ずっとずっと生き辛さを抱えている
ひとりの青年が病院から電話をかけてこられました。
「俺の人生、いまこんなに運が悪いのは、
子どもの頃に飼っている虫とか
殺してしまったせいかなぁ・・」と。
彼のつぶやきを聴いて
こんな詩を思い出しました。
北原白秋の「金魚」という詩です。
* * *
金魚
母さん、母さん、どこへ行た。
紅い金魚と遊びませう。
母さん、歸らぬ、さびしいな。
金魚を一匹突き殺す。
まだまだ、歸らぬ、くやしいな。
金魚をニ匹締め殺す。
なぜなぜ、歸らぬ、ひもじいな。
金魚を三匹捻ぢ殺す。
涙がこぼれる、日は暮れる。
紅い金魚も死ぬ死ぬ。
母さん怖いよ、眼が光る。
ピカピカ、金魚の眼が光る。
紅い金魚と遊びませう。
母さん、歸らぬ、さびしいな。
金魚を一匹突き殺す。
まだまだ、歸らぬ、くやしいな。
金魚をニ匹締め殺す。
なぜなぜ、歸らぬ、ひもじいな。
金魚を三匹捻ぢ殺す。
涙がこぼれる、日は暮れる。
紅い金魚も死ぬ死ぬ。
母さん怖いよ、眼が光る。
ピカピカ、金魚の眼が光る。
* * *
人のこころの奥底には
測り知れない深い部分があります。
寂しさが誰からも受け容れられない時に
自分より弱い相手に
あたりたくなるこころが
誰の中にもあるのではないでしょうか。
「行動」を変える前に
「感情」の受容が必要だと思うのですが・・・