我がマンションのすぐそばを「東名阪」高速道路の工事が行われている。来年3月開通の
予定だそうで、開通を真近かに控え、見学の歩こう会の案内が来た。
前回のブログで、突入して叱られたところである。今度はまあ歩きとはいえ、堂々と
入れると思い、参加の名簿にサインして出した。
見学会当日、空は、青々と晴れ渡り、本格的に雨男返上の兆しを感じて、意気揚々と
出掛けた。受付周りにはすでに何人かの人だかりが出来ていたが、大した数ではない。
その受付のすぐ近くで、見覚えのある顔の人が立っているではないか。白髪混じりで日焼けの
肌に彫の深い…「ゲッあのときの…」そう、わたしが工事中に浸入して叱られた人が、
あの時と同じガードマンの制服に身を包み、今日はにこやかな表情である。
わたしは受付を済ませ、そそくさと通り過ぎようとしたのだが、うっかり目と目が真近かで
合ってしまった。彼は満面の笑みを浮かべ、「よくおいでくださいましたどうぞ」と
手を差し伸べて、歩く方向を教えてくれたのである。不法侵入のけしからんオヤジの顔など
まったく覚えていなかったのである。
わたしは、ホッと胸をなでおろして、歩き始めた。PM2時からということだったが、ちょっと遅れて
2時30分を回っていた。遅れたせいか、すでに目的地に辿り着いて帰って来る組みもチラホラいる。
子供づれの一家、老夫婦らしき二人、若きカップル、母と娘、などとすれ違う。
このまままっすぐ行けば、この地方最大のショッピングモールの直前へとせまる。なんだか
全てその業界に仕組まれて作られていそうに思えたが、ままよ…今日はのんびり冬の日差しを浴びて
雨男返上を祝いつつ歩こう…との思いで、そぞろぶらついた…。
大したことないと思ったが、片道30分、元の位置まで約1時間。まあ散歩には十分というところか…。
戻った受付の近くではまだ例のガードマンがニコやかに案内している。そして又、ふ…と目が合ったのである。
すると、ニコやかだった目が一瞬光ったように思えた。だが、すぐに元の表情に戻り、又ニコやかに
案内し始めたのである。わたしは、出口に向かいつつ、あの目の光は気のせいだったのか…とちら、
と振り返ってみると、例のガードマンの口元の片方がちょいと上がり、わたしに向かって軽くウインクした
ではないか…。
いつ気付いたのかは知らないが、不法侵入のけしからんオヤジをちゃんと覚えていたのだ。
夕陽はかなり傾き、我がマンションを照らしている。来年ここは一般道路となり、車が
行き交うのである。実際の高速道路はこの下、地下を通る予定なので、その騒音はさほど
ではないというマンションを買った時の、業者の言葉であるが、実際開通してみないと
なんとも言えない。
ただ…わたしには、ちょっとした思い出を残して開通を迎えることだけは確かな
ようである…。
予定だそうで、開通を真近かに控え、見学の歩こう会の案内が来た。
前回のブログで、突入して叱られたところである。今度はまあ歩きとはいえ、堂々と
入れると思い、参加の名簿にサインして出した。
見学会当日、空は、青々と晴れ渡り、本格的に雨男返上の兆しを感じて、意気揚々と
出掛けた。受付周りにはすでに何人かの人だかりが出来ていたが、大した数ではない。
その受付のすぐ近くで、見覚えのある顔の人が立っているではないか。白髪混じりで日焼けの
肌に彫の深い…「ゲッあのときの…」そう、わたしが工事中に浸入して叱られた人が、
あの時と同じガードマンの制服に身を包み、今日はにこやかな表情である。
わたしは受付を済ませ、そそくさと通り過ぎようとしたのだが、うっかり目と目が真近かで
合ってしまった。彼は満面の笑みを浮かべ、「よくおいでくださいましたどうぞ」と
手を差し伸べて、歩く方向を教えてくれたのである。不法侵入のけしからんオヤジの顔など
まったく覚えていなかったのである。
わたしは、ホッと胸をなでおろして、歩き始めた。PM2時からということだったが、ちょっと遅れて
2時30分を回っていた。遅れたせいか、すでに目的地に辿り着いて帰って来る組みもチラホラいる。
子供づれの一家、老夫婦らしき二人、若きカップル、母と娘、などとすれ違う。
このまままっすぐ行けば、この地方最大のショッピングモールの直前へとせまる。なんだか
全てその業界に仕組まれて作られていそうに思えたが、ままよ…今日はのんびり冬の日差しを浴びて
雨男返上を祝いつつ歩こう…との思いで、そぞろぶらついた…。
大したことないと思ったが、片道30分、元の位置まで約1時間。まあ散歩には十分というところか…。
戻った受付の近くではまだ例のガードマンがニコやかに案内している。そして又、ふ…と目が合ったのである。
すると、ニコやかだった目が一瞬光ったように思えた。だが、すぐに元の表情に戻り、又ニコやかに
案内し始めたのである。わたしは、出口に向かいつつ、あの目の光は気のせいだったのか…とちら、
と振り返ってみると、例のガードマンの口元の片方がちょいと上がり、わたしに向かって軽くウインクした
ではないか…。
いつ気付いたのかは知らないが、不法侵入のけしからんオヤジをちゃんと覚えていたのだ。
夕陽はかなり傾き、我がマンションを照らしている。来年ここは一般道路となり、車が
行き交うのである。実際の高速道路はこの下、地下を通る予定なので、その騒音はさほど
ではないというマンションを買った時の、業者の言葉であるが、実際開通してみないと
なんとも言えない。
ただ…わたしには、ちょっとした思い出を残して開通を迎えることだけは確かな
ようである…。