2001年のエチオピアで腹痛を訴えて
来院した男のX線写真を撮ったところ、
男のお腹の中に222個もの金属片が見つかりました。
男は、怒ると金属片を食べる癖があったとのことです。
以前、フランスの男性の異食症(パイカ)について
書かせて頂きましたが、
今回のエチオピアの男性もまた単なる癖と言うより
異食症だと考えても間違いないかと思います。
パイカは、ラテン語でカワサギを意味していて
カワサギは何でも口に入れることから
名付けられたそうです。
フランスの男性は、硬貨、ネックレス、釘、
エチオピアの男性は、金属片、どちらも金属関係ですが、
異食症と言われるように金属片以外にも
プラスチック類、石、ガラス、紙、糞尿など色々のようです。
原因について色々と考えられていて
精神的な原因や特定の栄養不足であるとか
何か一つが原因とは限らないようです。
人はストレスを受け止めきれなくなると
鬱的な症状といったような心の苦しさや辛さを示したり、
その心の危機的な状況を体の不調で示したりするだけではなく、
何らかの行動でストレスを発散させようとすることがあります。
それがお酒であったり、食べ物であったり、性的な行為であったり、
自傷行為であったり、盗みであったり、買い物であったり、
同じように異食症も何らかのストレス過多が関係していると
十分に考えることも出来ます。
今までの私の施療経験には、異食症のクライアントと
向き合ったことはありませんし、
仮に数例の施療経験があったとしても、それを元にして
原因はこうで、これが改善されれば
症状が良くなるなんて言えるはずも無く、
とにかく最初は医療機関に相談されることをお勧めします。
その上で補助的に相談に来て頂いた場合には、
異食症と関係すると思われるストレスを探り、
思考や感情を改善することで
症状が改善すると信じて取り組むことになります。
パイカ以外のストレスを解消する行為も同じで
根本的な解決にはならず間に合わせにしか過ぎません。
間に合わせで心の安定は取り戻せるにしても
その代償と言うのが適切なのか分かりませんが、
その行為によっては自分の命を縮めたり、
社会的信用を失ったりすることが多々あります。
深刻な状態の場合、その行為を直接止めるための措置や
取り組みが必要かと思いますが、
そうでなければ行為を直接扱わずに
その下にある心の癖の改善に取り組んでいく方が
私は現実的かと思っています。
ただ行為を止めることを求められない場合は、
被験者にひと汗もふた汗かく
心の見方や考え方を改善の取り組みよりも
それまでの方法に気持ちが向いてしまい
改善に気持ちが向かずにある程度のレベルまで進んでも
そこから先へと進まずに停滞することもあるのが気になる所です。
なのでそれらの抵抗と言うのか停滞を避けるために
私は一つの方法を採用することが多くあります。