つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

高速上を歩けば…

2010-12-21 04:37:41 | ちょっとした出来事
我がマンションのすぐそばを「東名阪」高速道路の工事が行われている。来年3月開通の
予定だそうで、開通を真近かに控え、見学の歩こう会の案内が来た。

前回のブログで、突入して叱られたところである。今度はまあ歩きとはいえ、堂々と
入れると思い、参加の名簿にサインして出した。

見学会当日、空は、青々と晴れ渡り、本格的に雨男返上の兆しを感じて、意気揚々と
出掛けた。受付周りにはすでに何人かの人だかりが出来ていたが、大した数ではない。

その受付のすぐ近くで、見覚えのある顔の人が立っているではないか。白髪混じりで日焼けの
肌に彫の深い…「ゲッあのときの…」そう、わたしが工事中に浸入して叱られた人が、
あの時と同じガードマンの制服に身を包み、今日はにこやかな表情である。

わたしは受付を済ませ、そそくさと通り過ぎようとしたのだが、うっかり目と目が真近かで
合ってしまった。彼は満面の笑みを浮かべ、「よくおいでくださいましたどうぞ」と
手を差し伸べて、歩く方向を教えてくれたのである。不法侵入のけしからんオヤジの顔など
まったく覚えていなかったのである。

わたしは、ホッと胸をなでおろして、歩き始めた。PM2時からということだったが、ちょっと遅れて
2時30分を回っていた。遅れたせいか、すでに目的地に辿り着いて帰って来る組みもチラホラいる。
子供づれの一家、老夫婦らしき二人、若きカップル、母と娘、などとすれ違う。

このまままっすぐ行けば、この地方最大のショッピングモールの直前へとせまる。なんだか
全てその業界に仕組まれて作られていそうに思えたが、ままよ…今日はのんびり冬の日差しを浴びて
雨男返上を祝いつつ歩こう…との思いで、そぞろぶらついた…。

大したことないと思ったが、片道30分、元の位置まで約1時間。まあ散歩には十分というところか…。
戻った受付の近くではまだ例のガードマンがニコやかに案内している。そして又、ふ…と目が合ったのである。
すると、ニコやかだった目が一瞬光ったように思えた。だが、すぐに元の表情に戻り、又ニコやかに
案内し始めたのである。わたしは、出口に向かいつつ、あの目の光は気のせいだったのか…とちら、
と振り返ってみると、例のガードマンの口元の片方がちょいと上がり、わたしに向かって軽くウインクした
ではないか…。

いつ気付いたのかは知らないが、不法侵入のけしからんオヤジをちゃんと覚えていたのだ。

夕陽はかなり傾き、我がマンションを照らしている。来年ここは一般道路となり、車が
行き交うのである。実際の高速道路はこの下、地下を通る予定なので、その騒音はさほど
ではないというマンションを買った時の、業者の言葉であるが、実際開通してみないと
なんとも言えない。

ただ…わたしには、ちょっとした思い出を残して開通を迎えることだけは確かな
ようである…。





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叱られて…

2010-12-19 07:29:40 | ちょっとした出来事
ふ、とした衝動に駆られた。「叱られたい」そう思ったのである。

買い物を済ませた会社からの帰り道、交差点を車で信号待ちしている時である。
左折すればいつものコース、まっすぐ進めば高速道路工事中の道に突入するのだ。

まっすぐ行けば、我がマンションの真横にすぐ到着するのである。
通常は工事関係者の車のみが許される道なので、多分関係車と思われるのがよく
出入りしているのを見かけるのだ。

頃はPM5時ちょっと前、工事関係者に見つかれば、最高に運がよくて通していただけ、
普通で追い返される、最悪の場合こっぴどく叱られるのは必死である。
辺りを見回し、信号が青に変わった時「叱られますか」と、覚悟を決め、まっすぐに突入した。
まだ削られた土がそのままだったり、砂利が転がっていたりと、未完成丸出しだったが、
おおむね舗装はされていて、スンナリ進んで行けた。途中工事関係者と思われる車と
すれ違ってヒヤッとしたが、咎められもせず過ぎ去って行った。

やがて出口に到着したが、何と締まっているではないか。目と鼻の先にマンションが
見えているのだ。しかも今閉めたばかりの様で、ガードマンの制服を着たおじさんたちが、
3名ほど歩いて行っている。「ヤバイ!」とっさにハンドルを切り、入ってきた道を帰ろうと
Uターンして走り出した。すると先ほどのおじさんたちが何やら工事用の鉄骨の格子の入った
門をガラガラと引き出しているではないか。出口が塞がれてしまったのだ。まさに袋小路に
なってしまったのである。

わたしは慌てて、「すみません、出たいんですけど」と窓を開けて言うと、「関係者の方?」と
ちょっと白髪混じりで彫の深い日焼け肌のおじさんが覗きこむようにして言った。
「いや…ちょっと迷い込んじゃって」と言うと、ムッとした顔をして、「こんなところに
入ってくるかね、気がしれんよ」と言い放ち、しばしブツブツと毒づかれた後、門をガラガラと
開いてくれた。

平謝りに謝り、ほうほうの体で元来た道へと出ることが出来たのだった。最悪の予想的中に
苦笑しつつ家路に着いたが、その間童謡の「叱られて」が脳裏に流れ出していたのである。(笑)

工事関係者の皆さま、申し訳ありませんでした。


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スーパー海峡

2010-12-12 05:43:11 | ちょっとした出来事
週末の金曜日は、花金ならぬ我が“呑み金”なので、いそいそと
スーパーへ酒の肴を買いに行く。

本日は、夕食を手巻きずしと決め、身内に寿司飯を作っておくようにと、
言っておいた。わたしは寿司よりももっぱらネタの刺身が狙いだ。

ここのスーパーは魚が安くて旨いので、よく利用している。それはいいのだが、
レジのオバサマ達が、全体にいただけないのが玉にきずなのである。

どういただけないのかというと、どうしてこういう顔をしているんだろうというぐらい
やつれ果てた幽霊のような顔だったり、何の恨みを受けてあんな魔女みたいな表情を
しているんだろうと思えるような人がレジで待ち受けているのだ。

わたしは、レジの前を「スーパー海峡」と名付けて心して通るので、幽霊や魔女
の待ち構える海峡を通りたくないのである。(笑)

救いなのは、さすがに全員が全員幽霊や魔女ではない。十数名いると思われるレジ係の
内、3~4名は、まあ…さほど問題なしで、3名ほど感じのいい方がいるので、当然そこの
海峡へと向かうのである。

しかし、何交代かは知らないのだが、その3名がいなくて、自分の運気を吸い取られ
そうな幽霊か、取って食われそうな魔女か、究極の選択を迫られるという不運の日も
あるのだ。(苦笑)

幸いこの日は3名の内の一人がいた。若いのだがいつもうつむき加減で、ひたすら品物だけを
見つめてレジを打つので、目線が合ったという記憶が無い。にこやかに愛想を振りまく
こともなく、割りと無表情である。お客がいなくてポツネンと立っている時も、ぼんやりと
あらぬ方向を見ている風だ。

わたしは別に若い女性だから行くというわけでは決してない。むしろ若い女性は苦手な
ほうで、ベテランの穏やかな笑みの心配りの効いた人に行くのが常なのである。
この若い女性は、マイバッグを添えておくと、必ずバッグを丁寧に広げて品物を詰めて
くれるのだ。それに気付いてから行くようになったのである。

このスーパーは、レジ時間短縮のため、マイバッグへはお客様が詰めてください、という旨の
アナウンスを流しているにもかかわらずである。他のレジを見ると、マイバッグに詰めてる
様子はない。

この日も詰めてくれた後、会計し、レシートをわたしに両手で渡そうとしたときに「よろし
かったらあちらで抽選をどうぞ」とガラガラポンの置いてあるほうへ片手を差し向ける
ではないか。その時初めて顔を上げ視線が合った。わたしは思わず「お!」と、初めての
出会いに興味津々で見てしまった。意外にしっかり見つめる目は、つぶらできれいな瞳だった。
この目が、店の方針を無視してもマイバッグに詰める強い意思を持っているのか…。

視線が離れた後、わたしはそんな感慨のままガラガラポンへと向かった。

「2回できます」レシートを見つめながら、ガラガラポンのおじさんはにこやかにそう言った。
青と赤玉が出て、30円と50円の金券をゲット。振り返ると、彼女はまたうつ向き加減で
ひたすら品物だけを見つめてレジを打っていた。

スーパーを出て、すでに薄暗くなっている空を見つめ、きょうは何となくいい日だと思った。

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雨男返上か…?

2010-12-03 05:51:46 | ちょっとした出来事

「あした紅葉狩りに行くぞ!」と身内らに告げると、「天気が心配だわ」とすぐに
窓に目をやる。なにせ水も滴る雨男とみんな承知しているからである。

しかし、翌日は晴れ渡り、風もなくポカポカと暖かい我が心のような小春日和だった。
早速、熱燗をポットに注ぎ入れ、買ったばかりのお猪口を持って行こうとすると、身内が
スーパーで買ったお猪口に取り換えたではないか。「何すんだ」と奪い返そうとすると、
「こんなの持っていったら危なくて」と言うのだ。

つまり、酔っぱらってそそうをして割りかねないというのである。はなはだ信用されてない
のだ。残念ながらその通りだったので、渋々断念した。

ものの2~3分も歩けば緑地公園に突入だ。山頭火に「歩けばカッコー急げばカッコー」
という好きな句があるが、「歩けば紅葉、止まれば紅葉」といった風情である。
今年は去年に比べて色鮮やかで、紅、赤、黄土、黄、がクッキリと鮮明で美しい。

こんないい眺めで土曜日というのに、人影はまばらで静かなものである。どうしてなんだろう
と思いつつも、こちらとしては大いにありがたいことなので、一番紅葉の見晴らしの良さそうな
ところにレジャーシートを敷き、弁当を広げた。当然ながらすぐさまお猪口を取り出し、
ポットから熱燗を注ぎ込む。最初の一杯が五臓六腑深々に浸み渡る…。続いて、おつまみ用に
スーパーで調達したスモークサーモンとの融合が始まり、景色の紅葉が揺れ出してきた。
そして「立てば紅葉、歩けば紅葉、揺れれば紅葉…」と、ゆらゆら満喫の紅葉の中を家路に
ついたのだった。

前回のドームの時といい今回といい、天気は上々である。日頃の行いのよろしきが天に届いて
いよいよ雨男返上か?
コメント (2)
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