持って一寸先の春の闇
ついに点滴の管が外され、大手を振って
院内の廊下を歩いたのだった。
・大手振る針跡に滲む春の風
・面会のだーれも来ないつくしんぼ
・春夕焼け最後の最後に残るもの
やがて、めまいもほろ酔いほどになり、
9日の入院が終わり、退院の日が
やって来た。
雨男だからどうせ雨だろうな、と
思っていたが、
・退院の祝い春雷賜れり
春雷の祝砲一発だけで、雨は降ら
なかったw
・春の土踏んで地軸を確かめり
・予後に踏む一歩一歩に春の土
やったー娑婆だあー!
と心で叫んだのだった。
9日間も入院していたことがある。
病室で、その時の様子などを
俳句手帳にしたためていた。
そのときの様子を、このブログに
書いたのだが、事の顛末は書かれて
あっても、その後入院しているときに
作った俳句が、いくら探しても
見つからなかったのだ。
一応、記録みたいなものなので、
もう一度確認したかったのである。
そんな時、その時の手帳が出てきた。
・朝寝覚め天井回る我回る
目が覚めて、何だかめまいを感じ
たので、もう一度寝直したのだが、
起きたらこのような感じだったのだ。
・立てずして座して眠りてかげろえる
・体軸の失せて掴みし春の塵
・ほふくして便座抱えし春の闇
大めまいと吐き気で、とても立ち歩き
出来る状態ではなく、這ってトイレに
行くのがやっとだった。
ひとしきり嘔吐して、もはや固形物は
無くなり、気づいた身内に水を持って
きてもらって飲んだ。
・春水を飲んでも嘔吐とめどなく
・タンポポを便器に咲かす空嘔吐
・おろおろと人知の果ての春の闇
やがて、身内が救急車を呼んだ。
・サイレンの響き近付く夜半の春
・救急車乗るに過ぎりし朧月
めまいの渦の中で、死への恐怖が高まり、
まだやることが…との思いが脳裏を巡った。
・春星に幾度祈る今はまだ
やがて救急車で大学病院へ運ばれた。
大学病院だったので、直ぐに脳の
CTスキャンも撮ってくれ、異常が
無いと分かると、耳鼻科への搬入が
決まった。
・即刻の入院告知春疾風
6人部屋の雑居棟に運ばれた。
・カーテンの仕切り一枚春灯
・点滴と後は祈りと春の夢
・朝寝覚め六人部屋の人いきれ
・どうしてと呟く窓を春の風
・たんぽぽの絮ほどの幸おもゆ吸う
・おもゆよりお粥に変わり赤まんま
最初は吐き気でおもゆでさえ戻し
そうになったが、吐き気止めの
処方を受けたら、嘘のように
吐き気が収まり、食欲も出てきた。
・不快失せ夕食に出し蜆汁
・春夕焼噛みしめて食う普通食
この時ほど普通という事の
幸せを感じたことは無かった。
・医師の指追う目の揺れて春揺れて
医師に眼振してますねと言われた
のだが、眼振とは瞳が勝手に上下に
揺れている状態の事で、自分でも
鏡で確認できたのだ。
・眼振を瞑りて見るや春の夢
・朝寝覚めリストバンドのフルネーム
病院という塀の中に入ったんだな、と
しみじみ…。
・初蝶となって新人ナース舞来たる
・挨拶のナースの笑みの春めける
この大学病院では看護学校も
併設しており、多くの見習い
看護士が挨拶にやってきた。
・蜂となり新人ナース針を刺す
ただ、注射はさすがに苦労するようで、
大いに針跡を増やして頂いたw
・針跡を春オリオンとかざし見る
・医師よりの病名告知春時雨
耳の前庭神経炎という病名で、
何らかの原因で炎症を起こして
いるとの事。
・点滴のしずく遅日の時刻む
・春水となって点滴四肢に満つ
・春眠の一寝ニ寝と治癒の旅
やがて、院内を歩いてトイレなどに
行けるようになった。
・連れ歩く点滴・己が春日影
・ゆらゆらと歩く病廊春霞
・春塵を踏んで体軸戻りくる
徐々に揺れ具合も小さくなり
つつあったが、まだまだ結構な
ふらつきが残っていた。
・春めきて、何はともあれ筆と紙
・絵を描くも我のリハビリ春の色
院内の売店で買った手帳に、絵と
俳句を書き始めた。
絵は主に、看護士さん達の似顔絵を
気づかれないように描いていた。
・絵も揺れて一句も揺れる目借時
しかし後で、掃除のおばさんに気づかれ、
看護士さんにも知れ渡り、何枚か本人に
所望され、進呈とあいなったw
・看護士の指差し咲かす初桜
・眼振の揺れ消えて会う初桜
・病棟の三食昼寝朝寝付き
・点滴のずれてシーツの落椿
・身を持って一寸先の春の闇
ついに点滴の管が外され、大手を振って
院内の廊下を歩いたのだった。
・大手振る針跡に滲む春の風
・面会のだーれも来ないつくしんぼ
・春夕焼け最後の最後に残るもの
やがて、めまいもほろ酔いほどになり、
9日の入院が終わり、退院の日が
やって来た。
雨男だからどうせ雨だろうな、と
思っていたが、
・退院の祝い春雷賜れり
春雷の祝砲一発だけで、雨は降ら
なかったw
・春の土踏んで地軸を確かめり
・予後に踏む一歩一歩に春の土
やったー娑婆だあー!
と心で叫んだのだった。
回転性のめまいですが、そこまでひどくはないです。でも、めまいは辛いですよね。それも匍匐前進して移動とか想像しただけでもきついです😨
来月、私も少し娑婆から離れます。帰ってきた時には右胸が海抜0mになってる予定です😅
成功を心よりお祈り致します。
だらだらと書く日記の何倍ものインパクトがあります。
絵も揺れて一句も揺れる目借時
これなんか、なかなかです。
のが基本ですから、暇と言えば暇なので、
俳句ばかり考えてましたw
手が使える様になったので、絵を入れましたが、
最後に残るものは、やっぱり俳句でしょうか…。